「食」と「音楽」の共通点とは?

古内東子さん(アーティスト)×落合務さん(料理人)

2016

04.03


今回のキュレーターズは、「恋愛の神様、教祖」と称えられた歌手の古内東子さんとイタリア料理の先駆者で、日本一予約が取れないイタリアンレストラン「LA BETTOLA 」の落合務シェフ。
十年来の友人で、かつてはよく一緒においしいものを食べに行っていたというおふたり。
彼らが思う「食」と「音楽」の共通点とは?

垣根を超えることのおもしろさ


古内
3月の30日に日本を代表する男性シンガーたちとのデュエットカバーアルバム『Toko Furuuchi with 10 legends』をリリースしました。参加してくれた方々はすごく親しいというわけではなくて、今回、初対面の方も何人もいらっしゃって、どういうケミストリーが起こるのかわからないまま歌ってみたんです。そのしたら、みなさんすばらしい歌声で、自分のアルバムなのに私も参加させてもらったという感じ。「食」の世界でもこういった意外な組み合わせやマリアージュはありますか?

落合
中華やフレンチのシェフとコラボをすることがあって、その時に新しいメニューが生まれることがあるんだよ。実際に作ってみて、回数を重ねる毎にそれをだんだん進化させることも。そういうのが楽しくて!


古内
イタリアンはこうでないといけないという垣根を超えるんですね。

落合
イタリアンをベースにしながら、お客さんがおいしいと言ってくれるのが一番。たぶん歌も同じなのでは?いままで古内さんの曲が好きな人もいろいろなシンガーの方とコラボレーションする度に“この人と歌うとこんな歌い方するんだ”というのが聞けて楽しいんじゃない。


古内
そうなんですよ。意外と変わろうと思わなくても変わってしまうんですよ。自分でも発見がありました。

落合
それ、わかる!この前、フレンチと中華と僕と3人でコラボしたんだけど、同じ食材なのにああいうやり方もあるんだ。今度、僕のほうでも使えそう。ラッキー!とか思ったりするんだよね。

古内
落合さんですら、いまだに発見があるんだ。

落合
あるある。ありっぱなし。

古内
落合さんは、そういうフレッシュなマインドがあるからすごいですよね。

「食」も「歌」もライブであることが大事!


古内
長年レストランにいると、ガラス越しにカップルを見るだけで関係性がわかることはありますか?

落合
お客さんが満足されているかな?とか気になるよ。男女の場合どちらかが沈んでいる場合は、ちょっと辛くしちゃえ!とかね。盛り上がってもらいたいからさ。

古内
へー。それ、おっしゃれ!

落合
お客さんの表情を見ないと料理は作れないんだよ。昔はお客さんと料理人の接触がなかったんだけど、お客さんはお金払ってお召し上がりになるから満足してお帰りになっていただかないと次がない。それは、ライブそのもの。その場で答えが出てしまうからね。


古内
実は、シェフにそこまで考えていただいていたなんて。

落合
そうじゃないと仕事は続かないよ。毎日シチュエーションが違うから楽しい。古内さんもそうでしょ?ステージ上からお客さんのリアクションを見ると気合い入るでしょ?

古内
基本的には恥ずかしいから、お客さんの目は見ることはできないんだけどふとハンカチで拭っているのを見たりすると、こっちがグッとくることはありますね。泣かせようと思ったり、ここグッとくるでしょみたいなところではないポイントで人は琴線に触れるじゃないですか。

落合
僕も歌を聞いてそうなることあるね。歌ってすごいよね。歌の音程や歌詞で感動を与えられるってすばらしいよね。


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