Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.436 AIビジネスデザイナー 石角友愛さん 「AIを使いこなせない日本企業のために」

2021年08月07日

石角友愛さんは、東京都のご出身。

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、
シリコンバレーのGoogle本社で多数のAIプロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。

その後、流通系AIベンチャーを経て、
2017年にPalo Alto Insightをシリコンバレーで起業されました。

こちらでは、データサイエンティストのネットワークを構築し、
日本企業に対して最新のAI戦略の提案から、AI開発まで一貫した支援を提供され、
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手がけていらっしゃる、
今、注目の起業家でいらっしゃいます。


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──ビジネススクールの利点

茂木:石角さんは、泣く子も黙るハーバードビジネススクールに行かれましたが、実際に行かれてどうでしたか?

石角:私は、すごくトランスフォーマティブな2年間になりました。行く前と行った後で、全く別の人間になれたと思っています。

茂木:日本では今、女性の社会的な活躍がまだまだ課題だと言われていますけど…。石角さんから女性リスナーへ、ハーバードビジネススクールで頑張れるようなことがあれば教えてください。

石角:ぜひ行って頂きたいです。留学だけではなくて、ビジネススクール行くことだけが解決策ではないんですけど、本当に私は行って良かったと思うし、自信にも繋がるし、周りの接し方も変わって来るし…。

茂木:先ほど『トランスフォーマティブ』とおっしゃいましたけど、本当に自分が変わるような経験でした?

石角:はい。本当にそうですね。見えている所が全く違います。後は、キャリアの選択肢もすごく広がるんですよ。
ビジネススクールの教授に教えてもらったのが、“ビジネススクールに行くと、いい意味で履歴書が1回ゼロベースにリセットできる”ことなんですね。英語で『clean slate』と言うんですけど、ゼロの状態から、また自分の歩みたいキャリアを歩むことができる。
逆にそういうものがないと、22歳新卒で入ってから何をやっていたか、いくらの初任給を貰っていたか、などをベースに次の給料も決まるし、前にどこで働いていたかをベースに、転職先も決まるじゃないですか。そうすると、ある意味、新卒にどこでいくらで働いていたかで将来の自分のキャリアが決まってしまうわけですね。
でもそうじゃない、と。1回ビジネススクール留学を入れると、ゼロベースで、しかもかつ、前とは全然違うレベルでキャリアの視野が広がるし、オプションも広がります。だからそういう意味でも、もしもそういった余裕があったり、自分の中で興味があったら、ぜひやることをお勧めします。

茂木:人生をまたゼロから始めたい方は、ぜひハーバードビジネススクールにチャレンジしてみてください!

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茂木:石角さんはGoogleでの経験も何物にも代えがたいことだったと思うんですが、Googleはいかがですか?

石角:私にとってはですけど、一番いい時期にGoogleで働けたことをすごく感謝していますね。Googleに行く前はIT業界で働いたこともなかったので、すごく学ぶことが多かったです。特に私にとって一番大きな学びは、ソフトウェアの開発現場にオペレーションとして携われたこと。そして、初めて現場レベルで、ソフトエンジニアと一緒に物を作るという経験もしました。

茂木:僕がある方に聞いたのが、例えば、東京大学の学生さんを取りに行った時にGoogleとコンピートすることがあるんですが、それはGoogleの日本法人とコンピートする。だけど、その同じ会社が北京大学や清華大学の学生さんを取ろうとする時には、マウンテンビューのGoogle本社とコンピートする、という話を聞いたんです。
日本の学生さんは、マウンテンビューのGoogle本社に職を得るという発想が余りないじゃないですか。もし日本からアプリケーションを出すとしたら、どうすればいいですか?

