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東山彰良さんの直木賞受賞作は父がモデル  (2016/01/30 放送)

先週に引き続き、今週も作家の東山彰良さんをお迎えしました。

昨年、直木賞を受賞した東山さんの小説が『流(りゅう)』(講談社)。台北で生まれ育った主人公は優等生として期待されていたものの、幼なじみの悪い誘いに乗ってしまい挫折。奔放な青春を送っていたが、そんな中、大好きな祖父が殺害されてしまう。いつか犯人を見つけ出すと誓って生きていくうちに、自らの複雑なルーツに気づいていく…。

恵さんも大絶賛していた『流』の主人公のモデルになっているのは、中国本土出身で後に台湾に渡った東山さんのお父様。東山さんは以前から、1930年代の中国を舞台にお祖父様を主人公にした小説を書きたいと思っていたそうですが、自身の筆力にまだ自信がなかったので、肩慣らしとして軽い気持ちで書き始めたのがこの作品なんだとか。

「主人公が元々、進学校に行ってて、で、替え玉受験をやって退学になって悪い学校に行く、っていうのはうちの父親がホントに辿った人生なんですよ」と東山さん。お父様とはあまり良い関係ではない時期があったと先週おっしゃっていましたが、大学院進学を機にお父様との距離が縮まり、昔の話などを聞くうちに、自分のルーツに興味を持つようになったそうです。

「僕はけっこうアイデンティティが曖昧な人間なんですよ。台湾で生まれて日本で育ったんで、台湾に帰ったらやっぱりちょっとお客様扱い。日本にいても、東山彰良っていうのはペンネームなんで、普段は本名で生活しているので、見れば日本人じゃないっていうのはすぐわかりますし、中国大陸に行ったら行ったで、みんなは、お前は台湾人なのか日本人なのか中国人なのかどれなんだ?って聞かれる機会が多いんです」

「僕は国家に対する帰属意識が凄く薄くって、自分のことをただ単に台湾で生まれて日本で育った人間としか思えないんですね。じゃ、自分がどこにルーツというかアイデンティティのより所を求めるかって言うと、この本を書いてつくづく思ったんですが、やっぱり家族なんですね。家族のいる場所が自分のいる場所なんだなぁと思いました」


「書くっていうのは挑戦だと思いますね」という東山さん。書くということについてこんなことを話してくれました。

「自分の中で処理しきれないドロドロしたものを鎮めるために書くんですけども、その都度なにか挑戦していないと、慣れてきちゃうとそのドロドロが静まらないんですよ。慣れになっちゃって。おそらく楽に書けるようになっちゃうんですね。同じものばっかり書いていくと。僕は作風が安定していないとよく言われるんですけど、その都度その都度テーマを変えて、新たなことをやっていっているつもりでいます」

東山さんが今書いている作品はコメディなんだそうで、次なる挑戦については、「まだ手を付けてないのがやっぱり恋愛物ですかね。で、もし、自分にある日そういう確信が芽生えたら、恋愛物はぜひ書いてみたいと思っています」とおっしゃっていました。

最後に東山さんは“挑戦”についてこんなことを話してくれました。

「挑戦をしなければ本当の自分はいつまでもわからないような気がするんですね。それは成功のために自分が支払わなければならない代価であったり、失敗をした時に自分が舐めなきゃいけない苦しみであったりするわけなんですけれども、そういうことを経験しないと、おそらく自分が何者なのかわからないと思うので、挑戦っていうのは“自分を計るものさし”だと思います」

「よく失敗して悔しがる人がいるんですけど、挑戦してなければ悔しがる資格はないと思います。それは単なる失敗なんで。でも、挑戦した後で悔しがるっていうのは、それはもう本当に正当な資格があって悔しがっていいと思うので、それはいいと思います。素晴らしいことだと思います」

「成功するとみんな嬉しいのが当たり前ですし、報われた感が当然あって、喜びを表現するのは簡単なんですけど、たぶん本当の人間がわかるって、その人が失敗した時の姿だと思うんですね。その人の負けっぷりがどれだけカッコいいかでその人がわかると思うので。その負けっぷりがカッコいいかカッコ悪いかというのは本当に挑戦した後のことだから、挑戦もしてなければ負けっぷりがカッコいいはずがないんで。やっぱり自分を計るものさしなのかなぁと思います」

番組では、そんな東山彰良さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらの色紙を1名様にプレゼントします。このホームページ右のメッセージフォームから「東山彰良さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
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