Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.273 矢部太郎さん

2018年06月23日

今週ゲストにお迎えしたのは、新潮社から刊行されました漫画「大家さんと僕」で
第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞されました、お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎さんです。

矢部さんは、1977年 東京都東村山市のご出身。
1997年11月にボケ担当の矢部太郎さん、そしてツッコミ担当の入江慎也さんでお笑いコンビ・カラテカを結成しました。

2001年日本テレビ系の人気バラエティ番組「進む!電波少年」内のコーナー、
「電波少年的〇〇人を笑わせに行こう!」でブレイクし、
2007年には気象予報士の資格を取得。
芸人として活躍されていると同時に、俳優として映画や舞台にも出演されています。

そして今回、漫画デビュー作「大家さんと僕」で手塚治虫文化賞短編賞を受賞されました。


今週は、新潮社から刊行されています漫画「大家さんと僕」について、お話しを伺っていきたいと思います。




──不思議で素敵な大家さん


茂木:受賞おめでとうございます!手塚治虫文化賞といえば、漫画界最高の賞で、漫画家以外の方で受賞された方っていないんじゃないですか?

矢部:ありがとうございます!はい、いないみたいです。

茂木:すごくないですか!

矢部:本当に僕もびっくりして、受賞したことを聞いたときに、震えるほど嬉しいことがあるんだと思いました。

茂木:私も拝読したんですけど、素晴らしいですよね!
この作品は心が温まるし、大家さんの人柄が伝わってくるんですよね。現実の大家さんもこんな感じなんですか?

矢部:そうなんです。本当に素敵な大家さんで、一緒にいて尊いなあ、と思う方なので、それが伝わったのならすごい嬉しいです!

茂木:矢部さんが家に帰って来ると、電話がかかってくるんですよね。

矢部:はい(笑)。最初は僕もお節介だなと思って煩わしさを感じてしまっていたんですね。一人暮らしなのに自由がないみたいな。
でも、全部僕のためにしてくれてたってことに気がついて…。

茂木:女性を紹介してくれたけど、60歳くらいの方だったこともあるとか。

矢部:そうですね。「私のふた回り下の女性なんだけど…」って言われたんですけど、大家さんが88歳とかでしたので、僕のことをいくつだと思ってたのかな、っていう(笑)。

茂木:とても面白いですよね!大家さんは、矢部さんが知らないことも色々と教えてくれるじゃないですか。
ご高齢の方の感想を伺うと、ある年代の方にとっては共通経験みたいなことらしいんです。

矢部:そうみたいですね。友達のおばあちゃんが読んでくれて、ケアハウスの中で回し読みして、みんなであるある!”ってなったみたいです。

茂木:なので、この作品は世代の交流のお話でもあるな、と思ったんです。
大家さんからすると、矢部さんがテレビでやられている仕事も、不思議な感じで見ているんですよね。

矢部:そうなんです!僕、痩せているのでプロレスラーに何メートル飛ばされるか?みたいな番組を大家さんが見て、
「なんで矢部さんは悪くないのに、あの人たちはあんな酷いことをなさるの?」って、信じられないような感想をもらうんです(笑)。
でも、そうやってバラエティを見ている方もいるってことですよね。

茂木:その辺りのズレというか、ふれあいがこの作品の素晴らしいところなのかな、と思いますね。

矢部:僕は最初、大家さんのことを”今まで会ったことのないタイプの人だなあ”って思っていたんですけど、
どんどん興味を持って、どんどん知りたいなと思って、素敵だなと思うようになったので、そういうことを描きたいなと思ったんです。



──定型だからこその面白さ

茂木:そして「大家さんと僕」は現在、週刊新潮で続編の連載がスタートしているんですよね。

矢部:僕としては思った通りの本が出来たので、これでいいと思ってたんですけど、大家さんがもっと読みたいって言ってくれたので…。

茂木:大家さんご本人が言ったんですか!

矢部:また描いてもいいんじゃない?と言ってくれて。

茂木:この作品は、どのようにお描きになっているんですか?

矢部:実は、タブレットで書いてるんです。コマ割りやセリフも全部パソコンで打って、メールで入稿するって感じなんです。
本当に初めて漫画を描いたので、何も分からなくて。一度、プロの漫画家さんにソフトの使い方を教えてもらったんです。
その時に8コマのコマ割りを作ってもらったんですね。それを未だにコピーして使い続けてるんです(笑)。

茂木:じゃあ、自分で色々変えたりってことはまだしていないんですね。

矢部:はい。なので、これ以外のコマ割りできないんですよ(笑)。
でも、定型だからこそ、その中で色々考えるのが面白くて。俳句とかもそうだと思うんですけど、その面白さをすごい感じますね。

茂木:これからますます矢部さんのクリエイティブな世界は楽しくなってくると思うんですけど、まず続編があって、
ネットを見てるとやっぱりみんな期待している映像化なんですけど、その辺りはいかがでしょう?

矢部:映像化はとても嬉しいんですけど、この感じの漫画って難しいんじゃないですかね。

茂木:もし映像化した場合は、当然ご本人役は…。

矢部:僕ですか!?いやいやいや!(笑)

茂木:大家さん役は誰なのか、っていうのも気になりますね。

矢部:そうですね。こんなに髪が大きい方いないですからね(笑)。

茂木:これからはどういう方向に活動を広げていく、または深めていく予定でしょう?

矢部:やっぱり、ずっと芸人としてネタをやりたいっていうのはあります。
僕、芸人なんですけど喋るのが苦手で、うまく言葉に出来ないこととかってやっぱりいっぱいあって、そういうのは漫画とかで描けるようになったら良いなって思います。







Twitter:カラテカ 矢部太郎(@tarouyabe)


漫画「大家さんと僕」特設サイト(新潮社)
↑特設サイトでは、原作の一部を読むことができます!




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来週は、養老孟司さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。