石角:ぜひやって貰いたいですね。シリコンバレーのエンジニアの知り合いでは、日本で外資系…それこそGAFAの日本法人で働いて、本社に行ったとか…。

茂木:そうか。日本法人経由で行くという手もある、と。

石角:はい、そういう手もありますし、または、日本でIT企業を経験して、そこにレバレッジをかけて、本社を直接受けるという経由もありますし。そこは結構何でもできるんです。
でも、まず一番最初にアドバイスするのは、現地に行って、そこで働いている人と話せるなら話して欲しいです。

茂木:それが一番大事ですか。

石角:はい、大事だと思います。ハーバードビジネススクールのもう1つのいいところが、卒業生のネットワークがすごく密なんですね。ですので、後輩からメールが来たら、知らない人でもものすごく高い返信率なんですよ。

茂木:ちゃんと返事が来るんですね。

石角:ちゃんと返事が来るだけじゃなくて、会ってもくれるんですよ。で、会ってくれるだけじゃなくて、すごく親身になってアドバイスもしてくれるので。そういう中で、“Googleで働くということはこういうことなんだ”というのが分かって来るんです。
人を巻き込んで宣言することで、自分の中で潜在的に感じていた野望とか欲とかやりたいことが顕在化するじゃないですか。人間は言語化することで“じゃあそうしよう”と行動に繋がっていく部分もあるので、最初にアクションをするということが大事かなと思います。


──AIビジネスデザイナーを育てる

茂木:そして、ご自身の会社Palo Alto Insightを起業されたわけですけど、これはどういう経緯で起業されたんですか?

石角:Palo Alto Insightを2017年に始める前に、シリコンバレーでAIベンチャーをやっていまして、そこでAI搭載型のプロダクトを日本企業に売っていたんです。その中で、「会社にデータはあるけど、これをどうすれば分からない」と。「社内にデータサイエンティストもいないし、何ならエンジニアもいない。情報システム部はあるけれども、社内のツールを作るとかで忙しいから、逆にこのデータをどうすればいいかを教えて欲しい」という依頼を受けることが多かったんです。
そういう依頼を受ける中で、日本企業とアメリカ企業の構造的な違いに気づきました。日本の会社は、エンジニアが圧倒的に足りていなくて、ソフトエンジニアがどこで働いているかの分布を見ると、日本のエンジニアの約7割がIT企業・システムインテグレータで働いてるんですよ。
でもアメリカはその逆で、約7割のエンジニアが、いわゆる非IT企業・ユーザー企業で働いているんですね。経営者の周りに、CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)や技術者がいて、そういった意見の壁打ちができるような相手がいるのがアメリカのユーザー企業です。
でも日本の場合はそうじゃないから、すごく取り残されているんじゃないかという焦りもあるし、それを誰に相談していいのか分からないのもある、と。
その構造的な問題を解決するためには、やっぱり“痒い所に手が届く、AIソリューション”というのを提供しなければいけないな、と思ったんです。

茂木:そこにビジネスチャンスがあると判断されたんですね。

石角:はい、そうです。“エンジニアがいない”ということがどういうことかと言うと、ツールとかソリューションだけが入ってカタログで販売しても、それを使いこなせる人もいなければ、もし導入してもそれを経済的価値に転換できるような組織の情勢・基盤がないということなんですよ。
だから、もっと前の段階から入って、そういった基盤を作る。例えばデータの一元化ですとか、そういった最初の一歩からやっていくことがすごく大事です。
日本の会社の99%が中小企業と言われているんですけど、当時はそこに対してそういったメッセージをしているAI関連企業は余りなかったので、AI導入は自分たちには関係ないことだと、ほとんどの経営者が考えてたと思うんですよ。それに対してこちらからアプローチするという、歩み寄りの姿勢はすごく大事だなと思っています。

茂木:石角さんがお書きになった『“経験ゼロ”から始める AI時代の新キャリアデザイン(KADOKAWA)』という本なんですけど、これを読んでいると、日本だとどうしても“AI”と言うとプログラムを書く人のイメージが強いけれど、石角さんの本によれば、本当に色んな仕事があるということなんですね。

石角:そうなんです。皆さんは“AI”と言うと、AIを開発するソフトエンジニアやデータサイエンティストを想像するんですけど、それと同時に、“AIを搭載した商品をどのように届けるか”、または“ステークホルダー(利害関係者)を束ねて、どうやってプロジェクトを推進するか”、“どうやって課題を抽出するか”、そういったところも同じだけ大事になってきます。私はそれを『AIビジネスデザイナー』と呼んでいて、“AIビジネスデザイナーを育てる”ということも今すごく大事なことだと思っています。

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石角友愛 (@tomoechama) Twitter


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