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TOKYO FM

Message in the Music/Gil Scott-Heron

ON AIR REPORT / 2022.06.20 update
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ブロードキャスターのピーター・バラカンさんが毎日1曲選曲。
時代を超えて、届く、音楽のメッセージを紐解く 「Message in the Music」

今日紹介いただいたのは
Gil Scott-Heron「Whitey on the Moon」

最近、久しぶりに宇宙開発に関する話題を耳にします。
そんな宇宙に関してですが、
去年公開された「サマー・オブ・ソウル」というコンサート映画で知られた
ハーレム・カルチュラル・フェスティバルの開催中に、
ニール・アームストロングによる月面着陸のニュースが流れ、
TVのリポーターがコンサート会場でお客さんに意見を聞いているシーンがありました。
「まぁ大したもんなんだろうけど、俺たちにはあんまり関係ないよね、
もっと身近な問題あるよねということを言っている人が2〜3人いたと思います。

その1969年のフェスティバルの翌年に、ギル・スコット=ヘロンという、
当時は詩人のような活動をしていた若者が、デビューアルバムを出しました。
そのアルバムの中に収録された一曲が「Whitey on the Moon」

1行ごとに身近なことを言った後に、“Whitey on the Moon”というのが登場するんです。
例えば・・・・
「妹のネルがドブネズミに噛まれちゃった。白人は月に行っている」
「彼女の顔と腕がはれあがっちゃった。そして、白人は月に行っている」
「医療費は払えないだけど、白人は月に行っている」

そして最後にこう結んでいます。

「月に行った白人なんてもうこりごりだよ。」
「この医療費の請求書を俺は航空便で月に行った白人に送りつけてやるよ」

そういうふうに、ちょっと怒りを込めています。
時代にかかわらず、国にもかかわらず、
政治家が何か普通の人たちの注意を身近なところから逸らすために
大きな話題を作るということが、昔も今も変わらないと私は思います。いかがでしょう?

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