自由だけが、クリエイティビティを最大限にする

向井太一(シンガーソングライター)×小泉智貴(ファッションブランド「tomo koizumi」デザイナー)

2021

05.07

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自身のルーツであるブラックミュージックをベースにジャンルを超えた楽曲を制作する向井さん。1年半ぶりのニューアルバム『COLORLESS』がリリースされたばかり。ファッションにまつわるコラムの執筆やモデルなど、音楽以外の活動の場も広がっています。一方、大学時代に製作した洋服がセレクトショップのオーナーの目にとまったことをきっかけに、自身のブランドを立ち上げた小泉さん。鮮やかな色遣い、大胆なシルエットが特徴的で国内外問わず、女優やアーティストからの支持も厚く、カスタムメイドのコスチュームも多く手掛けています。

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出会いは、インスタ!



向井
こんにちは。改めて、向井太一と申します。
小泉
デザイナーの小泉です。

向井
今回、僕からお声掛けさせていただいたんですけど、元々は、インスタグラムでtomoさんのドレス作品の写真を見て、ファッションの爆発的なパッションと言うか、ワクワクして、ウィメンズのドレスだけど視覚的に自分がインスピレーション、刺激を受けて何も分からずにフォローしたんです。そうしたらフォローを返してくれて、そこからDMでご挨拶させていただいて、今回、お話を頂いた時に、是非、僕はtomoさんとお話したいですとオファーしたんです。

小泉
嬉しい。

向井
ありがとうございます。
小泉
ほんと光栄です。
向井
初めましてだから聞きたいことがたくさんあるんですけど、僕は基本的に今まで CDジャケット、ライブやミュージックビデオは自分でスタイリングをしているんですよ。でも今まではどっちかというと、リアルクローズ、実際に普段着られるような衣装だったんですが、最近、それとは関係なく、ワクワクするようなものを探すようになって、それでtomoさんのドレスを最初に見て、もう爆発だったんですよ。インパクトが凄いじゃないですか。そもそも、日本にはドレス文化がそんなにない中で、日本人のデザイナーがワクワクするようなものを作り上げるのは素晴らしいと思って、そもそも、ドレスを作るきっかけはどういったことだったんですか?
小泉
自分はもともと親がファッションが好きだったけど、作る方は周りにいなくて、中学生の時に雑誌が好きで、メンズファッション誌を全部見て、それで情報が足りなくなって、その隣にある女性誌を見るようになりました。その時にオートクチュールのファッションショーのコレクション写真があって、衝撃が走り、恋に落ちたと言うか、自分のキャリアの運命が決まった瞬間があったんですね。そこからドレスへの憧れが始まり、そこをめがけてやってきたし、今もやっているところですかね。

向井
最初からみんなが着るような洋服よりかは、ショーピースみたいなオートクチュールを作ってみたいのが始まりだったんですね。
小泉
自分がやっている事や、やりたい事が、エンターテイメント寄り。最初のキャリアが衣装デザイナーで今も頼まれればやるんですけど、ずっと加藤ミリヤさんとかPerfume とかいろんな女性の衣装をデザインし、自分的には半分ファッション半分エンタメの世界にいる気持ちでやっていましたね。
向井
tomoさんのイメージが、ボリュームのあるフリルのドレスだったので、最初どういう経緯か気になっていたのですが、ファッションショーだったんですね。
小泉
その時はジョン・ガリアーノがクリスチャン・ディオールを率いていたんですけど、本当にその時ですらも、これがファッションなのかって感じだと思うんですよ、過剰で、すごくでっかくて、
向井
ラテンドレスみたいなコレクションですよね?
小泉
そうそう!そのコレクションを見て、これが、ファッションだというちょっとした勘違いみたいな、でも、もうそこで心が決まった感じでそこだけを目指して今もやっている。だから今も量産して売ったりはしてなくて、全部オーダーメイドで、あとは美術館に買ってもらったりとか、そういう活動をメインでやっているんですけど、あんまり着やすいものとか、買いやすいものに興味がなくてやっていない感じですね。


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日暮里から生まれた世界を驚かすドレス



ドラマティックでカラフル、ボリューミーなフリルを過剰なほどに使って作られる「TOMO KOIZUMI」のシグニチャードレス。一度見たら、忘れることができないほどのインパクトで、小泉さんは一躍、モード界の寵児となりました。そのドレスの誕生秘話をうかがいます。

向井
どういうインスピレーションやきっかけで作り始めたのですか?

小泉
あのデザインは、作り始めてから4、5年間、やっているんですけど、制約が元々あった中で自分のできることを最大限にやったら、あのドレスになった。例えば、お金もあんまりなくてサンプルを作るのに予算が割けない、でもあの生地はありふれているんです。どこの手芸店でも売っているような生地で、生地がたくさん売っている日暮里に通って、買い占めて、これで可愛いものができないかなと考えた時に、テクニックを色々試行錯誤しながら作って、だから全部の色があるわけではないし、それぞれの色も限られた数量しかないんですよね、余ったものだから。あるものを合わせて工夫するみたいな。

向井
なるほど。もともとあのデザインが頭にあって、素材を作ってではなくて、素材を探して、そこからインスピレーションを試行錯誤しながらできたんですね。
小泉
だから、例えば、自分が富豪の子供で、何でも作って、いくらでも使っていいよと言われたら、あれはできないし、果たして1個のテクニックに集中できたのかどうかもわかんないですね。自由だけが、クリエイティビティを最大限にする条件ではないのかなと思います。自分は条件があるほうが力を発揮しやすいですね。衣装の仕事も元々テーマとか、もちろんその人の好みがあるので、それに合わせてベストを尽くすのはずっとやってきたからそれに似ているのかも。
向井
今後、着やすいとか量産しようという気持ちはない感じなんですね。
小泉
企業とかブランドとコラボレーションをして、実際にお店で売られるものを作る機会が何回かあって、これからもあると思うけど、そういう時に一般の人に買ってもらえたら自分は満足ですかね。流通や生産は、それはそれでまた特別な知識がいるし、そこに自分は入りたくないけど、やってもらえるならいいかという感じで、気楽にやっています。
向井
でも、ここ最近、Emilio Pucciやsacaiとかコラボが目立つじゃないですか、そもそもマーク ジェイコブスの店舗でやられた時もTシャツとドッキングさせたのは新しい提案だなと思ったんですよね。リアルなTシャツ、カットソー素材とフリルの組み合わせが、ちゃんとリアルに着られるようなものとして見えて。逆にコラボとかはありだなって感じですね。
小泉
別のプロジェクトという感じ。自分のメインのブランドはすごい過剰な、でっかいものしか作らなくて、あと1回きりがいいですよね。色々試せる機会で、他のブランドさんのいいところと合わさって相乗効果が生まれて、でも1回だけしかできないみたいな、そういうのは楽しい。


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