2021/11/28

「入り口にこそ華がある!」全国に1万本以上ある“トンネルの魅力”を専門家が解説!

DDP編集部

11月28日(日)の放送では、トンネル探究家の花田欣也(はなだ・きんや)さんをゲストに迎え、トンネルの魅力についてたっぷりと語っていただきました。

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(左から)ホラン千秋、花田欣也さん

レンガで造られた120年前のトンネル

花田さんによると、トンネルは全国に道路で約1万1,000本、鉄道で約5,000本あり、それ以外にも、高速道路や地下鉄、用水路などのトンネルも含めると、膨大な数のトンネルがあると言います。

トンネルにはいろいろな楽しみ方があり、その1つとして、旧神岡鉄道(岐阜県)のレールの上をマウンテンバイクで走る新感覚アクティビティ「レールマウンテンバイク Gattan Go!!(ガッタンゴー)」を挙げます。渓谷沿いを行くコースには、鉄橋やトンネルもあってスリル満点で、「(走りながら)風の音と“ガタン、ガタン……”とレールの継ぎ目の音だけが聞こえてくる。これはけっこうハマりますよ!」と太鼓判を押します。

また、兵庫県神戸市にある「湊川隧道(みなとがわずいどう)」が今年で完成120年、一般公開を開始してから20周年の節目を迎えたことから、11月21日(日)に「トンネルサミットinひょうご」が開催され、花田さんも参加してきたそう。

湊川隧道は日本初の河川トンネルで、現代に残る近代化産業遺産として知られており、ライトアップされているトンネルのなかを歩いて見学することができます。「ここがすごいのは、(トンネルが)レンガで造られている点です。

“インバート(※)”という用語があるんですけど、そこに水が流れますから、いろいろなもので摩耗してしまうんですけど、その部分を(摩耗を防ぐために)上も下もちゃんと石で固められている。それを120年前の明治の人がちゃんと考えてやっていたんですね」と、そのすごさを語ります。
※インバート…トンネル掘削後の覆工において、低部のアーチ型にコンクリートを巻き立てた部分の名称

トンネルの素材で時代がわかる

花田さんいわく、江戸時代の初期からトンネルはあるそうで、「古くは箱根の用水路。1.3kmというすごい長さを、ノミと槌(つち)を使って手作業で掘ったそうです。大分県にある『青の洞門』は、お坊さんが旅人の安全を保つために手掘りをしたそうです」と解説します。

そして明治時代になると、レンガ造りのトンネルが誕生。「“イギリス積み”や“長手積み”など、レンガにもいろいろな積み方があります。山には“圧”がありますし、日本は火山や温泉が多く、水を含んでいるので重い。また、どんどん水が漏れてきますから、それを明治の人たちは、そこもよく考えてレンガを積んだ。だから、先ほどの湊川隧道も120年も(崩れずに)保っている。まさに職人技」と力説します。

さらに明治・大正時代には、石のトンネルに加えてコンクリートのトンネルも誕生。関東大震災でレンガの建物が崩れてしまった影響もあって、大正時代の末期になるとレンガのトンネルは造られなくなり、以降はコンクリートのトンネルが主流になっていきました。花田さんは総じて、「トンネルの素材で時代がわかる」と声を大にします。

“入口”こそトンネルの華

トンネルの見方については、まずは“正面から見ること”を推奨する花田さん。トンネルの入口のことを“ポータル”と言うそうで、「“入口こそトンネルの華”と言われますし、そこを見るのが一番好きですね。ポータルを見ると、いろいろな表情が見えてきて、調べれば調べるほど奥が深いなと思います」と熱く語りました。

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