ネガティブなものをポジティブなパワーに変えていく

向井太一(シンガーソングライター)×小泉智貴(ファッションブランド「tomo koizumi」デザイナー)

2021

05.28

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進化する向井太一の世界観



小泉
向井くんの歌をすごい好きで聴いているんですけど、何で好きなのかなと思った時に、しっかり聴きたい気分の時はそういう人の曲を聴くけど、向井くんの曲は、生活に馴染むと言うか、音も軽やかな感じだし、歌詞を聴いて没頭できるし、寄り添った曲を作りたいんですよね?

向井
例えば、落ち込んでいる人がいるとすると、その人に向けて曲をアプローチする時に高いところから引っ張っていくよりは、その人の苦しみとかを全部感じつつ、隣で寄り添って引っ張ってきたタイプなんですよ。自分自身も凄いコンプレックスが昔から強かったり、自分をマイノリティーに感じることも多くて、それもありつつ今の自分がいるから、そういうネガティブなものをポジティブなパワーに変えていくために、ずっと歌っていきたい。だから生活に寄り添うと言われるのはすごい嬉しいです。

小泉
確かにそこが多分好きなのかも。押し付けがましくない感じ。これみよがしではない感じの軽さ。

向井
海外の音楽を聴いていても思うけど、リアルな人が評価されている人が多いですよね。自分の人生があって自分の意思があって、それをストレートに表現している人の方が評価されていると思う。日本は、どっちかと言うとファンタジーだったりとか、どこかちょっと生活とリンクしていない。僕はもっと人生をかけてというか、命を削って歌いたい。僕が一番好きなアーティストは、エイミー・ワインハウスで、エイミーは、まさに人生をかけて歌っていた人で、ありのまま自分が生きてきた人生をそのまま歌詞にしている。そういう存在になりたいなと思って、悩んでいたら悩んでいる歌を書くし、ファンの人とフラットな目線で発信が出来たらいいなと思います。

小泉
曲や歌詞を書く時により個人的な話になるほど、これって自分の話と思う人がすごい増えるみたいな。

向井
リンクした時のパワーはすごいですよね。

小泉
そう。え、なんでわかるのみたいな!

向井
嬉しい。ありがとうございます。


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プライベートファッションスタイル



小泉
向井くんは、スタイリングも自分でやっているけど、自分に似合うものをどう見つけている?

向井
よく聞かれるんですよ、注目しているトレンドアイテムは何ですか?とか。でも、正直トレンドとかよくわかってなくて、一番意識するのは、自分がより気持ちよくなれる洋服。着心地とか正直どうでもいい。着ていてテンションが上がったり、着て街に出た時に何回も着ているところを見てしまうとか、そういう自分の気持ちを高めてくれるものをすごい意識していますかね。

小泉
人からどう見られるかはそんなに?

向井
どうでもいいかも。

小泉
自分の気持ちがどう働くかが大事?人からかっこよく見られたいとかクールだと思われたいみたいな。

向井
人の考えとか裏切りたいんですよ。自分がファッションを選ぶ時もメンズ、レディース関係なく着ます。女性もののヒールも履いたりするので、その時は、マニッシュなアイテムと組み合わせたりとか。

小泉
やっぱり期待を裏切るみたいな、楽しませたい、あっと言わせたい?

向井
あとは他にはできないだろうという(笑)。自分にしかできないもの、自分にしか表現できないものをずっと探し続けていますね。

小泉
今日のファッションのポイントは?

向井
シングルのラルフローレンのヴィンテージのジャケットにバスクシャツにデニムで今日は気合入れてヒールで来ました。これレディースです。他のアイテムがベーシックな感じなんで、今日はヒールを合わせました。ご自身がファッション選ぶ時はどんなことを意識するのですか?

小泉
かっこつけている感じになりたくなくて、恥ずかしいんですよね。変な服もたまに買ってしまうんですよ。友達のブランドの展示会の時に一番派手な服を買って、届いた時に、これすごくない?みたいな。デザイナー同士だから、その子が一番気合い入れたのを買ってしまいたくなる。オーセンティックなもの、定番的な物やスポーツウェアも着ます。

向井
作られているものと真逆なんですね?

小泉
そう。家の近所とか普通に歩いている時はヤバイ格好している。

向井
最後にプライベートな質問として、週末は何をやっていますか?

小泉
興味の向くまま、例えば、映画を見に行ったり、美術館もすごい好きですし、あと本は読みますね。小説も読むし最近は経済書、自分のブランドを資産と捉えてどうやって運用しようかなとかちょっと大人の考え方もしつつ。2冊おすすめがあって、自分がすごい影響を受けた村上春樹さんの「職業としての小説家」、これは読んだらすごい楽しいと思う。もう1冊は、経済書の「好きなようにしてください」という本があるんですけど、経済学者の方がお悩み相談されるんですけど、結局何でもあなたの自由だから好きなようにしてください、責任は自分で取ればいいじゃないですかという本。それにすごい勇気づけられて、今みたいな勝手な事を勝手にやっている感じですね。

向井
今の活動につながっている本ですね。

小泉
そうですね。機会があったら読んで欲しいですね。


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