2025年05月10日
今夜ゲストにお迎えしたのは、日本産、第3極のAI開発者であり、横河デジタル株式会社の研究者で社長の、鹿子木宏明さんです。
鹿子木さんは、1968年、熊本県のお生まれです。
東京大学大学院で、理学博士を取得後、1996年にマイクロソフトに入社され、機械学習アプリケーションの開発等に携われました。
2007年10月、横河電機に入社。
プラントを含む製造現場へのAIの開発、適用、製品化等を手掛けられます。
強化学習技術を使ったAIアルゴリズム(FKDPP)の開発者のお一人であり、横河電機IAプロダクト&サービス事業本部インフォメーションテクノロジーセンター長を経て、2022年7月より、横河デジタルの代表取締役社長でいらっしゃいます。

──人間の脳のように学習ができるAIを
茂木:今お仕事で、日本の会社やビジネスのDXのようなことも手掛けていらっしゃると思うんですけど、日本はこれからAIをどういうふうにビジネスに生かしていけばいいと思われますか?
鹿子木:まず日本の場合は、毎週出すものとか、文章などでも定型が多いと思うんです。それほど尖がっている必要のない文章ですね。 そういったところは、恐らく大規模言語モデルで相当効率化されていくと思います。
一方で、例えば日本の製造業の特徴である、「きめ細やかさ」とか、あるいは「新しさ」みたいなものを狙っていこうとすると、どうしても大規模言語モデルを使うと尖がったものが減りますので、そこはもう自分の頭で考えることが必要になります。
茂木:ということは、仕事の内容によってちゃんと使い分けるということが大事だ、ということですかね。
鹿子木:その通りだと思います。
茂木:一方で、横河デジタルさんでもサイバーセキュリティの問題というものにはものすごく関心が高いと思うんですけど、一般の方々が一番気をつけなくてはいけないポイントと言うと、どの辺りですか?
鹿子木:一般の方々が扱われるパソコンとかでは、色んなセキュリティのガードが入っているので、ちゃんとウイルス検知ソフトを入れたりしていけば、恐らく大丈夫だと思います。
ただ、例えばウェブに自分の個人情報を載せるとか、クレジットカード番号などを打ち込むとか、そういったところでは、もう1回打ち込んでしまうと、後はパソコンの外に出ちゃいますから、やっぱり一番そこを気をつける必要があるかなと思います。

茂木:これは分かり安いですね。情報が、自分のパソコンに留まっているのか、ネットに出てしまうのか、というところが分かれ目になる、ということですね。
鹿子木:そこが分かれ目ですね。
茂木:横河デジタルさんでは、これからどういうツールとかを提供していく予定なんでしょうか?
鹿子木:横河デジタルは、大体工場とかプラントとかそちらの方へのサイバーセキュリティ対策をやっているんです。大抵そういったお客様にはIT部門があるので、IT系のセキュリティは大体ばっちりなんです。一方、工場の方はセキュリティで守られているかと言うと、余りメジャーではないと言いますか、そこを狙われがちなんですね。
横河グループはもう100年近くずっと工場とやってきていますので、「こういうところを気をつけたらいいですよ」とか、「こういったシステムを入れた方がいいですよ」とか、そういったところがすごく提供しやすいんです。
茂木:なるほどね。とてもイメージし安いお話で、皆さんも頷いていらっしゃると思うんですけども。
これから、AIと日本、そしてAIと世界、どうなっていきそうですか?
鹿子木:今AIで一番ブームになっているのは、大規模言語モデル…ChatGPTとかですね。もう1個は、「ディープラーニング」というものがありまして。ディープラーニングは、例えば猫の写真を1万枚、犬の写真を1万枚学習させた後に、犬とも猫とも分からないような写真を見せると、ちゃんと「これは猫です」とか「犬です」とか言ってくれる例がすごく有名なんですけども。
ただその2つですと、結局「どこまで人間を助けてくれるのか?」となるとちょっと微妙なところがありますよね。私が今やっている、例えば「お裁縫が上手にできるAIってできるんですか?」と言うと、恐らくその2つではできないものなんです。
もう1つ、人間の役に立つAIと言うとどういったものか、と言うと、私は「人間の脳に近いAI」だろうなと思うんです。となると、例えば子供が積み木遊びで積み木を上に並べますよね。そのやり方で10回とか20回やると、大体何となく分かるじゃないですか。あの覚え方をするようなAIが、本当に大事かなと思っています。
「自分で何かを学べるAI」ですと、積み木遊びもできますし、裁縫もできますし、恐らくおばあちゃんがやってる梅干をつけるやり方も学習できるはずだ、と。
茂木:なるほど。実世界で実際に役立つことができるようなAIを、これから作っていこう、と。これは日本の復活に繋がりそうですね。

