居場所の見つけ方

大久保佳代子さん(タレント)×村田沙耶香さん(作家)

2018

09.07

null

「コンビニ人間」の世界観



 一昨年、「コンビニ人間」で第155回芥川賞を受賞した村田さん。累計発行部数92万部を超えるベストセラーとなりました。実は、この小説に声で挑んだのが、大久保さんです。オーディオブックなどの音声コンテンツを取り扱うサービス「Audible」より配信されている「コンビニ人間」の朗読を担当されました。

null

大久保
こんにちは。

村田
こんにちは。

大久保
 お久しぶりですよね、私が村田さんのコンビニ人間を朗読させてもらって以来?

村田
はい、その収録の現場にお邪魔して以来だと思います。

大久保
来てくれたんですよね。

村田
すごい素敵でした。

大久保
あれはあれでプレッシャーなんですよ。

村田
そうですよ。

大久保
わたし、朗読を初めてやったので。本当にあわあわあわ・・・って、こんなにスキッパがあったかしら?ってくらい、かつかつかつ・・・って、それを見に来てくれて。

村田
でも本当にありがとうございました。すごい素敵な朗読でものすごく嬉しかったです。

大久保
後からスタッフの方に聞いた時、たぶん村田さんは、上手に嘘をつける人ではないと。だから本当だと、ちゃんと受け止めることにしましたけど。嘘とかつかないですよね?

村田
あんまり得意じゃないですね。

大久保
ばれそうな感じがしますし、余計な嘘は口にしない感じですよね。

村田
そうですね。大久保さんのことは、以前からもちろんテレビで拝見していたんですけど、声が本当に素敵だなと思って。

大久保
嬉しいー。


null

愚痴の大切さ


小説「コンビニ人間」では、社会の中で生きづらさを抱える主人公の姿が描かれていますが、現実社会においても、誰もが少なからず同じような悩みを持っているのではないでしょうか?

大久保
いい人たちばかりじゃないから、嫌な同僚だったり、嫌なこと言う友達もいるじゃないですか?ある程度の悪口は絶対大事だと思うんですよ。センスある悪口を言える友達を一人でも見つけておけば、まずある程度は平穏な日常じゃないかなと思うんですけどね。

村田
私も友達が愚痴を言ってくれるとすごく安心して、愚痴を言わない友達がストレスで体調を崩してしまったり、ポキッと折れてしまったりするので。だから友達が愚痴を言ってくれるのは、すごく大事なことだと思っていて、見ず知らずの人だからよく分からないけど、こういう会社の人がいて、こんなにしんどくてっていうのを何時間も愚痴ったりして、それこそお酒を飲んだり、結婚している友達だったら昼間にお茶をしながらでもいいんですけど、7時間も愚痴ってくれると安心します。

大久保
村田さんはやさしいですね。

村田
そうですか?

大久保
わたしはまず愚痴とか言わないやつは、仮面かぶって本性を見せない、わたしに腹割っていないんだと思っちゃうから、その人のことを信用しないという角度になっちゃうんですけど、本当の友達なら愚痴を言ってもらったほうがたしかにいいかも。わたし友達の話は半分くらいしか聞いていないですもん、こいつの愚痴が終わったら次わたしが言ってやろうくらいの順番でみんな言っていくから、”わかるー”って言って共感して、酒飲んでわーって終わるのが女子会だと思っているので、

村田
そんなこと気にすることないよ、飲んで!飲んで!とか言ってるのが楽しいというか。それがちょっと発散できる良い関係だと思っています。

大久保
私がOLをやってる時、女の人が多い職場だったので、お昼休憩になると必然的にグループみたいのがあって、どこにも入りたくない時は、一人で公園に行って、パン食べてましたもん。その方が気楽だし、無理して入らなくてもいいよ。

村田
わかります。学生時代や思春期がしんどかったので、無理してグループに入って、自分を殺していた時期があったので。

大久保
女の子ってそういうのありますよね、絶対ね。

村田
絶対にあります。


文庫版の「コンビニ人間」が、文藝春秋より発売中です。
そして、村田さんの新刊『地球星人』が新潮社より発売中。

これまでの記事

その他の記事