2022/05/29

できあがりまでに約3ヵ月!? ソルトコーディネーターが「爆発的に強い味!」と唸る沖縄産の“塩”とは?

DDP編集部

5月29日(日)の放送では、ソルトコーディネーターの青山志穂(あおやま・しほ)さんをゲストに迎え、塩の魅力についてたっぷりと語っていただきました。

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(左から)青山志穂さん、ホラン千秋

青山さんは、大学卒業後に総合食品メーカーに勤務し、商品開発に従事。その後、移住した沖縄で塩の専門店「塩屋(まーすやー)」に転職したことから、塩のエキスパートに。全国の産地を回るほか、塩にまつわる正しい知識の普及などに努めています。

日本で買える塩“約4,000種類”

ソルトコーディネーターとは、「ワインのソムリエが、料理に合うワインをコーディネートするじゃないですか。ソルトコーディネーターは、それの塩版です」と青山さん。

“減塩”とよく見聞きするように、塩といえば、塩分の摂りすぎに注意、摂る量を減らしたほうがいい、などとイメージしがちですが、「塩の“質”の話って聞いたことがなくないですか?」と青山さん。

日本で買える塩は、海外産も含めると約4,000種類あり、「その一つひとつが、ミネラルのバランスなど何もかもが違います。だから“この料理の味を最大限に引き出すには、この塩!”みたいなものがあるので、今回はそれを伝えられれば」と主張します。

この日は、選りすぐりの塩132種類をスタジオに持参! 塩に関する豆知識も踏まえて紹介していただきました。例えば、「藻塩(もじお)」は世界で日本でしか作られていないと言います。というのも、海外では海藻を食べる習慣がないため「日本だけが海藻のエキスが入った塩を脈々と昔から作っている」と青山さん。その歴史は古く、「万葉集」でも藻塩のことが詠われているそう。

また、「いつ見てもきれいで宝石のような形をしている」と話すのは「きらら」という塩。粒のなかが空洞でピラミッドのような形状をしており、大きな結晶になっているのが特徴。初めて見たホランは「フレークと言ってもおかしくないぐらいのサイズ。5ミリ四方ぐらいのものもありますね」とビックリ。青山さんによると、生産地(石川県)では、稀に直径10センチぐらいのとても大きなサイズの結晶ができることもあり、「とても貴重なので、ケースに入れて手元に置いておく人もいる」と言います。

なお、塩は製法によって量や味、形などをコントロールできるため「製法のほうが大きなファクター(要素)になります。逆に、厳密に同じ製法で作ると原料の味の違いがすごく出る」と説明します。

また、寒流か暖流かによっても異なり、「例えば、北海道のほうから流れてくるものは、シベリアのほうからずっと表層を流れてきている海水で、光合成をずっとしているのでプランクトンがいっぱいいるんです。なので、塩にすると有機物が入っているため、こってりめの塩ができる」と解説。

一方、「沖縄のほうを流れてくる海水は、沖縄にくる直前まで深層のほうを流れてくるので、あまり光合成をしておらず、プランクトンも少ないため、あっさりした塩ができる」と青山さん。

あっさりした塩は、「食べ物もあっさりした物と合いやすいので、例えばお野菜とか(に合う)。こってりした塩だと、味が強い食べ物に合いやすいので、肉とかトマトのような旨みの強い野菜に相性が良い」と語ると、ホランは「知らなかった〜!」と驚きの声を上げます。

巡った製塩所の数“約600ヵ所”

青山さんの習慣は、SNSで塩をエゴサーチすること。“#塩”“#自然塩”“#天然塩”などと検索して、見たことのない塩を見つけたらスクリーンショットを撮っておき、後でじっくり調べるのが青山流。「二拠点生活をしていて、北海道の家の棚には薬瓶に塩を入れて並べてあって、今1,200種類ぐらい。沖縄の家には、約2,300種類の塩が袋のまま並べてある」と話します。

塩の魅力にハマり、これまで約600ヵ所の製塩所を訪問してきたという青山さん。そのなかでも、沖縄・多良間島(たらまじま)の職人は「唯一の製法で塩づくりをしている」と言います。その製法は、汲んできた海水を箱に入れて、ただただ待つのみ。火にもかけず、太陽と風の力だけで結晶させるため、できあがるまでに約3ヵ月もかかってしまうそう。

効率が悪すぎるものの、一切何も足さず何も引かない“完全に天然の塩”の味わいは「爆発的に強い! 花火が口のなかで上がっている感じ。ワインで言うところの“フルボディ”」と青山さん。相性が良い食べ物として「すごくサシの入った牛肉、サーロインステーキ」を挙げていました。

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