何事もリズム感が大事!

上野万梨子(料理研究家)×はな(モデル)

2021

01.29

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上野さんは、まだまだ海外情報が貴重だった時期にパリに渡り、コルドンブルーを卒業。パリ生活30年を迎え、この度、はじめての書き下ろし料理エッセイを発表されました。コロナ禍で外出禁止令のパリで再発見したことからはじまる渾身の1冊になっています。

パリのキッチンから



はな
上野さんが出版された『パリのしあわせスープ 私のフランス物語』を私も読ませていただきました。

上野
ありがとうございます。

はな
これは書き下ろしですよね。お料理中のエピソードだったり、上野さんが食べてこられたものだったり、本当に色んな思い出がギュッと詰まっている一冊ですよね。

上野
元々は、パリの食物語みたいな本のつもりだったんですか、コロナで完全ロックダウンで、家にいることになって。そしたら、これまでのことをいろいろ振り返ってみて、昔話も出てきたりとかね。フランス人のちょっと面白い話とか、今までお話ししてこなかったことも書きました。お料理のレシピだけじゃないですから。

はな
そうなんですよね。最初はお料理のレシピと思っていたんですが美味しそうなレシピももちろん掲載されているんですけど、キッチンの様子も描かれていてすごく参考になりましたね。

上野
この台所を作った時がもう30年以上前で、電気のコンロも非常に古めかしい。

はな
でも、キッチン、ピカピカですよね?

上野
サロンや他のスペースは、途中で壁を塗り替えたんですけど、キッチンに関しては、本当に30年間何もしてない。非常に痛んでいるところもあるんですけれども、ここを塗り始めると、私の家での一番大切な場所が使えなくなっちゃうでしょ。

はな
タイルの色も真っ白ではなくてほんのりちょっとベージュがかかったような色合いだったり、日差しを含んだキッチンスペースが素敵だと思って写真もまじまじと見ていましたね。

上野
ありがとうございます。


自立して、ブレずに続けること



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上野さんがパリに留学したのは、1970年代。まだまだ、女性が職業を持ち、自立して生きていくのが大変だった時代に女性として夢を持ち仕事を続けてこられたモチベーションはどこにあるのでしょうか。

はな
上野さんは、お料理をお仕事にしてどれくらい経ちますか?

上野
仕事を始めたのが27歳の時だから45年は確実に経っていますよね。

はな
すごいですね。45年間料理一筋ですね。

上野
その前に料理教室で習ったり、アシスタントの見習いから始まったから、もう料理を始めて半世紀以上になっちゃたからね。

はな
他に道はなかったんですか? その時にもう決めたんですか?

上野
私は大学時代に料理を習い始めて、結構深く興味をもち、それからずっとだから。私の場合は、お料理が上手だから料理の先生になったわけじゃないんですよね。要するに料理学校に通い、フランスに留学して、自分の生きる仕事として考えてきた人だから。そういう意味では、家庭で育んできたものを皆さんにお教えする入り方ではないですよね。

はな
でも、その時、お店を始めるとか、シェフやパティシエになるとか他に道はあったはずなのですが、なぜまた料理研究家になると決めたのですか?

上野
やはり若い時から付いていた先生に憧れた感じ。料理はたまたま今仕事にしていますけれども、道がちょっと違ったら、やっぱり音楽か何かやっていたかもしれないと思いますね。

はな
音楽もお好きなんですね?

上野
ピアノでしたけど、音感がいい。リズム感があって、でもそれはすごく料理にも関係すると思います。料理はリズムがあったほうがいい。何をするにしても調理場で自分の体でリズムをとっていきますよね。私の場合にはほっとくと音がうるさいかもしれない。

はな
でもリズムはなんでも大事ですよね。好きなことを続ける意味と言うか、幸せですよね。私も高校2年の時からずっと30年以上好きなお仕事を続けさせて頂いて、こうやって好きなことがたくさんあって。私もモデル以外にもエッセイを書かせていただいたり、ラジオで話しさせていただいたり、ナレーションもしていますし、まさか自分が高校生の時にこういった仕事の広がりがあるとは知らなかったので、やっぱり自分が好きと思うことを続けることかな。大学時代から仏像が好きだったり、パンダもお菓子作りも好きなことをずっと続けていて、自分では決して凄く広く浅くのつもりはなくて、なるべく深く追求したいと思っています。でも気が付いたらわりと好きなことが多いから、色々毎日フットワーク軽く、それこそリズミカルにいろんなことを挑戦したいなと思って日々頑張っていますが、気がついたら30年ですね。


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上野さん初の書き下ろしエッセイ『パリのしあわせスープ 私のフランス物語』は、世界文化社から発売中です。


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