鹿子木:そうですね。日本の製造業では、かなりきめ細かい手先だったり、目分量だったり、そういったものが非常に強いところですので、そこに使えるAIがあれば、匠の方の「弟子」としてうまく機能するんじゃないかと思います。
──鹿子木宏明さんの『夢・挑戦』
茂木:鹿子木社長、色々お話を伺ってきたんですが、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんですね。本当に色んなことをもう既になされてきているわけですけど、鹿子木さんがこれから挑戦したいこと、そして夢は何でしょうか?
鹿子木:私が子供の頃、デパートとかに行くと、日本製の家電とかそういったものがワーッと溢れていて、それも一番性能が良くて、外国産のものはちょっと隅っこの方にあったり、という状況だったじゃないですか。それがすごく誇らしかったんですね。これが今の日本ですと、やっぱり製造業がちょっと押され気味で、あるいはAIもちょっと押され気味で、という状況があるじゃないですか。
あれをもう1回、国産のAIだったり、あるいは日本産の家電だったり、パソコンだったり、そういったものが「本当に一番いい」と言わせるような、そういう社会に持っていきたいなと思います。
茂木:素晴らしい。是非そのために、社長としてこれからますますご活躍頂けたら嬉しいと思います。
そして今回、鹿子木宏明さんのご著書『「強いAI」による AIファーストの実現』、こちらに興味がある方は是非読んでください。本当に面白い本でございます。
改めて、これから読む方に「こういうところが面白いよ」など、メッセージを頂けますでしょうか。
鹿子木:はい。この本は最新のAIは扱っているんですけど、「え、こんなAIがあるの?」というような話になっているんです。ですので、若いAIの研究者の方、あるいはまだ学生の方には、今流行っているものだけじゃなくて、「第三局を作るぞ」といった気概を持って、是非本を読んで頂ければなと思います。


■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介しました、鹿子木宏明さんのご著書『「強いAI」による AIファーストの実現』に、鹿子木さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●横河デジタル株式会社 公式サイト
●「強いAI」による AIファーストの実現 / 鹿子木宏明 (著)
(Amazon)
●ディスカヴァー・トゥエンティワン 公式サイト
鹿子木さんは、1968年、熊本県のお生まれです。
東京大学大学院で、理学博士を取得後、1996年にマイクロソフトに入社され、機械学習アプリケーションの開発等に携われました。
2007年10月、横河電機に入社。
プラントを含む製造現場へのAIの開発、適用、製品化等を手掛けられます。
強化学習技術を使ったAIアルゴリズム(FKDPP)の開発者のお一人であり、横河電機IAプロダクト&サービス事業本部インフォメーションテクノロジーセンター長を経て、2022年7月より、横河デジタルの代表取締役社長でいらっしゃいます。

──人間の脳のように学習ができるAIを
茂木:今お仕事で、日本の会社やビジネスのDXのようなことも手掛けていらっしゃると思うんですけど、日本はこれからAIをどういうふうにビジネスに生かしていけばいいと思われますか?
鹿子木:まず日本の場合は、毎週出すものとか、文章などでも定型が多いと思うんです。それほど尖がっている必要のない文章ですね。 そういったところは、恐らく大規模言語モデルで相当効率化されていくと思います。
一方で、例えば日本の製造業の特徴である、「きめ細やかさ」とか、あるいは「新しさ」みたいなものを狙っていこうとすると、どうしても大規模言語モデルを使うと尖がったものが減りますので、そこはもう自分の頭で考えることが必要になります。
茂木:ということは、仕事の内容によってちゃんと使い分けるということが大事だ、ということですかね。
鹿子木:その通りだと思います。
茂木:一方で、横河デジタルさんでもサイバーセキュリティの問題というものにはものすごく関心が高いと思うんですけど、一般の方々が一番気をつけなくてはいけないポイントと言うと、どの辺りですか?
鹿子木:一般の方々が扱われるパソコンとかでは、色んなセキュリティのガードが入っているので、ちゃんとウイルス検知ソフトを入れたりしていけば、恐らく大丈夫だと思います。
ただ、例えばウェブに自分の個人情報を載せるとか、クレジットカード番号などを打ち込むとか、そういったところでは、もう1回打ち込んでしまうと、後はパソコンの外に出ちゃいますから、やっぱり一番そこを気をつける必要があるかなと思います。

