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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2021.12.05

通報者を守ります! 公益通報者保護制度



事業者による違法行為などを労働者が然るべき場所に通報する、公益通報。
通報者が通報しやすいように、通報者を守る法律「公益通報者保護法」が一部改正されました。
今回は、「通報者を守ります! 公益通報者保護制度」というテーマで深掘りしました。


青木  今日深掘りするのは、組織の不正に立ち向かう人を守る法律です。

足立  公益通報とは何ですか?

青木  事業者による違法行為などを、労働者が然るべき場所に通報することを公益通報と言います。
事業者による違法行為とは、例えば、不良品であることを隠して回収しなかったり、品物の産地を偽って販売したり、報告の義務がある事故が起きたにもかかわらず、担当機関などに報告を行わないことなどです。
こうした違法行為は、内部の労働者などからの通報で明らかになることが少なくありません。

足立  いわゆる、内部告発ですね。

青木  事業者による違法行為を公益通報によって明るみにすることは、その違法行為を改めるきっかけになり、それにより私たちの安全が守られ、社会に利益をもたらすことになるので、褒められる行為です。

足立  ただ、自分が勤めている会社の不正を告発するのは、勇気のいることですよね。

青木  でも、通報をためらったために、事業者の違法行為が放置されたままになると、重大な事故が起こってしまうかもしれません。
そうなってから、「あの時、通報していれば」と後悔しても遅いですよね。
そのため、公益通報した人が通報したことを理由として、事業者から解雇や降格、減給など不利益な扱いを受けることがないように、公益通報者保護法があるんです。

足立  通報者が通報しやすいように、通報者を守る法律があるんですね。

青木  ここからはスペシャリストと一緒に深掘りします。
消費者庁 参事官(公益通報・協働担当)付 政策企画専門官の金山貴昭さんです。

公益通報者保護法は2006年に施行されましたが、昨年、一部改正されたそうですね。

金山  はい。近年も企業による不祥事は後を絶たず、早期に問題を改め、被害を防止することが求められています。
そこで、これまでの法律が一部改正され、来年6月からの施行を目指して準備をしています。
新しいルールを知らずにいると、意図せずルール違反をしてしまう可能性があるので、今日は改めて、基本的なルールと新しいルールを知っていただければと思います。

足立  早速、先ほど公益通報とは、「事業者による違法行為などを労働者が然るべき場所に通報すること」と聞いたんですが、もう少し詳しく教えていただけますか?

金山  公益通報者保護法に基づいて、通報者が保護を受けるためには、“通報者”“通報内容”“通報先”に一定の要件があります。
まず、通報者は企業などの労働者であること。
労働者とは正社員、派遣労働者、公務員、アルバイト、パートタイマーなどのほか、下請け業者の社員やアルバイトなども含まれます。

足立  つまり、その事業者と全く関係のない人が、たまたま聞いて通報しても保護の対象にはならないということですね。

金山  そういうことです。しかし、その企業に勤務する労働者であれば、基本的には、どんな雇用形態であっても労働者に含まれますし、その企業に下請け業者から派遣された労働者でも、取引先の労働者でも保護の対象となります。
また、これに加えて新しいルールでは、退職後1年以内の退職者や役員も保護の対象となります。

青木  不正に気付き、会社が嫌になって辞めてしまったけれど、やはり、不正を正したいと思い立った場合など、退職後、1年以内なら法律で保護されることになったんです。

足立  辞めてからの方が通報しやすい場合もあると思うので、通報者の範囲が広がることは良いことですね。
続いて“通報内容”の要件とは、どんな要件ですか?

金山  通報の内容は、対象となる法律に違反する犯罪行為、又は最終的に刑罰につながる行為を行なっている事実であれば、通報の対象となります。

青木  ちなみに対象となる法律は、現在476あって、例えば、刑法、食品衛生法、建築基準法、食品表示法、廃棄物処理法、個人情報保護法、労働基準法など、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律」です。

金山  実は、この内容も一部改正され、新しいルールでは行政罰も対象となりました。

青木  これまでは、刑事罰に当たるような違法行為が事実としてあった場合のみ、公益通報とみなされていたんですが、来年6月以降は、行政罰が科される行為があれば、これも公益通報に当たり、通報者は保護の対象となるということですね。

足立  通報内容の幅が広がったんですね。
では、続いて“通報先”にも要件があるということですが、どこになるんですか?

