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Dream HEART vol.621 お笑いコンビ・ガレッジセール、映画監督 照屋年之(ゴリ)さん 「沖縄に恩返しをしたい」

2025年02月22日

今夜ゲストにお迎えしたのは、映画『かなさんどー』の監督を務められました、お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリさんこと、照屋年之さんです。

照屋年之(ゴリ)さんは、1972年、沖縄県のお生まれ。
1995年にお笑いコンビ「ガレッジセール」を結成し、2006年から映画監督のキャリアをスタートされました。

初監督作品となる、短編映画『刑事ボギー』でショートショートフィルムフェスティバル〈話題賞〉を受賞され、2009年には、『南の島のフリムン』で長編監督デビューを果たされます。

そして、2018年に制作した映画『洗骨』は、モスクワ国際映画祭、上海国際映画祭などの映画祭に出品され、日本映画監督協会・新人賞を受賞。

そのほか、2022年には沖縄が日本に復帰した1972年を舞台にした小説『海ヤカラ』も出版されました。

映画監督、芸人、俳優などなど、幅広くご活躍中でいらっしゃいます。


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──映画監督を目指していた父

茂木:全国で公開中の映画『かなさんどー』は、「人を許す寛容な心」、「家族の絆」がテーマということで、先週「映画を観終わったら誰かに連絡したくなる映画だ」と伺ったんですけれども、改めて、この映画『かなさんどー』は、どんな方にご覧頂きたいですか?

ゴリ:やっぱり人間関係というのは楽しいだけじゃないと思うんですよ。会社の人間関係で揉めているとか、学校が馴染めないとか、もしくは親子関係、夫婦関係、兄弟などなど…。本当は楽しく過ごしたいと思っていながらも、何か人と衝突してしまう、許せない、とか。
そういう中で、「人を許すって何なのかな?」という時に、この松田るか演じる“美花”という娘が、“母をちゃんと看取れなかった憎い父親”というものを、死に際にどう見送ってあげるのか、という、そこの部分が見どころだと思います。観終わった後に、もしかしたら娘は父は許していないのかもしれないんですけど…。
許していないけれども、多分亡くなった母のためにも、必死で彼女は演じ続けたんだと思うんですよね。お父さんの良い思い出というものを。だから、こういう許し方もあるのかな、見送り方もあるのかな、と思いますので、皆さんがこの映画を観終わった時に、「今ちょっと人間関係がこじれて疎遠になってしまったあの人と、もう1回会ってみよう」と思ってくれるのか、「電話してみよう」と思ってくれるのか、だと思います。

茂木:是非皆さん、ご覧ください。
沖縄は戦争や平和を考える上では本当に大切な場所だと思うんですが、ゴリ監督は、沖縄戦のことも映画化したいという想いがあるようですね。

ゴリ:僕の父親が、実は映画監督を目指していたんですよ。でもうちの父親は、助監督をやった時点で「俺には向いてない」ということで辞めて、うちの母親とベビー用品店というものを国際通りのところで始めたら、大成功して、一般的にはいわゆる裕福な生活になったんですよ。
だからうちの父親がよく言うのが、「もし自分がなりたい仕事を目指してて、夢が絶たれたとする。夢が叶わなかった場合でも、俺みたいに別の線路を歩んだら幸せが待ってる場合もあるから、別に夢が絶たれたから不幸せとは思うなよ」ということで。芸能界を始めた頃はそれをずっと言われていたんです。

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茂木:素敵なお父さんですね。

ゴリ:「別に違う線路に行っても、こうやってベビー用品店で今幸せに暮らしてるから、他の線路にも幸せはあるからね」ということで、「絶対芸能界で成功しなきゃいけない」というプレッシャーは半減したかもしれません。

茂木:素晴らしいですね。

ゴリ:その父親が映画好きで、特に戦争映画が好きなんです。それを好んで観るんです。それで、うちの親父は、晩年ずーっと「いつかお前に、沖縄戦の映画を撮ってほしい」と言っていたんですよ。

茂木:ゴリ監督。これは是非撮ってください。

ゴリ:でもね、「戦争」というシビアな題材を扱うということになると、やっぱり色んな賛否の声も出ますし、そういう部分では生半可に撮れるものではないと思っていて。本当に「撮る!」と自分が熱いものを感じた時に、徹底した取材と、自分の中で「何を表現したいのか」、「反対の声が出ようが、僕はこうだから撮った」と強く言い返せるものが生まれない限りは、着手してはいけないと思いますので。もし本当にその熱いものが自分の中で火がついた時は、撮ると思います。それは親父のためにも撮るかもしれないです。

茂木:本当に楽しみしています。

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──ゴリさんの『夢・挑戦』

茂木:この番組は『夢と挑戦』がテーマなんですが、これからの監督の『夢・挑戦』はどんなことになりますかね。

ゴリ:僕がこの芸能界という浮き沈みの激しい世界に挑戦できて、ここまで30年、生活してご飯が食べられたのは、沖縄出身ということが非常に力になっているんですよ。沖縄出身ということで面白がられたり。沖縄というものに救われたからこそ、「沖縄に恩返ししたい」と思って、沖縄を舞台にした映画を意図的に撮り続けているんですね。
そういう部分では、僕の中で「今後の残りの人生をどう使うか?」と考えた時に、やっぱり沖縄に対する恩返し。沖縄というものを題材にして、沖縄というものを日本や世界により知ってもらって。それは「海が綺麗」だけじゃなくて、「こういう文化がある」とかというものを含めながら、沖縄に何か貢献して、それを続けていく。ということが、僕の中で今後の残された『挑戦』であり、『夢』、『希望』かなとは思います。

茂木:楽しみですね。

ゴリ:僕は『洗骨』でモスクワ国際映画祭とかの海外の現場に実際に行ったんですが、僕は勝手に、格闘家のヒョードルのお陰で「ロシア人は冷たい」というイメージがあったんですよ。目の奥が何を考えているかわからない、みたいな、勝手なイメージだったんですけど。
でも、日本人と同じところで肩を揺らして笑うし、日本人と同じところで鼻を啜って泣くし、映画を観終わった後の監督との質疑応答なんて、皆必死で手を挙げるんですよ。「実は私の田舎でも、『洗骨』の文化があって」とか。
だから、僕の中でロシア人のイメージがすごく変わった部分があって。それがポーランドだったり、カナダであったり、上海だったり、韓国だったり、世界中で、同じところで笑って泣く、となった時に、僕の中で勝手に、「中国人とか、アメリカ人とか、色々な個性があってちょっと日本人とは違う」みたいなイメージで捉えていたものが、映画というツールを通すと“地球人”という1つになったんですよ。

茂木:素晴らしい。

ゴリ:「映画って本当に1つにするんだな」と思ったので、そういう部分では、僕の中で世界の距離を縮めてくれたきっかけであったのが映画ですね。

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映画『かなさんどー』(@kanasando_movie) / (旧Twitter)公式アカウント


映画『かなさんどー』公式サイト


ゴリさん (ガレッジセール)(@Teruyatoshiyuki) / (旧Twitter)公式アカウント


ガレッジセールSTAFF (@info_garagesale) / (旧Twitter)公式アカウント


●映画『かなさんどー』予告編 - YouTube