茂木:これは分かり安いですね。情報が、自分のパソコンに留まっているのか、ネットに出てしまうのか、というところが分かれ目になる、ということですね。
鹿子木:そこが分かれ目ですね。
茂木:横河デジタルさんでは、これからどういうツールとかを提供していく予定なんでしょうか?
鹿子木:横河デジタルは、大体工場とかプラントとかそちらの方へのサイバーセキュリティ対策をやっているんです。大抵そういったお客様にはIT部門があるので、IT系のセキュリティは大体ばっちりなんです。一方、工場の方はセキュリティで守られているかと言うと、余りメジャーではないと言いますか、そこを狙われがちなんですね。
横河グループはもう100年近くずっと工場とやってきていますので、「こういうところを気をつけたらいいですよ」とか、「こういったシステムを入れた方がいいですよ」とか、そういったところがすごく提供しやすいんです。
茂木:なるほどね。とてもイメージし安いお話で、皆さんも頷いていらっしゃると思うんですけども。
これから、AIと日本、そしてAIと世界、どうなっていきそうですか?
鹿子木:今AIで一番ブームになっているのは、大規模言語モデル…ChatGPTとかですね。もう1個は、「ディープラーニング」というものがありまして。ディープラーニングは、例えば猫の写真を1万枚、犬の写真を1万枚学習させた後に、犬とも猫とも分からないような写真を見せると、ちゃんと「これは猫です」とか「犬です」とか言ってくれる例がすごく有名なんですけども。
ただその2つですと、結局「どこまで人間を助けてくれるのか?」となるとちょっと微妙なところがありますよね。私が今やっている、例えば「お裁縫が上手にできるAIってできるんですか?」と言うと、恐らくその2つではできないものなんです。
もう1つ、人間の役に立つAIと言うとどういったものか、と言うと、私は「人間の脳に近いAI」だろうなと思うんです。となると、例えば子供が積み木遊びで積み木を上に並べますよね。そのやり方で10回とか20回やると、大体何となく分かるじゃないですか。あの覚え方をするようなAIが、本当に大事かなと思っています。
「自分で何かを学べるAI」ですと、積み木遊びもできますし、裁縫もできますし、恐らくおばあちゃんがやってる梅干をつけるやり方も学習できるはずだ、と。
茂木:なるほど。実世界で実際に役立つことができるようなAIを、これから作っていこう、と。これは日本の復活に繋がりそうですね。

鹿子木:そうですね。日本の製造業では、かなりきめ細かい手先だったり、目分量だったり、そういったものが非常に強いところですので、そこに使えるAIがあれば、匠の方の「弟子」としてうまく機能するんじゃないかと思います。
──鹿子木宏明さんの『夢・挑戦』
茂木:鹿子木社長、色々お話を伺ってきたんですが、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんですね。本当に色んなことをもう既になされてきているわけですけど、鹿子木さんがこれから挑戦したいこと、そして夢は何でしょうか?
鹿子木:私が子供の頃、デパートとかに行くと、日本製の家電とかそういったものがワーッと溢れていて、それも一番性能が良くて、外国産のものはちょっと隅っこの方にあったり、という状況だったじゃないですか。それがすごく誇らしかったんですね。これが今の日本ですと、やっぱり製造業がちょっと押され気味で、あるいはAIもちょっと押され気味で、という状況があるじゃないですか。
あれをもう1回、国産のAIだったり、あるいは日本産の家電だったり、パソコンだったり、そういったものが「本当に一番いい」と言わせるような、そういう社会に持っていきたいなと思います。
茂木:素晴らしい。是非そのために、社長としてこれからますますご活躍頂けたら嬉しいと思います。
そして今回、鹿子木宏明さんのご著書『「強いAI」による AIファーストの実現』、こちらに興味がある方は是非読んでください。本当に面白い本でございます。
改めて、これから読む方に「こういうところが面白いよ」など、メッセージを頂けますでしょうか。
鹿子木:はい。この本は最新のAIは扱っているんですけど、「え、こんなAIがあるの?」というような話になっているんです。ですので、若いAIの研究者の方、あるいはまだ学生の方には、今流行っているものだけじゃなくて、「第三局を作るぞ」といった気概を持って、是非本を読んで頂ければなと思います。


■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介しました、鹿子木宏明さんのご著書『「強いAI」による AIファーストの実現』に、鹿子木さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●横河デジタル株式会社 公式サイト
●「強いAI」による AIファーストの実現 / 鹿子木宏明 (著)

●ディスカヴァー・トゥエンティワン 公式サイト