Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.323 ジャーナリスト・津田大介さん

2019年06月08日

今週ゲストにお迎えしたのは、今年の8月1日から開催される「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督に抜擢された、ジャーナリスト・津田大介さんです。

津田大介さんは、1973年東京都のご出身。

早稲田大学社会科学部をご卒業後、
メディアとジャーナリズム、著作権、コンテンツビジネス、表現の自由などを
専門分野として執筆活動を行っていらっしゃいます。

近年は地域の振興、社会起業、テクノロジーが社会を
どのように変えるかをテーマに取材を続けていらっしゃいます。

2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)の
「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。

現在は、早稲田大学文学学術院教授、
一般社団法人インターネットユーザー協会の代表理事でもいらっしゃいます。


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──「あいちトリエンナーレ2019」におけるポリシー

茂木:「あいちトリエンナーレ2019」これは注目のイベントですね!

津田:そうですね。地域創生的な文脈で、長い期間いろんな街と一体化したアートイベントで人を集客するっていうのが注目されているわけですけども、
「あいちトリエンナーレ」の場合は3年に1回やっていて、今回4回目なんです。そのイベントの芸術監督というトップになぜか僕が選ばれてしまったという感じですね。

茂木:「あいちトリエンナーレ2019」これは本当に大規模な芸術展なんですけれど、どういう経緯で芸術監督に選出されたんですか?

津田:過去3回の芸術監督と、国際芸術祭に詳しい学者の方々が、7人の有識者会議を作ってるんですね。「あいちトリエンナーレ」は芸術監督を毎回、有識者が”この人がいいんじゃないか”っていうのを選出して指名するっていう形なんです。

茂木:じゃあ、津田さんには事前に知らせとかはなかったんですか?

津田:なかったんです! なので、ビックリしましたね。2017年の6月くらいに「あいちトリエンナーレ」の推進室の室長さんからメールが来て、『あなたは「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督に選ばれました」って書いてあって。

茂木:決定事項だったんですね。

津田:例えば芥川賞とかはノミネートがあって、ノミネートされたら受けますか? みたいに、事前に報告とかして欲しいじゃないですか。心の準備があるので。何の心の準備もないですし、あまりにも門外漢な、僕アートの仕事なんてしたことないですからね。
そんな人間にいきなり芸術監督に選ばれましたってメールが来たので、まあ驚きましたね。

茂木:今回の「あいちトリエンナーレ」、津田さんが発表したあるポリシーで、大変な評判というか、論争が起こったんですけれど、一体どういうポリシーを?

津田:3月末に現代美術のほぼ全ての作家を発表したんですけど、発表した時に「参加する作家の男女比を半々にする」ということを発表しました。

茂木:なるほど。

津田:それは、アファーマティブアクションということでやったんですけれど……。

茂木:アファーマティブアクションっていうのは何でしょう?

津田:これは日本語にすると、積極的な差別の是正措置ということですね。特に男女差別ってこの世の中で古くからある差別の最も大きなものの一つですけど、
こういうものを改善していく時に制度の方を変えていく。それをやることをアファーマティブアクションという風に言ったりします。

茂木:これが、ネット上で大論争になったんですけど、ということは、これまでアート界は、男女の間に意外と不均衡があったってことなんですか。

津田:そうなんですよ。僕も意外だったんですよね。アートっていうと、美大とかに行くと女性ばっかりだし、そもそもアート好きって女性の方が多いですよね。実際、芸術会とか美術館とか行くと、7〜8割ぐらい女性のお客さんが来るので、消費する側も女性が多いし、プレイヤーも女性が多い。少なくとも美大生、芸大生には女性が多いので、女性中心の業界だと思ったんですよね。
けれど、調べてみると結構男性優位社会なんですよね。
例えば、有名な美術館とかに収蔵されてる作品の男女比って圧倒的に男性が多かったり、売買されるアートマーケットでも、世界で非常に高値がついているアーティスト100人のうち5人しか女性がいなかったりとか。

茂木:その中には草間彌生さんとかも入っていますか?

津田:そうですね。まさに女性の1人です。芸術祭を僕もいろいろ観に行くようになったんですけど、見ていると男性が目立つんですよね。
コレってどうなんだろうと思って、芸術祭の男女比率を調べてみたんですよ。そしたら、大体女性1に対して男性が3倍とか4倍とか。それくらいの比率で入っていたんです。

茂木:国際的にそうだということですか?

