2023/12/10

“日本の発酵食品”が世界中で大注目!“独特な甘み”にミシュランシェフが驚愕した「日本の調味料」とは?

DDP編集部

12月10日(日)の放送では、前回に引き続き、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんをゲストに迎え、発酵の魅力や世界の発酵文化、さらには海外から注目を集める日本の発酵食品などについて語っていただきました。

null
(左から)ホラン千秋、小倉ヒラクさん

発酵文化の魅力は“正解がない”

1年の半分は、仕事も兼ねて全国を巡り、行った先々で地元の方々とお話会を開いて、現地でしか手に入らないような情報を得ている小倉さん。最近手に入れた情報では、大分県の国東半島(くにさきはんとう)で聞いた麦の発酵文化の話が面白かったそうで、「国東半島は平野部が少ないので、水田が限られているんですね。そこで、暖かい時期はお米を育て、寒い時期は麦を育てる二毛作をやっていたんですけど、その麦でお味噌を作るんですよ。普通のお味噌は大豆とお米の麹で作りますが、ここでは麦の麹で作るので、麹の作り方とかも全然違っていました」と話します。

ここでホランが「普通に作るのと何が違うんですか?」と疑問を投げかけると、小倉さんは「温度のコントロールの仕方や菌の手入れの仕方とかが全然変わってくるんです。そういう全然違うテクニックを持っている人たちが、麦の発酵文化を担っているんです」と語ります。

そんな発酵文化について、ホランが「“発酵”っていうものだけを見ると、寒い地域のほうが適しているのか、暑い地域のほうがいいのか。それとも寒いところと暑いところ、それぞれ適した文化が育まれているのか……どういうシステムなんですか?」と質問。これに小倉さんは「暑いところは暑いところなりに、寒いところは寒いところなりに(特色がある)。そこに優劣はなく、その土地の良さが刻まれてくる」と返答。

さらには、「僕がなぜ発酵文化が好きなのかというと“正解がないから”なんです。大分に行くと『麦がうまい』、新潟に行けば『お米がおいしい』と感じる。それって“どちらかが一番”ではなく、そこでしか味わえないおいしさや良さがどこに行っても必ずある、というところに豊かさを感じます」と言います。

海外からも注目を集める日本の発酵食品

海外のシェフが来日した際のアテンドもおこなっている小倉さんいわく、近年は、日本のローカルな発酵食品が世界中のシェフから注目を集めているとか。なかでも“麹”を使った調味料がトレンドになってきており、特に多くのシェフが“みりん”に注目しているそうで、「ミシュランに載るようなトップシェフが『これが本物のみりんか!』と喜んでいたりするんです」と声を大にします。

特にみりんの“甘み”に驚いているようで、「伝統的なみりんは、砂糖の甘みと全然違って、甘みのアタックが弱く余韻が長い、柔らかくて長く伸びる甘みなんですよ。そういうものが(海外には)なかなかないので、みんな非常にビックリしていました。そして、みんながみりんを持ち帰って、どういうふうに使おうかと研究しています」と話します。

一方、海外にも興味深い発酵食品は多々あり、日本人にもっと知ってほしい海外発酵食品として、小倉さんが挙げたのはチベットの“バター茶”です。「これは、発酵したプーアル茶なんですけど、昔、熱帯のジャングルでプーアル茶を作り、そこから3,000kmくらい離れたチベットに向けて、馬に乗せて何ヵ月も移動しているうちに、お茶が発酵するんですね。それをヤクという牛の乳を発酵させたバターと混ぜて、塩をちょっと加えて竹筒に入れ、押し込んでトロッとしたものを味噌汁のようにして飲むんです」と紹介。

標高が高く、野菜が育てにくいチベットでは、バター茶がビタミンを補給するうえで大事な食材で、現地の人は1日に何杯も飲んでいるそうです。ちなみに、その味わいは独特で、「ちょっとバター感、ミルク感のあるお味噌汁のような、すごく不思議な食べ物」と感想を述べます。

最後に、これからの寒い時期に最適な発酵食品を聞いてみると、小倉さんは「“酒粕”ですね。冬はお味噌汁に酒粕を入れた酒粕汁がおいしいです。すごく体が温まります」とおすすめしていました。


大分県

Back issuesバックナンバー

more