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TOKYO FM

Message in the Beatles

ON AIR REPORT / 2022.10.10 update
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ブロードキャスターのピーター・バラカンさんが毎日1曲選曲。
今週と来週はMessage in the Beatlesとして、混沌とした今の時代だからこそ心に響くビートルズの楽曲に秘められたメッセージを解説してくれます。

今日お届けした曲は、
The Beatles「The Ballad of John and Yoko」 (1969)  

ちょうどジョンとヨーコが結婚して、ジョンが急遽この曲を作ったんです。
この歌詞では、結婚したことと、新婚旅行に出かけたこと、帰ってきたこと、平和活動の一環で、ベッド・インをアムステルダムのヒルトンホテルでやったこと、
この一連のことを羅列しているんです。

この曲の、ある意味一番大事な部分というのは、何度か繰り返されるコーラスの部分です。

Christ, you know it ain’t easy    You know how hard in can be
The way things are going       They’re gonna crucify me

この4行が4回くらい出てくるんですね。
この“Christ”というのは、イエス・キリストのことなんですけど、こういう風に呼びかけるときというのは、驚きや欲求不満とか、怒りとか、そういったいろんな気持ちを強調するために使われる言葉なんです。
ジョンはまさにこの曲で、そういう風に使っているものです。
『“Christ”と言って、大変なんだ、全然簡単じゃないよ、このままいくと俺は十字架にかけられるんじゃないかと思う』と。直訳すればそういうことになります。
でも、この“crucify”というのは、十字架にかけるという意味ではあるんですけど、つるし上げるというくらいの意味で解釈することが十分できます。

特にこの時代にはシャレのわからない人たちが大勢いました。
それがメディアの中にもいましたから、アメリカのラジオ局ではこの曲を流したがらない所が多かったんですね。
当時からもう50年以上経ちましたけれど、あの時、特にヨーコさんに対するメディアの態度が非常に悪くて、イギリス国民も彼女のことが嫌いだったので、
ジョン・レノンもすごく批判の対象になっていた時期だったんですね。
ジョンは結構強がるイメージの人ではあるけど、本当はかなり繊細なところがあって、彼の偽らざる(偽りのない)気持ちをこの曲で出しているんだと思います。

“We’re only trying to get us some peace”

これは、平和のことをやっているというニュアンスと、落ち着きたいと思っているだけだという両方のニュアンスを兼ねているようなものですね。

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