
カブトガニは、2億年前から姿を変えず生息する「生きた化石」で、学術的にも大変貴重な生物。
お椀のような甲羅状の体に、剣のような鋭い尻尾が伸びています。
岡山県西部の笠岡湾にはかつて多くのカブトガニが生息していましたが、昭和から平成にかけて行われた笠岡湾干拓事業や生活排水などの影響により、その数は激減。
しかし近年、漁業関係者や地域住民などの協力を得ながら、少しずつ生息環境が回復の兆しをみせています。
生物の保護活動にも取り組む笠岡市立カブトガニ博物館には、昨年度、2組4匹のつがいを含む28匹のカブトガニが保護されました。
保護数が20匹を越えたのもつがいで見つかったのも10年振りのことで、その大半は猟師からの通報でした。
同館の職員は「昔は網に引っ掛かり、“厄介者”として処分されていたことも。保護活動ができるのは、漁業関係の方の理解があってこそ。」と語ります。
一方、日本で唯一の国指定天然記念物「カブトガニ繁殖地」が広がる笠岡湾では、4年連続で自然産卵を確認。
これは、地域住民による海岸での清掃活動やアマモ苗の植栽、カブトガニの成育に不可欠な干潟保護を目的とした潮干狩り禁止の啓発活動などの成果とみられています。
カブトガニを守るため、笠岡湾周辺の人々による地道な取り組みが着実に実を結んでいます。
今後も活動を通して、生物の命はもちろんのこと、環境を大切にする意識も共に、後世に伝えられていくことを期待しています。


