2022/02/20

空を見上げると「国際宇宙ステーション」が見えるってホント? 国立天文台 副台長が解説!

DDP編集部

2月20日(日)の放送では、前回に引き続き、国立天文台 副台長の渡部潤一(わたなべ・じゅんいち)さんをゲストに迎え、日本各地で見られる星空の魅力について語っていただきました。

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(左から)ホラン千秋、渡部潤一さん

渡辺さんが見た“思い出深かった星空”

渡部さんによると、日本にはプラネタリウムや一般公開されている天文台などを含めると、300〜400ぐらいの天文関係施設があり、「世界一密度が高いと言われているぐらいある」と言います。

ホランに、“これまでに見た星空で思い出深い場所”を聞かれた渡部さんが真っ先に挙げたのは、長野県木曽郡にある「東京大学木曽観測所」。とてもきれいな黄道光(こうどうこう)を見たそうで、「星占いの12星座は全部、太陽の通り道である黄道(こうどう)に沿ってあるんですけど、実は道として光っているんです。

それが見られるのはオーストラリアぐらいで、全部は見えないんですけど、日本だと太陽に近い側、例えば、日が沈んで真っ暗になった後にもそれが伸びていたり、日が昇る真っ暗な時間帯でも、東から帯が見えて黄道光が見えましたね」と振り返ります。

そして長野県は、渡部さんが“宇宙県”と謳うぐらいに宇宙関係施設も多く、「標高が高いと空気がきれいになるので、比較的きれいな星空が見える」と話します。また、そうした場所は日本のあちこちに存在するそうです。

肉眼でも簡単に見つけられる星座は?

次にホランが、オリオン座のように“肉眼で簡単に見つけられる星座”があるかを聞いてみたところ、「オリオン座ほど目立つものはありませんが、季節のランドマークがある」と渡部さん。

春は、北の空に北斗七星があって「7つの星の柄杓の持ち手の部分が少しカーブしているんですけど、カーブを伸ばすとオレンジ色の星にぶつかって、それをさらに伸ばすと南の空の真っ白な星にぶつかります。これを『春の大曲線』と言います。

北斗七星自体は2等星からなっている星の並びなんですけど、オレンジ色の星をアルクトゥールス(珊瑚星)と言いますが、それはうしかい座の1等星で、一番先っちょにある南の空にある真っ白な星をスピカ(真珠星)と言って、それはおとめ座の1等星です。両方ともポツンとしていますが、見つけることができると思います」と解説。

さらに、「秋は1等星が1つだけしかないので寂しいんですが、頭の真上に4つの四角形がくるんですけど、これを『秋の四辺形』と言います。つまり、冬と夏は『三角形』、秋は『四角形』、春は『曲線』というランドマークになります。秋は四角形が暗いので都会だと見づらいですけど、そのほかは1等星ですから、見えるんじゃないかなと思います」と教えてくれました。

「国際宇宙ステーション」を見ることができる!?

また、実業家の前澤友作さんが訪れたことでも話題となった「国際宇宙ステーション(以下、ISS)」は、「ものすごく明るく見えますよ」と渡部さん。「宇宙を飛んでいると言っても数百kmと近いですから。

そこで(ISSが)サッカー場ぐらいの大きさのパネルを搭載して(宇宙を移動して)いますので、それが太陽の光をうまく反射して、日が沈んだ後とか、日が昇る前に(ISSが)日本上空を通ると、一番明るく見えます」と言います。

ただ、日本上空を通らないことも多いため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のWebサイトでは“いつ日本上空のどこを通るか予報”が掲載されており、「その予報通りの時間に正確にやってくるんです! とても楽しいですよ。都会の真ん中でも見られるぐらいで、金星よりも明るく輝くことが多いので、方角さえ間違えなければどこでも見られますし、誰でもわかります!」とオススメします。

なお、現在渡部さんが情熱を注いでいるのは「オールトの雲」を見つけること。「ほうき星がやってくる故郷の1つに『オールトの雲』というのがあるんです。それがあることは、天文学者の誰もが確信しているのですが、その『オールトの雲』を実際にそこの場所でその天体を見つけた人は、まだ誰もいない」と現状を語ります。

それはなぜかと言うと、「太陽の光も届かないし、めちゃくちゃ遠いから。でも、技術が進んで特殊な方法で探せる見込みがだんだんと立ってきまして、それを一番乗りで見つけてやろうと思っています!」と意欲を見せると、ホランは「渡部さんの情熱が、太陽の光なのか技術の光なのかはわかりませんが、照らされて、それを見つけることができる日がくることを楽しみにしています!」とエールを送りました。

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