Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.372 評論家・雑誌「PLANETS」の編集長 宇野常寛さん 「価値のある発信をするには」

2020年05月16日

今週ゲストにお迎えしたのは、評論家で、雑誌「PLANETS」の編集長、宇野常寛さんです。

宇野常寛さんは、1978年、青森県のお生まれです。
ニュース番組や討論番組を中心に様々なメディアに出演され、
立教大学社会学部兼任講師も務めていらっしゃいます。
そして、批評誌「PLANETS」の編集長として、独自のメディアを運営。
書籍、メールマガジン、インターネット番組、イベント、オンラインサロンなど、
多岐に渡る活動を編集、プロデュースをされ、ご活躍中でいらっしゃいます。


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──排除されることなく緩い承認が得られる「サードプレイス」

茂木:宇野さんはオンラインサロンなんかもされているんですけど、今後「遅いインターネット」ということも含めて、インターネット上やリアルのコミュニティはどう進化していったら良いと思われますか?

宇野:『サードプレイス』という言葉があるじゃないですか。今のインターネットの需要というのは、サードプレイスにあると思うんです。
学校でも家庭でも職場でもない、「第三の場所としてのサードプレイス」というものが求められていて、それは基本的には“インターネットを通じて出会えるコミュニティ”なんじゃないかということは、ずっと言われているんですよ。
それについて僕、最近考えていることがあるんです。
例えば行きつけの銭湯とか、行きつけの定食屋とかね。そんなに会話はしないんだけど目をあわせると目礼するとか、この人いつもいるな、と思うと安心するとか、それぐらいの距離感の場所というのも必要なんじゃないかと思うんです。
家庭って、基本選べないじゃないですか。子供は親を選べないですよね。職場もお金の問題があるので、なかなか自分の自由にならないじゃないですか。
そうじゃない、趣味の人間関係とか、ボランティアの団体とか。学びの場も大事だと思うんだけど、それとは少しずれた、自分で選んだ場所なんだけど絶対排除されない、“緩い承認の交換”みたいなことが行われているような場所というのも大事なんじゃないかな、と思っているんです。

茂木:なるほど!

宇野:僕はサードプレイスというのは2通りあると思っていて、1つは「具体的に自分の人間関係を発展させる場所」。
例えば、ブログやSNSを更新して自分で情報を発信することによって、この先深く付き合っていく仲間や同士、あるいはパートナーを探していくことに使っている人って、すごく多いと思うんです。
その一方で、多くの人が求めているけど気づいていないのが、そういう「とにかく排除されない、緩い承認が簡単に手に入る場所」のような気がしているんですね。僕は、この2通りに分かれていくんじゃないかと思っていますね。

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茂木:その行きつけの銭湯みたいな場所、確かに欲しいですね。

宇野:欲しいですよね。その程度の場所って軽視しがちだけど、意外と人間にとって必要な場所なんじゃないかな、と思うんです。
何の責任も負わないじゃないですか。深く関わってしまうと責任を負いますよね。そうじゃなくて、何の責任も負わず緩く承認されている場所、無責任にそこにいるんだけど追い出されない場所というのは、僕はこの先の世の中で重要になってくるんじゃないかなと思っています。

──答えではなく、新しい問いを立てる

茂木:いま宇野さんの周りに集まっているお仲間は、“自分で表現したい”という気持ちが強い方が多くて、その表現なんかも教えてらっしゃるみたいなんですけど。

宇野:そうなんです。僕が持っている情報発信のスキルを読者と共有するというワークショップで、“プロの物書きになりたい!”とか“業界に入りたい!”という人はほとんどいないんですよ。
みんな、例えば役人をやっていたりとか、いわゆる大企業のサラリーマンだったりとか、あるいはお坊さんとか、プロバスケットボールの選手とか、いろんな人がいるんですけど、「自分の責任で自分の考えていることを発信する」というのは、この先メディアや広報の仕事についてない人にとっても、社会人としての必須スキルになってくるんですよね。
そうすることによって、自分が所属している団体の外側にも自分をアピールしていき、人脈を作っていき、自己実現をしていく。それが普通のことになっていくから、その為のスキルを学びに来ている人がすごく多いんですよ。
そういう動機を持っている人たちが僕のところに集まってきてくれているというのを僕はポジティブに捉えていて、“この人たちの期待に応えるスクールにしないといけないな!”と思っていますね。

茂木:リスナーの人たちに、ちょっとでもヒントをください。どうしたら、発信力・表現力というのは上がりますか?

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宇野:僕は究極的には1個だと思っているんですよ。それは、「答えではなくて問いを設定すること」ですね。
みんな“答え”を書こうとするんですよ。“この不倫した芸能人を許しますか? 許しませんか?”とか、“あなたはAを支持しますか? Bを支持しますか?”みたいな。そうすると世の中に既に存在している流れのどちらに加わるか、ということになっちゃうんですよね。
そういう態度表明が必要な時もあるんだろうけど、「価値のある発信をして自分の力で世界を豊かにする」というのはそうじゃないんですよ。答えじゃなくて、新しい問いを立てるということなんです。“世の中にはこういう問題が他にある”とか、“もっと語られるべきなのはこの問題じゃないか?”とか。

例えば、シングルマザー、シングルファザーが自分の子供を事故死させてしまったとします。ワイドショーでの取り上げ方は、そのシングルマザー、シングルファザーの人間性を糾弾しますよね。でも本当の問題は、そういった家庭環境の親や子供に対しての社会的な保証が足りないとか、地域コミュニティの問題だったりとか、医療の問題だったりとか、いろんな問題が背景にあるはずで、そういう問題を指摘する方が世の中絶対に豊かになるんですよ。だから「答えではなく問いを書く」ということですね。

茂木:そうすると色々と広がりもあるし、“問いかけのユニークさ”というか、“その人の視点”というのが人へアピールするし、ということですよね。

宇野:視点の数が増えれば増えるほど、世の中が多様になって豊かになっていくと思うんですよ。だから、常にメディアとか他人に設定された視点で答えを探している時点で、情報発信者としては負けだと思うんですよね。

茂木:そういう意味でも、今回宇野さんが出された「遅いインターネット」という本は、問いかけとしては非常に深い、大事な問いかけをされていると思います。

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■プレゼントのお知らせ

本日のゲスト、宇野常寛さんのご著書、「遅いインターネット」に、
宇野さんの直筆サインを入れて、3名さまにプレゼントします!

ご希望の方は、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。


茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、
商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



宇野常寛さん (@wakusei2nd)Twitter


●遅いインターネット(NewsPicks Book) / 宇野 常寛
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