Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.357 能楽観世流二十六世宗家 観世清和さん「観阿弥と世阿弥」

2020年02月01日

今週ゲストにお迎えしたのは
日本の伝統芸能で世界最古の舞台芸術のひとつといわれる「能」
観阿弥(かんあみ)と世阿弥(ぜあみ)から、およそ700年の伝統をうけつぐ、能楽観世流二十六世宗家 観世清和さんです。

観世さんは、東京都生まれ。
1990年に、宗家継承。

初世 観阿弥(かんあみ)・二世、世阿弥(ぜあみ)・三世、音阿弥(おんあみ)の子孫でいらっしゃいます。

観世流家元として、年間80番以上の主役をつとめ、その数は、能楽界随一であり、現在の能楽界を代表する方です。

国内はもとより、フランス、アメリカ、インド、タイ、中国など世界各地で公演をされています。
2016年7月、ニューヨーク・リンカーンセンターにおける招聘公演は、高い評価を得て大成功を収めました。

また観世宗家に伝わる能面・能装束・伝書を収蔵する、
「一般財団法人 観世文庫」を設立し、インターネットの「観世アーカイブ」にて、世阿弥 自筆本をはじめ、多くの伝書・文書類を広く公開し、能楽の研究と普及に尽力していらっしゃいます。



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──鎮魂レクイエムの芸術

茂木:観阿弥、世阿弥が創始したお能なんですけども。学校で能、狂言はどういうものかをある程度教えてもらうと思います。
お能は室町時代でしょうか?

観世:そうですね。特に3代将軍足利義満の時に、私の先祖の観阿弥、世阿弥親子が、足利義満の庇護のもとに能楽を作り上げました。
それまでは、田楽や、中国大陸から渡ってまいりました散楽というのもございました。これはあまり研究が進んでおりませんで、果たしてどんなことをやっていたのかというのはクエスチョンでございます。

茂木:はい。

観世:観阿弥、世阿弥親子が、能楽という新しい芸能…当時は前衛芸術だったんですね。
誰も聞いたことがない、誰も見たことがないもの、それと権力者の意向に沿った形で能楽というものを創出したんですね。

茂木:芸能が、必ずしも社会的に高い位置になかったのは、観阿弥、世阿弥が将軍とそういう関係を築いたということは画期的なことだったんじゃないですか?

観世:そうだと思います。観阿弥、世阿弥親子と足利義満が出会った、その瞬間から為政者の意向に沿った芸術的な世界を創出していった。
短時間で、能楽という新しい前衛の世界を作り上げたということなんですね。

茂木:能というのは、我々日本人にとっては文化の基本だと思うんですけど。
例えば、能の舞台で象徴の使い方はどうですか? わずかな手がかりから大きな世界を想像させるという。

観世:能楽というのは源氏物語、伊勢物語、平家物語、万葉集、古今集、古事記…いろんなところから取材しておりますが、いわゆる日本の古典というものを紐解いて勉強して見なければいけないというのは、まったくないんです。
それを取っ払って、今言われたように想像力の中で能をご覧いただくというのが、能の正しい見方だと思うんですね。

茂木:うんうん。

観世:能楽は亡者供養、亡くなられた方々への供養、鎮魂レクイエムの芸術とも言われているんですね。
世阿弥という人の優しさは、地獄に落ちてしまった人間を、その人が生きてた人生の一番輝いた瞬間を、もう一度舞台で一花咲かせてあげよう、というのが世阿弥の優しさだと思うんですね。
また、能楽が扱っている普遍的なテーマ、「戦争のない平和な世の中であって欲しい」とか、そういう密かな祈りの心…そういうものを想像しながらご覧いただきたいなと思います。

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茂木:ラジオをお聴きの皆さん、能楽見たくなりませんか? あまり難しいことを考えずに行った方がいいですよね。

観世:テレビでも古典の時間で放映されますが、やはり能楽はライブでございますので、舞台上にいる人間の息遣いを感じていただくとか、そういうことが一番大切だと思います。

茂木:能面をお着けになっていて、我々から見ると、変化するはずのないお面からいろんな表情や、心の動きが感じとれるのですが、演じてらっしゃる側からはどのような感じなのでしょうか?

観世:完全に遮蔽された状態で能面を顔に着けるので、非常に孤独なんです。そして、目の穴が2つございますが、左目と右目の見える世界は全然違うんでございますよ。左目の見えてる世界と右目の見えてる世界が交わることもございませんし、世界が違いますね。

茂木:能面は観阿弥、世阿弥の頃のものが伝わっているものがあると伺っています。

観世:はい、実際、観阿弥、世阿弥が身に着けたであろう、2人の汗が染み付いている能面もございます。

茂木:それは、実際の舞台で使うことはあるんですか?

観世:滅多にございませんが、“ここ一番”という時には、能面を蔵から出しましてですね、私、自ら着けることもございます。
私の額からほとばしる能面の中の汗と、先祖の汗が一体となる瞬間がございます。

茂木:どんな気持ちになられるんですか?

観世:恐れとか嬉しさ、先祖礼拝と言うのでしょうか、“舞台が無事に終わりますように守ってください”じゃないですけど、そういう気持ちもございますね。

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観世能楽堂 オフィシャルサイト

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