Curate your week-end ! おすすめの週末の過ごし方

山崎直子さん(宇宙飛行士)×ふかわりょうさん(タレント)

2018

04.27

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「宇宙を感じる週末」のススメ



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山崎
わたしだったらプラネタリムに時々行ったり、宇宙の映画を見たり、SF小説を読んだりしています。本はSFに限らないんですけど、わたしたちが実際に経験できる範囲を吹っ飛ばして空間も時間も文化も越えて、いろんな疑似体験をしてくれるのでわたしは好きですね。読んでいると自分は実際には体験はできないけれどもちょっと旅をしているような気になります。最近、星新一さんにちなんだ星新一賞をやっているのですが、今年が5回目で、その審査員をしたんです。それがおもしろくて、ジュニア部門、学生部門、一般部門とあったんですけど、宇宙を舞台にしたお話もあればAIの話があったり、発想が豊かで、わたしが審査会の時にも表彰式でもコメントしたのが弓永 端子さんの「終末のハスラー」という作品です。これは一般部門の作品なんですけど、舞台が宇宙なんですね。普通、小惑星がやってくると「インディペンデンスディ」とか「ハルマゲドン」のような小惑星を壊すぞ!というようなことを思い浮かべるのですが、これは宇宙空間をビリヤードに例えまして、月を持ち玉にして小惑星をどかしていくという壮大な話なんですね。最後はオチがありまして数年後にまた大きな小惑星がやってくる、今度は月が持ち玉でなくなるので、今度は、火星を持ち玉にするしかないと。そうするとビリヤードではなくて・・・。オチは読んでください。最初は専門家がコンピューターで一生懸命計算するんです。でもコンピュターがあまりに計算量が多すぎてダウンしてしまうんです。またいろんな研究部の人がハスラーを呼んで、人間の直感でなんとかしてくれと。これ実は深くてコンピューターだけに頼る社会への警鐘というか、人間の野生の勘を忘れてはいけない、そういった爽快な読後感もある作品です。

ふかわりょう
おもしろいですね。

山崎
これ今、ホームページでも公開されているので気楽に読める作品なので、週末にちょっと読んでいただけると、また世界が広がるとおもいます。そして、週末のショートトリップとして訪れるのに、オススメな場所が、岐阜県にあります。
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」あだ名は、空宙博というんですけど、3月24日にリニューアルオープンをしたんです。展示面積が2倍近くに拡大して国内最大級の航空宇宙博物館になりました。わたしはこのアンバサダーとしてリニューアルの時からずっとお手伝いをさせていただいていたので、ぜひみなさんに見に来ていただきたいと思っています。例えば、ライト兄弟が初めて飛行したライトフライヤーの実物大の模型があったり、ゼロ戦の初号機の実物大の模型があったり、また実機の飛行機もたくさん展示されているところが見所なんですが、「飛燕」と呼ばれている43年の戦時中の戦闘機が、実機で残っているのはここだけです。宇宙の分野もリニューアルとともに充実しまして、わたしもいた国際宇宙ステーションの日本の実験棟のすごく精巧に作った模型があるんですね。いろんな実験をしている様子も体感できますし、あと今年、夏に「はやぶさ2号機」が小惑星に接近して2020年に地球に戻ってくる予定なんですけど、その展示をしていたり、いろいろ盛りだくさんなので是非お立ち寄りください。

ふかわりょう
ちなみになぜ、岐阜県の各務原市にあるんですか?

山崎
この岐阜県の各務原には国内最古、現存する滑走路があるんです。ですから日本の航空宇宙の歴史において各務原は実は歴史ある場所だったんですね。その各務原の航空場で様々な飛行機が試験をされていたと、そういった歴史があるので、数々の実機が展示されているんです。今世界とも連携をとっていて、アメリカのスミソニアン博物館だとかNASAだとかフランスの博物館だとか日本でもJAXAと連携をとって、これからも展示を充実させていこうとしているんです。


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ボーとすることの難しさ



山崎
ふかわさんの週末のおすすめは?

ふかわりょう
ひたすらボーとすることですね。最近、便利なものが増えて、特にわれわれの生活に一番影響を与えているのがスマートフォンでないかと思うんですよ。いろんな情報をキャッチできて、どこ行くのも便利だし、今となっては手放すことのできないものだと思うんですけど、こんな便利なスマホがわれわれの生活から奪ったもののひとつがボーとする時間だと思うんですね。何か時間あったらちょっと見てしまうとか、いろんなことがわかってしまうから思いを巡らすとかボーとすることがどんどん我々の生活からなくなってしまって、かつては授業中にボーとしていたら叱られましたけど、ボーとする時間をむしろこれからはポジティブに導入していかないと脳がヒートアップして疲れてしまっているなぁと、ボーとする時間は脳や心を休めることもあるし、それだけではなくて、宇宙とつながる時間だと思っているんですね。そのボーとしてる時間に何かインスピレーションなりアイディアなりそういったものが宿る時間だと思っています。

山崎
ほんとそうですね。

ふかわりょう
もちろん情報は有効ではあるんですけど、そことは別に、人間の本来もってる力を獲得するためにはボーとする時間が必要だなと。そのボーとするのに最適な場所が山梨なんです。

山崎
なぜ?

ふかわりょう
わたしは山梨が異常に好きで、よく、行くんですけど、温泉やほうとうも有名なんですけど、川も流れていて、自然の豊かなところでのんびりできるので、ぜひとも山梨県に行って自然の中でぼんやり雲を眺めるとかそういう時間がいいんじゃないかなと思います

山崎
ほんとうそうですよね。わたしたち宇宙飛行士に心理面でサポートしてくれるお医者さんのような方がいるんですね。JAXAの中にもいるんですが、その人にもボーとする時間は大切だとある時、言われました。例えば、電車の窓から外を見るとか、宇宙船でも窓から外を見てボーとする。ボーとしているようで実はそういう時、脳はニュートラルな状態に戻るらしいそうです。

ふかわりょう
だからこれからは能動的にボーとしたほうがいいなと。

山崎
意識しないとそういう時間が取れない世の中になっちゃいましたよね。


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山崎さんがおすすめしてくれた「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」は、航空と宇宙の両方がある本格的な専門博物館としては国内唯一で、航空宇宙の博物館としては日本最大級!!
是非、訪れてみてください。

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