パリと東京、そして友情

雨宮塔子(フリーアナウンサー、エッセイスト)×渡辺有子(料理家)

2023

01.20

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不思議な共通点!



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雨宮さんは、アナウンサーとして、情報やスポーツ、ラジオ番組などで活躍された後に、単身、フランス・パリに渡り、フランス語と西洋美術史を学ばれました。

一方、渡辺さんは、大学卒業後、料理家のアシスタント、編集プロダクションでの勤務を経て、料理家として独立。雑誌、テレビ番組、イベントなど幅広い分野で活動され、料理だけではなく、丁寧でシンプルなライフスタイルも人気となっています。

パリと東京。それぞれ、拠点となる場所や職業も違うお二人ですが、どこで、どのようにして出会ったのでしょうか。

雨宮
こんにちは。

渡辺
こんにちは。

雨宮
こうやって有子ちゃんとラジオで向き合っているのが、ちょっと不思議ですけど、実は私たちはだいぶ前からの知り合いで、一番初めに出会った時のことは覚えている?

渡辺
もちろん。パリで会いましたね。

雨宮
そうですね。何年前だっけ?

渡辺
もう10年以上前、もっと前かな。

雨宮
パリに2人の共通の友人がいて、「有子ちゃんがパリに来るから一緒に遊ばない」と言われて、でも私、あまり、有子ちゃんがどういう人か知らなくて、出会った時は、すごい朝が早かったんだよね。

渡辺
「初めまして」と言ったのは朝でしたね。

雨宮
食品市かな。

渡辺
郊外に買い物に行きましたね。

雨宮
パリ市内ではなかったんだよね。友人が車を運転して連れて行ってもらい、食品市に興味があるのは、やはり食関係の方だみたいな感じで行ったら、いろんな不思議な共通点があって。

渡辺
東京で住んでいるところが近かった。

雨宮
下手すると歩けるし、自転車で行ける距離だし、実家も隣町ぐらい。

渡辺
生まれたところも近かったり。

雨宮
昭和臭漂う幼少の頃の写真も見せ合ったりして、仲良くなり、私が日本に帰国する度にしょっちゅう遊んでもらっていたんだよね。

渡辺
東京に来た時にご飯を食べたり。

雨宮
一方的に有子ちゃんがご飯を作ってくれたり。

渡辺
それぐらいしかできないから。

雨宮
子どもが小さかったから、母に子供を預けて外食するのがすごい気が引けて、2人の手を引っ張って連れて行って、その時に子ども用のご飯を別に用意してくれていて涙なくしては語れない。

渡辺
なつかしいね。

雨宮
有子ちゃんが作ってくれた料理は、和だよね。和だけど、ちょっと洋もかかるけれども、体に優しくて美味しく、8品ぐらい出るから毎回覚えられなかった。

渡辺
子どもたちには、本当にわかりやすく、食べやすい唐揚げとか。

雨宮
おにぎりでも枝豆が入っていたり、やっぱり一味違うんですよ。手をかけていただいて、それを子供たちが美味しそうに食べて、食育というか、あれで子供たちは和食の素晴らしさと温かさを知った。

雨宮
有子ちゃんの家も素敵だしね。

渡辺
あの頃は本当に古い小屋みたいな部屋だった。

雨宮
有子ちゃんのキャラクターに合ったほっこりもするし、いい味がある、そして家具も厳選された素敵なお家でしたよ。

渡辺
本当に10年以上前ですね。私は初めて塔子ちゃんにパリで会った時にもちろん存じ上げておりましたが、本当に気さくで、フランクで、塔子ちゃんの子どもたちが小さかったから、下の子が、道路で寝そべって嫌だって言っているのをどうにか連れて帰るみたいな普通のお母さんの一面も見られて、普段こんな輝いている人なのに、そこで、塔子ちゃんのことが大好きになった。

雨宮
本当に深い話もして、2人で泣いたり、いろいろやっていましたよね。一回会うと2、3時間ではすまないもんね。


パリでは暮らすように滞在する



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雨宮
フランスといえば有子ちゃんも買い付けによく来るもんね。

渡辺
パリにとにかく行きたという感じで行っていて。

雨宮
その割には住むように暮らしていて。

渡辺
フランスは、美味しいものがいっぱいの国でもあるしね。

雨宮
でも有子ちゃんから見て、野菜も果物も違う?

渡辺
全然違う。日本の良さももちろんあるし、季節を感じるのは、日本料理でもあることだけど、フランスのマルシェに行くと、本当に美味しそうなものが並んでいて、その季節でないと食べられないものがきちんと守られているじゃないですか。

雨宮
そうかもしれない。確かに旬はね。

渡辺
キノコが美味しい季節だったらキノコがふんだんに出ていて、それをバターで炒めただけでも美味しい。手はあんまり加えなくても美味しい。野菜の味が濃いと思ったんですよ。ジャガイモひとつとってもいろんな種類があって、オープンで焼いただけでもいいし、茹でただけでも美味しいし。初めてフランスに行った時にジャガイモのグラタンを作ったらこんなに美味しくできるんだと思ってびっくりした。

雨宮
確かにそういうところでは技がいらないかもしれないですね。フランス人が大好きなジャガイモのピューレも「アガタ」いう種類のジャガイモでないとダメとか、その「アガタ」が、売っているところとないところがあったりして、そういうのをマルシェに行くと売っている親父さんに聞きながら「これ作りたいけど何が向いているの?」なんていう会話も楽しいし、それはフランスで旅する楽しみかもしれませんね。

渡辺
今、日本だと個人商店が減ってきて、スーパーマーケットで買うと季節感があまりなくなってきているのが正直あるけど、フランスのマルシェでは、パックされてない野菜がいっぱい並んでいて、必要な分だけひとつから買えるのはすごく今の時代には理想、昔からやっているスタイルなのに今の時代に合っているなと思う。

雨宮
本当に旬はすぐになくなってしまって、例えば、秋のフルーツ、フィグやプラム系で黄色くて、小粒で本当に味が濃いミラベルは短くて、日本から来たい人はみんな感動する。

渡辺
ミラベルは、そのまま食べるのが一番?

雨宮
そうだね。すぐになくなってしまうからたくさん買ってジャムにしたり、ミラベルは毎日のように買っていました。

渡辺
旅行中、そんなに長い旅行でなくても滞在している間にずっと外食だとちょっと疲れるので、キッチンがあるホテルにすると自分のペースで食べたいものを買ってこられるし、現地の味が楽しめるし、外食ももちろん美味しいけど、マルシェで買った味を試せるのはすごく魅力的で楽しいと思って。

雨宮
料理教室もやってくれたね。

渡辺
そうだった。すっかり忘れていた。

雨宮
在住日本人の友達を集めて、フランスの食材で作ってくれて、美味しかったし、すごく勉強になりました。



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