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Dream HEART vol.483 映画監督 是枝裕和さん 「日本の映画の弱さは脚本の弱さ」

2022年07月02日

是枝裕和監督は、1962年、東京都のお生まれ。

1987年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、
テレビマンユニオンに参加され、主にドキュメンタリー番組を演出されます。
1995年、『幻の光』で映画監督デビュー。

『誰も知らない』(2004年)、『歩いても 歩いても』(2008年)、
『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)などで、
国内外の主要な映画賞を数々受賞。

2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げられました。
2018年には、『万引き家族』が、第71回カンヌ国際映画祭で
最高賞であるパルムドールを受賞。
第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。

そして、是枝監督初となる韓国映画『ベイビー・ブローカー』が、
第75回カンヌ国際映画祭の【コンペティション部門】に選出され、
主要部門の授賞式前に発表される独立賞の「エキュメニカル審査員賞」を受賞、
そして、主演のソン・ガンホさんが、男優賞を受賞と2冠を達成。
昨日6月24日より、全国で公開となり、話題を集めていらっしゃいます。


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──これからの日本の映画界

茂木:是枝監督は世界的な映画監督としての地位を確立されていて、本当に素晴らしいんですが…。日本映画界全体を見た時、これからはどうですかね?

是枝:若い作家ですごく優れた方たちが出て来ているのは間違いなくて。もちろん、国際映画祭に出ることだけが評価の基準ではないんですけども、僕とか黒澤さんとか河鵑気鵑箸の名前が、2000年以降は表に出るようになって、映画祭に行っても「なかなか次が出て来ないね」と言われていたんですよ。だけどそこで、濱口さんをはじめ、40代・30代で次の世代の作家が出て来ているのは間違いないです。
ただ、彼らがたくさんお金を使いたいと思っているかどうかも分からないですけども、“作品の展開が広がっていくか”と言うと、日本の産業としては内向きなので、日本国内でマーケットが閉じてしまっているんです。メジャーになればなるほど、「別に海外に行かなくてもいいんじゃないの?」「国内で何とか採算が取れるよ」という人たちがまだ主流なんですよ。

茂木:なるほど。

是枝:そういう発想を持っている主流の人たちと、いわゆる映画作家たちが、乖離してしまってる…二極化してると言うか、ここが分離しているというのが、ちょっともったいない、残念なところです。

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茂木:是枝監督は、最初は小説家志望でもあられたということで、脚本を一貫して書かれていて。映画における脚本というのは極めて重要だと思うんですけど、これは徹底的に勉強するしかないですか?

是枝:そうです。僕がちゃんと勉強しているのかどうか、疑問なところなんですけど…。

茂木:でも聞いたところによると、お金をつぎ込んで脚本集をかなり揃えていた、とか。

是枝:読むことはしていました。主にはテレビですけど。

茂木:やっぱり徹底的に脚本を読まないとわからないものですか。

是枝:読まないと駄目だと思います。でも今は、映画に限らず集団制作が主流になってきているんですよ。脚本も専門の方たちを入れて3〜4人で作る、というのが、もうハリウッドはそうなっていますし、韓国なんかも配信のドラマとかは完全に複数体制でやっているものが多いです。脚本家も、本当に面白いものを書く人が出て来たな、という感じはあるんですけど、やっぱりもう少し専門家の目を入れた方が、と、『海外の人たちは』思っています。「日本の映画の弱さは、脚本の弱さだ」というのは、よく言われます。

茂木:では、是枝監督が、ずっと単独脚本でこれだけのクオリティを保っているというのは、ある種の奇跡ですね。

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是枝:ありがとうございます(笑)。ただ、なるべく人の意見を聞いて、修正していくことはやっています。

茂木:「分福」の仲間の意見ですか?

是枝:そうです。西川美和とか砂田麻美とか、もうビシビシ叩かれて直してますので。

茂木:(笑)。それはちゃんと聞くんですね?

是枝:はい。痛い所を突かれるので、それはちゃんと、「コノヤロー」と思いながら直します。僕も言いますけど、でも、言われる方が多いです。

──芝居を見る目の解像度

茂木:是枝監督は、『ベイビー・ブローカー』で初の韓国映画を撮って、国際的にも高い評価を受けましたが、『ベイビー・ブローカー』を世に送り出した充実感、と言うか、自分の映画人生の中で「こういう意味のある作品だったな」ということがもしありましたら、教えて頂けますか。

是枝:あんまりそういうことは考えないんですよね。なるべく振り返らないようにはしているんですけど(笑)。

茂木:あ、考えないんですね(笑)。

是枝:ただ、経験としては本当に新鮮な経験ができましたし、これだけのキャストとスタッフで作れたことは自信にもなりましたし。
実は、日本に戻って来て配信ドラマを演出した時に、自分の“芝居を見る目の解像度”が、少し上がっている感じがありました。それは、例えば映画祭とかで字幕のない映画を観た時に、言葉は分からないけど字幕を追わないから、その分お芝居に集中できるんですよ。そうすると、話は分からないけれども、瞬間としては「この役者はいい役者だな」とか、「このやり取りはあんまり上手くいってないぞ」というのが、字幕を追っている以上に分かるんです。
僕が『ベイビー・ブローカー』でやっているのはほぼそれに近いから。もちろん脚本は自分で書いてるので何を話してるかは分かりますけども、ニュアンスを拾っていく・掴んでいく部分だけが勝負なので…。

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茂木:それは、実際に韓国語を生で聴きながら、それを実感していたということですか。

是枝:そうですね。そうじゃない部分…言葉の意味以外の部分を使う、という訓練を、3か月以上した、ということで。(韓国から日本に)戻って来ると、日本語の意味はもちろん分かるんですけれども、それ以外を察知して芝居のジャッジをする、ということが結構できるな、と思いました。

茂木:逆に言うと、我々は日本語の場合、意味に頼ってしまっているけれど、本当はそこの“意味じゃない、非言語的なこと”を察知すべきなのかもしれないですね。

是枝:本当はたぶんそうなんだな、ということに気付きました。

茂木:では、その精度が上がった、と。

是枝:はい。いつまで上がったままで行けるかは分からないですけど、今は上がってると思います。

茂木:是枝監督が手がけた映画『ベイビー・ブローカー』は、現在全国で公開中です。まだ作品をご覧になっていないリスナーの方々にメッセージをお願いできますか。

是枝:はい。題材は“赤ちゃんブローカー”の話なので、ちょっと重たいと思われるかもしれませんけれども、観終わるとちょっとだけ気持ちが前向きになって、映画館を出た後の空が綺麗に見えるような、そんな映画になったような気がしております。是非、劇場でご覧ください!

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現在、全国公開中の映画「ベイビー・ブローカー」の
【オリジナルLED カラビナ付ライト】を
5名さまにプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



映画『ベイビー・ブローカー』公式サイト


映画『ベイビー・ブローカー』公式 Twitter (@babybroker_jp)


是枝裕和 (@hkoreeda) Twitter


是枝裕和 公式サイト
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