2022/04/10

“トリックアート”になっているマンホールも!? “マンホーラー”鉄子が語る「デザインマンホール」の世界

DDP編集部

4月10日(日)の放送では、前回に引き続き、マンホールのスペシャリスト、“マンホーラー”の鉄子さんをゲストに迎え、マンホールのデザインについて教えていただきました。

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(左から)鉄子さん、ホラン千秋

マンホールからわかること

今回は鉄子さんに、東京市型(JIS型)と言われる一般的なマンホールの見方から教わることに。マンホールの中心部分には「紋章台(もんしょうだい)」と呼ばれ、その下を流れる上水道や下水道などのインフラの種類、また、その管理・管轄がどこなのかが分かる都章や県章、市章などのマークが入っていたりします。

例えば、下水道のマンホールの紋章台をよく見てみると、その外側を囲ってある円の上端に“ト”のような字が描かれていて、「“ト”が周りの円と合わさって“下”という文字に見える。そして、“下”の両端に半分に切ったような円があって、それと“ト”の棒のところだけを取ると“水”という字に見えて、これで“下水”と読みます。さらに、そのなかを囲って市章などのマークを入れていて、それをマンホールマニアの間では通称で『下水構え』と呼んでいる」と鉄子さん。

ただし、下水道が流れるマンホールにすべて“下水構え”が入っているかというと、「入っているところと入っていないところがある。水道、ガス、電気など、それぞれのインフラごとに特有の模様がある」と補足します。

そのなかでも、紋章台がユニークなものとして鉄子さんが挙げたのは、埼玉県行田市にあるマンホール。通常だとマンホールの中央に入っている下水構えと市章がマンホール全体にドンと描かれていて、「紋章台をそのまま拡大した感じで、これはすごく珍しいタイプ。とにかくかっこよくて、とても大好きな蓋」と声を弾ませます。

魅力いっぱいの“デザインマンホール”

マンホールの蓋にはさまざまなデザインがあり、なかでも鉄子さんが「ぜひ見ていただきたい!」とおすすめしたのは、東京・渋谷のスクランブル交差点から始まり、道玄坂の上のほうにまであるマンホールです。

その写真を見たホランが、「よく見ると、非常口から走り出そうとしている人が、いっぱい連なっている感じ」と率直な印象を語ると、鉄子さんから「その写真を90度回すと、違うモチーフが見えてきませんか? 凹凸の出っ張ったところが何かになっている」とヒントを提示します。

ヒントに従い90度回してみると……それが“犬”であることに気付き大興奮のホラン。さらに鉄子さんは、「実はそれだけじゃなくて、このいっぱいいる犬のなかで、2匹だけ他とは違うのがあるんですよ」と、さらなるヒントを教えてくれたところで、ホランは「あっ! しっぽを巻いてるっ! 柴犬みたいにクルンってしてる!」と声を上げます。

鉄子さんによると、そのマンホールのデザインを描いたデザイナーは“クスッと笑えて面白いものを”との思いから仕掛けをしていると解説したところで、ホランが「分かった! 首輪もしてる〜!(違いに気付くと)すごく楽しい!」と声を弾ませます。

マンホーラー・鉄子イチ押しの「骨董蓋」

ちなみに、鉄子さんお気に入りのマンホールは“金物の町”として知られる新潟県三条市の「工具」をデザインしたマンホールだそう。「デザインマンホールは、自分の町のイチ押しがデザインされているんです」と語ります。

その言葉通り、蓋にはスコップ、ペンチ、スパナといった工具がびっしりと描かれていて、「整然と工具が並んでいるデザインが、まるで親方に整理整頓をしつけられた職人さんの工具箱を見ているみたい(笑)。そういうところもツボで、とにかくかっこいいし、かわいい。三条市には、これ以外にもデザインマンホールがありますが、私はこれが一番好き」と力説します。

また、鉄子さんが今一番見に行ってみたいマンホールは、福島県福島市にあるデザインマンホール。それは、福島市出身の作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)さんが、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなったことを記念してドラマの放映後に作られたもの。

「レコード盤のような感じなんですけど、そこに行かないと分からない仕掛けがあるんです。マンホールの蓋をレコードに見立てていて、その周りには蓄音機が描かれています。つまり、蓄音機にレコードがかかっているようなトリックアートになっているんです。ある角度から見ないと絵が完成しないので、実際に生でぜひ見に行きたい!」と力を込めます。

そもそもデザインマンホールは、“マンホールにもっと関心や親しみを持ってもらいたい”という思いから作られており、「だんだんその土地の特産品やイチ押しをデザインすることで、町の広報的な意味合いが生まれてきた。その後、キャラクターやその土地の出身者とコラボしたものなども生まれた」と解説。

そして、今では「その土地に来てもらう集客のツールとして使われるマンホールが多くなってきていて、町おこしとしてもひと役を買っている。先ほど紹介したトリックアートのように、いろいろな仕掛けを自治体が考えているので、すごく楽しい」と話します。

改めてマンホールの魅力について尋ねると、鉄子さんは「とっつきやすくて奥深いところ」と言います。「日本全国にデザイン蓋がたくさんあるので、スタンプラリー的な面白さもあって、すごく楽しい。一番は、遠くに見に行かなくても自分の町を好きになれるきっかけになるのが魅力だと思います。町を楽しむ身近なツールなのもいいところ」とオススメしました。

2週にわたってマンホールの世界に触れたホランは、「私、けっこうマンホールが好きになったかもしれない!」と関心を示し、「ぜひリスナーのみなさんも散歩がてら、ドライブがてらにマンホールをチェックしていただくのもいいと思う。下を向きすぎて転ばない程度に楽しんでいただきたい(笑)」と話していました。


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