子供たちに伝えたいダンスの魅力

森山未來(俳優、ダンサー)×辻本知彦(ダンサー、振付家)

2019

09.06

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「きゅうかくうしお」というパフォーマンスユニットも一緒に組んでいる、森山さんと辻本さん。日々、ダンスを追求するおふたりは、教育としてのダンスをどう感じているので
しょうか。

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恥ずかしさを捨てられない日本人



森山
何年前、ダンスが義務教育に中に入ったけど、ダンスが子供たちにどういう影響を与えるのか考えたことはある?

辻本
「パプリカ」が盆踊り大会で踊られていることにびっくりして、3箇所ぐらい行って3箇所とも踊ったね。サークルになって、子供たちが我が主役ばりに出てきて楽しそう、本当、夏の風物詩になるのかなと思ったくらいで、それと同時に自分が振り付けたものをこのような形で見るなんて想像したことがなくて、嬉しいもんだなぁと思って。

森山
だったら、盆踊りを義務教育化したほうがよかったんじゃないとおれはずっと思っているけどね。

辻本
踊りとスポーツとの違いはちゃんと考えた方が良くて、踊りでまず大切なのは、心、その次が小学生の言葉で言うと工作と美術だと思うんですね。その部分を教える人がいないと難しいだろうなぁと思って。

森山
だから例えばやけどその盆踊りは、テクニックではないやん。もちろん上手い人、地元の土を耕してきたおっちゃんがふっとの踊る盆踊りとかってすげーなって思うけどもそうでなくてもやること自体はそんなに難しいことじゃないのね、それよりもその輪になってシンプルな動きだけども、円を描いて、共有していくみたいな、すごく日本に根ざしたものだと思う。

辻本
一番いいのは学校で習ったものが地域のお祭りで発表できたりするのがいいなと思うし、日本人は、ダンスに対して恥ずかしさがある。やっぱ日本人はシャイだから

森山
だから多分その盆踊りみたいな簡単な動きとかみんなで共有するということによって、みんなしっかり踊れたりとかを踊ることに対して前向きになれたりするのは現実的にあるよね。

辻本
その集団的な踊りと僕もう一つ大切なのが個を伸ばす、型にはまった踊りを踊らないことの教育が必要だと思うんですよね。

森山
それはきっと根本的に何か覆さないといけない気がします。

辻本
はじめからダンスを形で習ってしまうと、ちょっと想像してくださいね、1歳、2歳、3歳の子が無邪気に体を動かしますよね、あれを純粋に伸ばしてあげたい。

森山
自分の個をその場で出したいって思ってもなかなか出せない子たちもいるかもしんないんですか、むしろ虐められてしまう。そういう子に向けてなんかアドバイスありますか?

辻本
会いたい(笑)。 ひとりひとりに言える言葉はあるんですけど、それをまとめて同じ言葉で言うのは僕あんまり好きじゃないんですよね。

森山
大きな言葉にするよりも一人、一人にちゃんと言葉を選んで渡したいということですね。


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個性を育てることの大切さ



森山
イスラエルに行っていた時、教育の話とかもけっこうしていて、イスラエルの人たちは子どもに甘すぎるみたいな言い方もされたりして、子供とか、ご老人たちに対するリスペクトが非常に高い国。例えば、すごい極端だけど、リアルに聞いていたのが、道で子供がこけるやん。そしたら、例えば「まあ大丈夫?」とか「何してんの、ドジやね」とか、そういうのがあったとして、イスラエルやと、「この床め、こかしやがって」みたいな、ほんま?って俺は一瞬思うけど、多分、彼らの教育の中では、間違えたことを咎めないとか、その人それぞれの可能性をちゃんと引き出そうとする教育が基本的にあるみたい。だから、例えば、間違ったとしても違う答えの導き方をさせるとか、そういうのがあるというのはすごくいいなあと思った。

辻本
僕が言いたいのはそれ(笑)。

森山
教育レベルで日本ができるかどうかわからへんけど個人レベルでそういうことを少しずつやっていくことは大事かもね。

辻本
今の話を聞いてわかった。決まり決まったことが嫌なんだな。自由にトライすることを小さい頃から学んでほしいな。一つの型にはめようとされてる気がするの、生きてて。それは分かる。そうしないと生きにくい。電車でもそうですよ、ある程度スペース守って乗らないとだめ。それができなかったら大変ですよね。自己主張を持ちすぎると俺的には日本は生きにくいなと思っちゃう。自分だけが変わってんのかなとか。

森山
同調圧力とか集団主義であるとか、それに思いを悩ますのももちろんみんなあるんやけど、今、僕が思うのは、これは日本という場所が偶然作ったこのメンタリティーでしかないとしか思えないんだとしたら、遺伝子学的にそうなんだって思うしかないのであれば、これをどういう風に前向きに僕らの強みにしていけるかということを考えたい。個人の強さだったりとか、出る杭を打つではなくて、伸ばしてやりたいし、自分自身にとっても言えるんだけども。だって渋谷のスクランブル交差点で最近、海外の観光客の人もいっぱいいるけど、あんなに大勢の人がいろんな角度から入り込んで来ているのにぶつからないっていうことがすごい。単純に海外の人たちからの驚きであったりすると日本人の空間把握能力が高いってことよね。

辻本
アフリカから帰ってきた時に、一番最初に思ったのが、電車に乗ってる時の空間把握の密着度、素晴らしい。日本人すばらしい。


おふたりのユニット「きゅうかくうしお」の新作公演は、11月22日から12月1日まで、
神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 で開催されます。

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