
「はす」というのは、大きさ30センチ程の、小さな魚や昆虫を食べる魚です。福井県若狭町には、はす川という川が流れています。たくさんのはすが産卵のため遡上してきたことから名付けられました。ところが、近年、まったくといっていいほど、はすの姿が見られなくなってしまいました。なぜはすは減ってしまったのでしょうか。実は、川と田んぼの関係に一因があります。田んぼは、稚魚の生育場所であり、稚魚の餌となる微生物の発生する場所です。それらは田んぼから水路を渡って川に流れ込んでいました。昔は、湖→川→水路→田んぼという水のネットワークができていました。しかし今の田んぼは、水路と田んぼの落差が大きく、水路はコンクリートで固められ、水のネットワークが分断されています。はすの食べる餌はこうして少なくなっていきました。もちろん原因は他にもあります。また、はす川から姿を消したのは、はすだけではありません。ハスプロジェクト推進協議会では、田んぼの生き物の賑わいを取り戻すため、田んぼの保全や自然観察会などを行っています。