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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.01.09

その使い方 間違っていませんか? 注意しよう冬の製品事故



冬の製品事故が後を絶ちません。
誤った使い方や認識、そして、うっかり行動は、命に関わる事故へと繋がります。
今回は、「その使い方 間違っていませんか? 注意しよう冬の製品事故」というテーマで深掘りしました。


青木  あたたかい鍋料理が美味しい季節ですね。
そんな鍋料理の時に使うカセットコンロ用のカセットボンベ、誤った扱い方をすると重大な事故につながる可能性があります。
過去に負傷者が出たり、爆風で窓ガラスが割れる事故も発生しています。

足立  カセットコンロ用のカセットボンベによる事故は、どういう事故があるんですか?

青木  色々なケースがありまして、意外なものでは、カセットコンロよりも大きな鍋や鉄板を使用したことによる破裂事故です。
カセットコンロ全体を覆うような大きな鍋や鉄板を使用すると、熱がこもりやすくなり、カセットボンベが過熱し、爆発する恐れがあります。
カセットコンロを2台並べて使用する場合も同じです。
過去にこうした誤った使い方をしたために負傷者も出ているんです。

足立  これは知らない方も多いかもしれないですね。

青木  ここからは、スペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう。
2度目のご出演です。
経済産業省 製品安全課長の田中秀明さんです。
前回は、高齢者の製品事故防止について伺いました。
早速ですが田中さん、冬にもっとも多い製品事故、一体何でしょうか?

田中  暖房器具による火災事故です。
2011年度から2020年度の10年間に1,361件、その中で191人の方が亡くなっています。

足立  ストーブだったら、分かるんですが、今どきの最新暖房器具は、安全装置が付いているのが多いイメージなので、火事にはなりにくいと思っていましたけど、まだ、火災事故が多いんですね。

田中  確かにそうですね。
でも、器具が倒れて火災になるわけではないんです。
暖房器具による火災事故のうち、もっとも多い要因は、衣類やカーテン、布団などの可燃物が接触することによるものなんです。

青木  思わぬことにより事故は起こるんです。
例えば、ストーブの上で衣類を乾燥させると、乾燥して軽くなった衣類があおられて落下し、ストーブの高温部に接触し火災になることがあります。

カーテンも風に吹かれて接触する可能性があります。
また、ペットが可燃物を運んだり、ロボット掃除機が電気ストーブを押して可燃物に触れたため、火災になった事例もあります。

足立  なるほど。ロボット掃除機は思いつかなかったですね。

田中  また、寒い地域ではストーブをつけたまま寝る方もいらっしゃると思いますが、就寝中、寝返りを打ち、布団が接触したままになると着火する恐れがあります。
寝ている時は発見が遅れやすく、大きな火災につながる可能性があります。
就寝時は絶対に使用しないでください。

足立  ちなみに可燃物の接触による火災事故は、どんな暖房器具でも起こるんですか?

田中  はい。もっとも多いのは電気ストーブによるもので、過去10年間で97件発生しています。
続いて、石油ストーブ、石油ファンヒーター、こたつ、電気ファンヒーターの順に多くなっています。

青木  電気ストーブは火を使わないので、石油ストーブよりも安全だと思いがちですが、可燃物が接触すると異常に熱せられて着火に至る恐れがあります。
どんな暖房器具でも危険に変わりはありません。

田中  可燃物の接触による事故を年代別で見ると70歳以上で多く発生しています。
暖房器具はご高齢の方の使用頻度が高い上に、危険な状況に気づくのも、対応するのも遅くなりがちなのだと思います。
暖房器具による火災事故は、火が周りに広がって被害が拡大し、最悪の場合、命を落とす可能性もありますから、ご高齢の方はもちろん、家族や周りにいる方も日頃から気をつけていただきたいです。

足立  たしかに、おじいちゃん・おばあちゃんだと気づかないことがあるかもしれませんね。
暖房器具による火災事故の原因は、可燃物が接触すること以外にもありますか?

田中  はい。石油暖房機器で“給油口から灯油がこぼれて引火する事故”や、“ガソリンを誤って給油して出火する事故”、ファンヒーターや電気ストーブで“電源コードや内部の配線が断線したことによる事故”、こうした事故でも被害が拡大して亡くなった方がいます。

青木  電源コードの場合、電源プラグと電源コードの付け根でコードが断線し、放電により、火花が飛んで火災になる事故が発生しています。
電源プラグを持たずに電源コードを引き抜いたり、保管する時に電源コードを本体にきつく巻きつけたり折り曲げたりしないように、やさしく扱ってほしいですね。

田中  またもう1点、皆さんに知っておいていただきたいことがあります。
新型コロナウイルス感染症予防のため「消毒用アルコール」を使う機会が増えました。
アルコールは揮発性が高く引火するおそれがあります。
石油ストーブなど火を伴う暖房器具の近くで使用したり、消毒直後に手や指を暖房器具に近づけないように注意してください。

足立  意識したことが無かったですが、言われてみれば、そうですよね。

青木  このご時世ならではですね。気をつけましょう。
ではここからは、雪や凍結に伴う製品事故を深掘りします。

足立さん、冬の中でも、雪や凍結に伴う製品事故で、過去10年間でもっとも死亡事故が発生しているのは、どんな製品によるものだと思いますか?

