人間にも植物にも心地いい空間とは?

原沙知絵(女優)×杉山拓巳(熱帯植物栽培家)

2022

09.30

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原さんは、ドラマや映画、さらには、教養番組や雑誌などで幅広く活躍中。また、自然療法を学び、日々の暮らしの中で実践されています。一方、杉山さんは、愛知県で「ビカクシダ」や「ブロメリア」といった数多くの熱帯植物や観葉植物の育種、生産に取り組み、YouTubeやInstagramのライブでも人気を得ています。

熱帯植物に特化した理由



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杉山
よろしくお願いします。

お久しぶりです。

杉山
ちょっと久しぶりすぎて緊張します。

2 年ぶりですかね。まず、杉山さんと私の出会いは、私がある女性誌の連載ページを持っていて、そこで対談のオファーをしたら、快く引き受けてくださったのがきっかけでしたよね。

杉山
その前に、インスタをいきなりフォローされて、何が起こったんだ!と緊張しました。そして、同い年ですよね。

それもびっくりだったし、私はNHKの番組の植物のコーナーに杉山さんが出ていたのを拝見して、朝早くに植物に対してこんなに熱量を持って、しかもめちゃくちゃ楽しそうに話をする人は何者だろうと思って、すごく魅了されまして、お会いしたくてオファーしました。杉山さんのバイタリティがすごいと思って。お仕事の肩書きとしては、熱帯植物栽培家ですが、熱帯植物だけではなくて、植物全体にいろんな興味があって、発信しているので、熱帯植物でなくてもいいのでは?

杉山
やっぱり一番好きなのが熱帯植物です。何で熱帯植物が好きかというと、もちろん日本の植物も素晴らしいところがあって、休眠する紅葉、春に芽吹くのも素晴らしいし、日本の奥ゆかしさだと思うんですけど、僕は寂しがり屋なので常に緑がたくさんあった方が嬉しい。日本の住環境は今、気密性がすごく高くなって温度を足さなくても大丈な熱帯植物があったりして、そういうのを育てて欲しいと思うようになって。

質問してもいいですか? 熱帯植物は枯れないんですか?

杉山
基本的には温度と光、風、水、この4つがあれば枯れていかないです。どんどん更新されていきます。それはお花が咲いて種ができたりで更新されていくので、例えば、家でももう何十年もいる株が平気であります。植物園で言うと、愛知県の東山植物園には、昭和9年に植えられたゴムの木があったりして、日本でも結構古くからのが存在するんですよ。

ギラギラした目で語ってくれますね。この表情を伝わらないけど伝えたい!


植物を枯らさないためには



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2年前にお会いした時に、植物をすぐ枯らしてしまう人にも育てやすい植物はないですかと質問をしたと思うんですよね。それで、「エアプランツ」を紹介していただいて、でも、やっぱりうまく育てられなくて、お亡くなりになったりしたんですよ。風と光が大切だとおっしゃって、それで気がついたのは風と光のバランスは、植物だけではなくて、人間も必要。だから本当に人間が生きる環境が人として過ごしやすい場所であれば、植物も絶対、過ごしやすい場所ということに気がついて、暑すぎる部屋だと人間もちょっと呼吸が困難になって、水分不足になるし、湿気が多すぎても、肌には良いかもしれないけど、カビが発生する原因になったりするから、植物を中心にいろいろと生活を変えていくと人間にも優しい住まい作りに繋がるんじゃないかな。人間は自分なりに学ぼうとして自分が心地よければいいと思って生活しているけど、植物は言葉を喋らないし、嘘もつかないから、ダイレクトに反応するじゃないですか。それで、発酵食品も同じだなと思ったんですよ。あまり環境の良くない環境で、お味噌やお漬物を作ったりすると、いい菌でなくて変なただのカビ、発酵でなくて腐敗になってしまう。人体と発酵物と植物は、みんな心地よい環境を求めていて、だから生き物が過ごしやすい環境さえあれば、植物も人間も発酵食品をうまく生き延びられるのではないかと、最近はそこに注目点を置いて生活しています。

杉山
本当に僕もそう思っていて、室内でも風を動かしたり、光をなるべく取り込むと考えるだけで、空気が動いていると、人間も植物も心地いいんですよね。

あんまり難しいことを考えなくていいと思って、何が言いたいかというと、ちょっと人間が人工的に手を加えてあげること。風がないなら風を起こしてあげればいいし、断熱性がなかったら断熱性を強くすればいいし、気密性を強くすればいいし、そうすれば健康で、冬は寒くなく、夏は心地よい風が通る家ができるから自然からもらうヒントはすごいと思っています。

杉山
熱帯植物は一定環境であればあるほど、ぐんぐん成長してくれるんですよ。日本のように寒かったり暑かったりすると植物も春と秋が生育するんですよ。実は熱帯植物も日本の夏はめちゃめちゃ暑がって生育を止めちゃうんです。ハワイは20度から30度ぐらいの気温帯のところが一年中続いているから、ハワイの熱帯植物は、実は自生地よりも大きくなったりする。そういうのを見てくると日本でも、例えば気密性の高い家で夏も暑くない環境ができると、植物はそこに慣れて、いい顔になるんですよ。

杉山さん、私の家でちょっと実験しませんか?


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