津田:日本の芸術祭もそうだし、海外でもそうですね。

茂木:今回、津田さんが打ち出された男女のアーティストが同数というのは、国際的に見てもかなり新しい試みなんですね。

津田:そうですね。海外の方はこれが問題にされ始めていて、最近は小さなビエンナーレとかトリエンナーレとかの芸術祭はジェンダーバランスに配慮するようなものとか、ジェンダーをテーマにした芸術祭とかが増えつつあったんですね。
これも3月の末に発表したんですけど、芸術祭の発祥でもある一番古くて最大規模のヴェネツィア・ビエンナーレ、今年の5月から始まってるんですけど、ヴェネツィア・ビエンナーレでも、今回ほぼ男女同数なんですよ。

茂木:ヴェネツィア・ビエンナーレとほとんどシンクロしていたんですね!

津田:僕も意識してなかったんですけど、ヴェネツィア・ビエンナーレと「あいちトリエンナーレ」が国際芸術祭としてはジェンダー平等をどちらも同じ年に達成しているんです。

茂木:これは国際的にかなりインパクトありますね。

津田:これからこういった参加作家を平等にしていくっていうのは、アート業界の中でも国際的な潮流になりつつあるっていうことが言えるんだろうなと思いますね。

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茂木:芸術監督という立場からは「この人がイチオシです」とかは言えないと思うんですけども、例えばこういうアーティストがいるというをご紹介をしていただけますか?

津田:アーティストで言うと感情をテーマにした作家もいれば、あるいは情報ですよね。情報テクノロジーとかを使った、いわゆるメディアアートみたいなものもあります。
そういうのとは違う、体感型・体験型みたいなアートをやる人もいて、テーマに沿ったものを選んでいるっていうことで、表現自体は絵画もあれば彫刻、メディアアート、演劇型の作品など、かなり幅広くはなっていますね。

茂木:僕が気になったのが、「表現の不自由展、その後」これはどのような展示なんですか?

津田:これは、2015年に一回開かれている「表現の不自由展」というのがあるんです。近年、茂木さんも言及されたりしていると思うんですけど、アーティストが作品を作ってそれが様々な理由で美術館から撤去されるという事例がありますよね。
今だったら、韓国の従軍慰安婦問題をテーマにした作品、あるいは憲法の問題とか。あるいは天皇とか。あまりも政治的な作品だからという理由で美術館側から作家にこれはダメだって言って撤去されるということが毎年どんどん増えているわけですね。
そこで、撤去された作品を集めて展示するっていうのを2015年にやったんですよ。

茂木:なるほど!

津田:僕自身もそれを観に行って面白かったんですね。自分がジャーナリストでもあるので表現の自由をテーマにしたいっていう部分もあったし、2015年以降もたくさんあったんです。
例えば、会田誠さんの作品が東京現代美術館で撤去されたりとか、山ほどそういう事例があるので、それであれば公立美術館で撤去された作品が「あいちトリエンナーレ」では全部観れるようにしたいなって思ったんです。

茂木:そして、今回女性作家ですとアマンダ・マルティネスさんとか、アンナ・ヴィットさん、それぞれ本当に現代的な作品だと思うんですけども、アンナ・ヴィットさんはどんな作家ですか?

津田:アンナ・ヴィットさんは、ドイツの方なんですけど、AIとかロボットってどんどん普及しているじゃないですか。それによって人間が機械によって管理されて行くみたいな、人間と機械の関係性みたいなものをテーマにした作品を作っている人です。すごく面白い作品を作ってくれてますね。

茂木:それでは、アマンダ・マルティネスさんはどんな作品を作られているんでしょう?

津田:アマンダ・マルティネスさんは、音楽をモチーフにして彫刻を作るんですけれど、何が面白いかって、彼女はInstagramをやっていて、彼女のInstagramは超人気があるんです。
今アメリカでもすごく注目されていて、これから価格が上がってくるようなアーティストだと思うので、これもすごく話題になるんじゃないかと思います。

茂木:素晴らしい! 「あいちトリエンナーレ2019」は、8月1日から10月14日まで75日間、開催されます!
ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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あいちトリエンナーレ2019

津田大介 (@tsuda) · Twitter

津田大介 公式サイト


来週も引き続き、ジャーナリストの津田大介さんをお迎えしてお送りいたします。
お楽しみに!
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