足立  全く思い浮かばないです。

青木  実は、除雪機による事故なんです。雪や凍結に伴う製品事故には、ガス給湯器や風呂釜によるもの、凍結防止ヒーターによるものなど、様々なケースがあります。
2011年度から2020年度の10年間に独立行政法人 製品評価技術基盤機構に報告されているものだけで242件です。
この中で死亡事故になっているのは24件。
これらすべてが、除雪機によるものなんです。

青木  雪がよく降る地域では、芝刈り機のような歩行型の除雪機を持っている家が多いそうです。
免許無しで誰でも扱える反面、間違った使い方をすると重大な事故になってしまうので、その使い方には十分な注意が必要なんです。

田中  特に昨年は、豪雪や大寒波の影響などで除雪機による死亡事故が相次ぎ発生しました。
今年も新型コロナウイルス感染症の影響で除雪作業の担い手が不足し、比較的、高齢の方が慣れない作業をする地域もあると思います。
より一層の注意が必要です。

足立  具体的にどんな事故になるんですか?

田中  安全装置が無い古い機種や安全装置が有っても正しく作動しない状態で除雪機を使用し、使用者が転倒した際に下敷きになり死亡する事故が発生しています。

足立  安全装置が壊れていたということですか?

青木  実はそうではないんです。
除雪機には、デッドマンクラッチ機構という安全装置が使われているものが多数あります。
ハンドル部分にレバーが付いていて、このレバーを引きながらハンドルを持つと動き、離すと止まる設計になっています。
必然的に使用者が転倒してハンドルから手が離れれば自動的に止まるわけです。
ところが、このレバーを引きながらハンドルを持ち続けると疲れてきますよね。力もある程度必要です。
高齢の方には負担となる場合もあり、このレバーを引いたまま紐(ひも)やテープで固定してしまう方が少なくないんです。

足立  誤って転倒しても、安全装置が作動せずに事故に遭ってしまうんですね。

田中  2011年度から2020年度の10年間に起こった47件の除雪機の事故のうち、安全装置を無効化していた際の事故は11件ありました。
取扱説明書には「デッドマンクラッチレバーを紐(ひも)などで固定しない。安全装置が作動しなくなる」と記載されています。
安全装置が作動しない状態での使用は絶対にしないでください。

足立  自分の身を守るためにも間違った使い方をしてはいけないですね。
ご高齢の方は、できるだけ家族や、隣近所・ボランティアの方々などと協力して除雪作業ができるといいですね。

田中  また除雪機による事故はほかにもあります。
除雪機には雪を砕く刃や、集めた雪を放出するパーツなどがあり、ここに雪が詰まることがあります。
この雪を取り除く際、エンジンを止めずに、付属品の「雪かき棒」も使用せずに直接手で除去したため、手や指を負傷する事故が発生しています。

青木  取扱説明書には「雪詰まりの際はエンジンを必ず停止してから雪を取り除く」「雪を取り除く際は木製の棒を使用し、手を直接入れない」と記載されているんですが、事故は起こってしまっています。

足立  こういうことを聴くと、若い方が率先して除雪作業などできる限りやった方がいいですね。

青木  こういった事故が一つでも減って欲しいですね。

田中  今日は暖房器具や除雪機についてお話をしましたが、こうした製品に限らず、すべての製品について言えることは「取扱説明書をよく読んで製品を適切に使用することが大切」ということです。
また、久しぶりに製品を使う場合などは、事前に不具合がないか確認して使用するように心がけてください。

足立  これから暖房器具を使う機会は増えますが、思いもよらない事故がたくさん起きているんだと、今日の話を聞いて、改めて思いました。

青木  実際起きた事例を聞くと自分も気をつけないと、と思いますよね。

私は、今日の話を聞いて印象に残ったのは、本格的な雪の季節ということで、除雪機による事故です。
正しい使い方をすることを徹底していただきたいと思います。


【 関連リンク 】
・冬の死亡事故に注意!(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2020fy/prs210128.html