金山  通報先は三つです。
一つ目は、「労働者が働いている事業者内部」、
二つ目は、「処分又は勧告等をする権限のある行政機関」、
三つ目は、「その他の事業者外部で、例えば報道機関や消費者団体、労働組合など」です。

足立  “通報者”、“通報内容”、“通報先”、これら三つが要件を満たしていれば、公益通報者として保護されて、解雇などの不利益を被らないということですね。

金山  また、解雇以外の不利益な取扱いには、例えば、降格、減給、自宅待機命令、給与上の差別、退職の強要、専ら雑務に従事させること、退職金の減額や没収などがあります。
要件を満たしているか分からない、通報先が分からないなど、疑問点がありましたら、消費者庁が設けている「公益通報者保護制度相談ダイヤル」に御連絡いただいたり、関係すると思われる省庁の「公益通報窓口」をネットで検索の上、お問い合わせいただければと思います。

青木  そして、新しいルールでは、保護の内容も改正されたんですよね?

金山  はい。通報されたことにより「損害が生じた!」などと言って、事業者が損害賠償を求める裁判などを起こしても、損害賠償が認められないことを明確化するために、「公益通報者に対して、賠償を請求することができない」と法律で明記しました。

青木  一個人の立場で、「裁判を起こすぞ!」と言われるだけでも、怖いですし、また、実際に裁判になった時にお金も時間も掛かりますし、大変ですよね。
裁判を起こして、通報者に圧力を掛けることはできなくなるということです。

足立  これは有り難いですね。
ここまでお話を伺ってきて、今回の改正では、保護される人の対象や、保護される通報内容、保護の内容などが追加されて、通報者がより保護されやすくなることが分かりました。
これによって、もしもの時に通報しやすくなるというわけですね。

青木  ここからは、公益通報者保護法の一部が改正され、来年6月から事業者に義務付けられることを深掘りします。
これがとても重要なことなんですよね。

金山  今回の改正では、事業者が内部通報に適切に対応するために必要となる体制を整備することが義務付けられました。

足立  具体的にはどんな体制が求められているんですか?

金山  通報の窓口を設置することや、通報に対してきちんとした調査をすること、また、通報により明らかになった違法行為を改める措置を行うことです。

青木  これまでの法律では、努力義務とされていたんですが、今回の改正では、これが義務となったんです。
ただし、従業員数300人以下の中小事業者の場合は、努力義務となっています。

金山  また、こうした体制づくりがしっかりと行われるように、事業者に対して行政機関による助言や指導、勧告が行われ、この勧告に従わない場合は、事業者名を公表する行政措置をとることも新たに定められました。

青木  これは大きな法改正ですよね。
公表されれば、事業者のイメージが悪くなりますし、信用が低下します。

金山  もう一つ、大きな法改正があります。通報者の情報を知る立場にある者、例えば、「内部調査などを行う担当になった者」などに対して、通報者を特定させる情報を漏らしてはならない守秘義務が定められました。
これに違反した者は、刑事罰の対象となり、30万円以下の罰金が科せられます。

足立  事業者が処罰の対象となるのではなく、情報を漏らした個人が罰せられるということですか?

青木  そうなんです。改正法が施行される来年6月以降に守秘義務違反があれば、個人が罰せられます。

金山  これも、内部通報者を守るために、新たに定められたルールです。
知らずに違反することがないように注意してください。

足立  今回の法律改正では、体制づくりをしなければならない事業者や内部通報に対応する従業員の方などに大きな責任が課せられるんですね。

金山  ただ、こうした体制づくりをして、事業者内の問題を早期に発見し対応していけば、自浄作用が働き、不祥事を未然に防ぐことができるなど、大きなメリットがあると思います。

青木  仮に、不祥事が発覚したら、それに伴う被害を補償するためにコストが掛かったり、消費者や取引先からの信頼が低下したり、従業員の士気が下がったり、デメリットが大きいですよね。

金山  公益通報者保護法は、「公益通報者を守る法律」であると同時に、「事業者を守る法律」でもあるんです。

青木  ちなみに、今回の改正で、行政機関や報道機関などへ通報しやすくするためのルールも改正されているんですよね。

金山  行政機関においても、外部通報に対応するために必要な体制の整備などが義務付けられるよう法改正されています。
公益通報者保護法は、事業者や労働者を守り、安全で安心できる社会生活を維持するための法律です。
今回の改正をきっかけに注目してください。

足立  今日の話の中にありました、“通報者”、“通報内容”、“通報先”、この三つが要件を満たしていれば、「公益通報者として保護されていること」を皆さんに知ってほしいですね。

青木  「公益通報者を守る法律」であると同時に、「事業者を守る法律」でもありますからね。


【 関連リンク 】
・消費者庁 公益通報者保護
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/