体の調子をよく保つことで、心の調子も良くなる

松本千登世(ビューティエディター、ライター)×高尾美穂(産婦人科医)

2023

08.11

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女性は、ホルモンの分泌の変化によって、ライフステージごとに不調を感じることが少なくありません。そうした女性特有の体や心の悩みを解決する方法はあるのでしょうか。

時間をかけて向き合う



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高尾
今の時代、特に女性でご自身の人生を良いものにしていこうという思いをお持ちの方は、いろんなところから情報をゲットされていると思うんですよ。でも、その一つ一つがあんまり繋がっていなかったりする。例えば、ホルモンやお肌のこと、そしてお肌とは全然関係のない体の一部である骨のこととか、この辺り、実は結構絡み合っていると知っていただくと、多分、ぶつ切りになっている情報が、一気に繋がるんですよ。繋がると、すごく面白くて、結局、私たちができることは、そんなに多くはなく、体の調子をよく保つことで、心の調子も良く保つとか。でも、心の状態をよく保つのが結構、難しいですよね。目に見えないし、数字化できないし、検査で異常を指摘できることも、いまいちできなかったり、そう考えると、できることはまず体の調子を良く保つための努力で、そうしていると、心の調子もまあまあに保てる、そんな考え方も持っていただけるといいのかなとは思っているんですけどね。

松本
先生がおっしゃったように体と心と骨と肌とか、あと環境とかライフスタイル、ライフステージとか、全部に関係していますね。

高尾
そうですよね。ただ私たちは、結構調子が悪いよと言ったときに、病院に行けば治してもらえるとか思うじゃないですか。でも女性の不調は、意外とこのスカッと治るものでもなかったりして、大きく関わっているのが、今は、おっしゃってくださったようなまさに自分がどういう生活を送っているのか。どれくらい眠って、どれくらい動いて、どんな方とどんなものを食べて、毎日をどんな気持ちで過ごしているのか、この部分がどれだけ大きな影響を自分の体と心に及ぼしているかはあんまり皆さん意識していないんですよね。

松本
そうかもしれませんね。

高尾
そう考えたときにやっぱり自分の生活を見直すというよりは、振り返ってみてもらう、そこに何か原因がないかなと探してみてもらう。それが多分ご本人にとっては良くなっていくための、間違いなく一歩だと思っているんですよ。働く女性は、本当に忙しいじゃないですか、そんな中でわざわざ外来に来てくれて、相談をしてくださった方に、自分で良くしていけるのかもと知ってもらえると、いいなと思っています。

松本
そうなんですね。先生にそういうふうに言っていただけるとちょっと行動を変えてみようかなとか、思えそうな気がしますね。

高尾
人の行動を変えるのは、本当に難しく、平たい言葉で言うと行動変容と言いますけど本当にお話をしても、「うん、わかった、わかった」とみんななるわけですよ。でもそれをおうちに帰って実践するかどうかは、本当に人それぞれで、トライしてみることのハードルの高さ、だからそこまでをやっぱりできるようなモチベーションを届けないといけないだろうなと私も思っているんです。例えば、3ヶ月に1回、外来に来てくださる、次3ヶ月後に会えるまでの間、前向きにご自身の生活を続ける。そしてプラス、お薬が自分にきっと合うと思って、それを続けていくことで困っていることがちょっと良くなるみたいな。あぜ道の上を走っていくのは自分という考え方だと思っているんです。私たちができることは、あくまで、あぜ道を作ることで、その上を走っていくのはご本人なんですよ。でもこれは、多分、千登世さんのお仕事も一緒。あなたのお肌にはこれがいいんじゃないとおすすめなさることもあるじゃないですか。でもそれをやってみようってまず思えるかどうか。そして、それを続けられるかどうかで、そのためにはきっとご自身が変わったという感覚を持てるかどうかがすごく大事で、でもそれってプロだから受け取り手にとってはどう変わっていくのかイメージができてなかったりすることも多いわけ。そこで、例えば「こんなこと、変わっていませんか?」と聞いてみると初めてそこで、そういったこともあったりすると気付くんです。

松本
実際は変わっているのにそれに気付けてない。

高尾
そう。ほんのちょっとずつの変化だからやっぱりそんなに体のことでもお肌のことでもザクッと良くなることは、そうないじゃないですか。そう考えると、こんなことが変化しているかもしれないんだけど、どう?みたいな。その問いをちゃんと私たちが提供できると、そのあぜ道が確固なるものになって、ご本人が不安なく、次の3ヶ月後までの間を過ごせるというイメージですよね。

松本
そうですね。


自分を労ることも大事



一方、松本さんのお仕事は、最新のトレンドコスメを分析したり、女性誌の美容企画に参加されるなど、まさに「美のプロ」。独自の哲学や美意識から、ビューティエッセイの名手とも言われていますが、そもそもどのようにして美容の世界へと足を踏み入れたのでしょうか。

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高尾
千登世さんの専門、まさに「美」とか、それから、きっとお肌や髪の毛とか、そしてそこに関わってくる年齢を重ねていくこと、この辺りのこれからの考え方と、今、千登世さんが考えておられることをぜひ教えていただけませんか?

松本
化粧品が本当にどんどん進化をしていて、年を取らないことが可能になるのではと思う瞬間もあるんですけど、基本的には何か道具を大事にするように、自分自身をすごく大事にして、長持ちさせるという感覚で化粧品と付き合ったらいいんじゃないかなと思うんですね。今日、先生とお話ししていても思いましたけれども、ただ長くということではなくて、やっぱり自分が楽しく自分を面白がって、それがまた他人も巻き込んで巡っていくといいなと思うと、やはり自分が上機嫌で、調子よくいることは大事だと思うので、そのために化粧品は、すごく助けてくれる味方だと思いますし、シワもシミももちろん嫌だなと思うと、自分が不機嫌になっていくので、それをケアするのも大事かもしれないし、その人その人の調子の良さとか、上機嫌でいられることをちゃんと見極めて、自分を長持ちさせるという感覚を大事にして、化粧品と付き合っていってほしいなと思うんですけど、先生どうでしょう。

高尾
おっしゃる通りでね、今のお話をお聞きしていて思った言葉が、メンテナンスですね。木の床をどんどんどんどん磨けばツヤが出るとか、それこそバイオリンがだんだん、年季が入ってくるとか、多分そんなイメージですよね。私たちも、例えばお薬を使うようになるきっかけをすごく残念がる患者さんもいらっしゃるんですよ。例えば、コレステロール値が高くなってきたからお薬を使い始めましょうと言われたときに、このお薬、一生飲むんですよね、みたいな言葉を聞いたりすることもあるんですけれども、でもよく考えて、自分の良い状態を維持するためのメンテナンスだと考えたら、ある意味この日本で、質の高い医療、しかも安いお値段で受けられる、これは世界的に見たらものすごくありがたい状態。そして、自分が良い状態を保つ、こういったことは、千登世さんの専門分野でも私の専門分野でも同じことで、きっと通じ合う部分があるんだなって今思いました。

松本
本当にそうですね。自分をご機嫌にするのを自分がやった方がいいなと思いますね。専門の先生にお話を聞いて、うまく自分のものにして、自分も上機嫌にするのが重要。

高尾
自分が上機嫌でいると、周りの方たちも嬉しいんです。本当に大事。

松本
大事です。



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