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TOKYO FM

Message in the Music /Jimmy Cliff『The Harder They Come』

ON AIR REPORT / 2022.08.09 update
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ブロードキャスターのピーター・バラカンさんが毎日1曲選曲。
時代を超えて、届く、音楽のメッセージを紐解く 「Message in the Music」

今日は核の問題に言及した曲
Jimmy Cliff『The Harder They Come』 (1972)

8月9日は長崎に原爆が投下された日です。
最近、「核不拡散条約」の話がニュースに出ています。メディアも政治家も一見、理に適ったように聞こえる言葉に聞こえるけれど、核の状況は何年経っても変わっていない。今年ウクライナの戦争が始まってから、国連の安全保障理事会が何の役にもたっていないという話を耳にするけれどそれは、常任理事はみんな核保有国だから。

この辺の話は小学生たちに丁寧に説明すれば、彼らが上手い解決策を出すんじゃないかと時々思います。シンプルに言えば、核保有国が核兵器を捨てればいいんです。結局それしかない。

この曲は、1946年の曲。The Golden Gate Quartetは大御所のゴスペルグループ。
ゴスペルはいくつかのスタイルがある中で、「バーバーショップハーモニー」という言い方があります。床屋さんで男たちが、店先で綺麗なハーモニーで歌っていたところを想像してほしい。そういう雰囲気でゴスペルグループが歌っていた時代がある。

The Golden Gate Quartetは1930年代に結成され、全盛期は1940年代。その後フランスに移住。
彼らが、第2次大戦終結後の翌年に 「Atom And Evil」 という曲を歌っている。旧約聖書のアダムとイブにひっかけたユーモラスな曲でもある。これは「原子」と「悪」の話「彼らの恋愛は大変な問題を引き起こしている。もともと純粋だった原子は悪チャンに誘惑されてしまった。原子は一生懸命働いていて、人類のために尽くそうとしていたけれど悪は彼に偏見と憎しみで酔っぱらわせて、人類の運命を賭けてバクチもさせてしまった。」

文学的な価値もある面白い歌詞。彼らが言う悪は時代背景からソビエト連邦だと読み取れます。

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●今回のウクライナ侵攻の影響で、”核兵器の役割縮小を目指す”と大統領選で公約を掲げていたバイデン政権も、3月下旬に公表した核政策の指針では、核抑止力の維持を「最優先事項」と明記しています。

●去年「核兵器禁止条約」も発効。=国際法上、核兵器を初めて違法と位置づけ、その開発も保有も使用なども一切禁止する条約。
これまでに86の国・地域が署名し、62の国・地域が批准している。(核保有国や、日本は加盟していない)

●すぐにどの国も核を手放すことができたらもちろんベスト。
だけど、やっぱりそれはなかなか難しい…こういった条約ができたりしたのはきっと大きな前進なのではないでしょうか。みんなが「核兵器をなくしていく」という同じ方向を見続けていられるようにできたら。


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