パリの子育て事情

長谷川理恵さん(モデル、ヴィーガンスイーツパティシエ)×CHICO SHIGETAさん(ホリスティックビューティーコンサルタント)

2018

01.07

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ともに、ママであるおふたり。長谷川さんは5歳の男の子、CHICOさんは、生後半年の双子を母親として、仕事と育児と両立されていらっしゃいます。

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安心して子育てできる社会の仕組み



長谷川
フランスと日本で出産準備と出産後、何か違う点がある?

CHICO
 むしろ、日本の出産準備とか知らないからわからないけど、うち双子だから、かなりプレッシャーで。×2ってどんな生活?と思って、双子を出産したお友達がいたからいろいろ聞いたら、1にオーガナイズ、2にオーガナイズ、3にオーガナイズと言われ、オーガナイズというのは日々どんな動線で暮らすのかということ。例えば、子ども部屋とキッチンとの距離で、どこでどのようにミルクを準備してお風呂はどういう風に入れてここでこうしてという動線を全部チェックするみたいなそういう育児の専門家がいて、看護婦さんとは別で、その人に家に来てもらってアドヴァイスをもらって、産まれたては3時間ごとに授乳するけど、時間の短縮のために母乳をあげる時はふたり同時にあげるのね。それでも1時間半くらいかかるんだけよね、もたもたしているとあっという間に時間があって、また1時間半後には始まる、そう考えると、寝られないの。フランスだと育児の専門家みたいな人とか、元看護婦や助産婦さんが夜に来てくれるシッターサービスがあって夜10時から朝6時までいてくれるので、

長谷川
それ一般的なの?

CHICO
 使っている人はそんなにいない、うちもふたりではなかったら使っていないかもしれないけど、お母さんがどうしても寝たい時とかに来てもらって。安心じゃない、スペシャリストの人だから、ずっと子ども部屋に一緒にいてくれてから、わたしは夜、早く寝て、身体を回復して、母乳がいつも出るようにする、それに集中することができて、最初はみんなそうは言っても自分でできるか体験してから預けたほうがいいと、どのお母さんもみんなそう思うと思うの。でもいろんな双子の家族とお話しする機会があって、絶対それやらないほうがいいですよってみんなに言われて病院を出てからすぐ、その時は一番、忙しいからその時に絶対に来てもらってくださいと言われて。

長谷川
聞いておいてよかったね。

CHICO
そうなの、そのおかげで体力が回復して。

長谷川
それはありがたいね。

CHICO
いっぱい助けを借りていいんだというカルチャーがフランスにはあるのかな。

長谷川
そこよね

CHICO
あと女性が産休とってもすぐカムバックする社会だから、女性が仕事をすることがすごい大切だという認識と社会的に赤ちゃんのことをみんな好きなんだよね。赤ちゃんフレンドリーだし、あなたが赤ちゃん産んだら次はうちの番みたいな。だから産休を取って戻ってきても次は自分の番なんだし、みんなが順番なのが社会だよねみたいのがあると思う。あとはシッターサービスとか、公認のシッターさんではないけど、近所で小さな子がいるママが3、4人集まって、そこにシッターさんに来てもらう

長谷川
シェアリング

CHICO
そうそう!子どもたちを家に集めてみてもらう、保育園に入れなくてもそういうことをやってくれる人がいたり、社会の仕組みがちゃんとできているの、だから子どもが増えると思う。ウエルカムされている感じ。

長谷川
安心していられるよね。

CHICO
そうだと思う。


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母親が必要としていること


一方、日本で子育てされている長谷川さん。母親となった誰もが共感する悩みを打ちあけてくれました。

CHICO
理恵ちゃんは子育てで大変だったことある?

長谷川
産んだ後について教えてもらわなかったの。お産は大変、陣痛は苦しいよとかは聞いていて覚悟していたけど。赤ちゃんが生まれた後の大変さ、寝られないよとは聞いていたけど、ここまで寝られないのかとか、母乳でおっぱいが痛いとか、そういう情報がなかったからボロボロ、ホルモンバランスも崩れていたから、赤ちゃんは、かわいいし、すごいハッピーなんだけけど、ふと涙が出たりとか・・・。全部自分でメンタルの部分もケアしないといけないわけ、まだうちは母が一ヶ月住み込みで来て手伝ってくれたからよかったけど、地方から出てきて、たったひとりで、育てているママたちはさぞかし、精神的にも辛いだろなぁと思って。

CHICO
 そうだよね。

長谷川
追い詰められちゃうよね。

CHICO
わたしも自分でハッピーで楽しくて、でも、やっぱり、情緒不安定なんだよね。

長谷川
でもそれ仕方ないと言われた ホルモンのバランスだから。

CHICO
 そういう時期があったり、これでいいのかなという不安あるよね。仕事ではがんばって解決法ができたかもしれないけど、新しい命に対するものはないから。わたしも定期検診の時もすごい質問を準備して小児科の先生にぶつけていたけど、先生が「マダム」と肩を叩かれ、「赤ちゃんはとにかくお母さんのおっぱいを飲んで、抱っこしてもらって、成長カーブが標準の中に入っていれば何も心配はありません」と言われ、全然、腑に落ちなかったけど、先生から「赤ちゃんと会話をもってください」と言われたの、このしゃべれない子とどうやって会話するんだよと思ったけど、でも先生が検診の時に抱っこしたり、うつぶせにしたりしている時にすごい話しかけると、子どもたちが目をキラキラさせながら反応していて、これなんだと思って、これを会話と呼ぶのねとやり方がわかったから、それを家でやってみたら、泣く理由が全部わかったの。そこで肩の荷が下りて、子育て気が楽になった。

長谷川
会話ね。

CHICO
彼女たちは言いたいこととかメッセージははっきりしていて自分が不安だとそのメッセージはキャッチできない。

長谷川
普通は泣かれたら、お母さんはおしり?ミルク?どうしようとなってしまうよね。でも、常に会話していたらわかるんだね。

CHICO
それがキーかな。安心した。お母さんは信頼している人に「いいんだよ!」と言ってもらえるともっと安心するところってあると思うだよね。


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