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20.02.06
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『福島』を、学びの場に

全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。

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今週のテーマは・・・「『福島』を、学びの場に」

4月からはじまる新学期へ向けた準備も進み始める時期となりましたが、そんな今日は、学校の生徒・児童たちの「教育旅行」のレポートです。教育旅行とは修学旅行をはじめとした、学校・学年単位の旅行のこと。その行き先に福島県を選ぶ学校の数が、震災以降、回復を続けているんです。

ということで「Hand in Hand」、今回のテーマは「『福島』を学びの場に」。子どもたち・若い世代へ向けた福島の取り組み、お伝えしていきます。 もちろん番組からの<お土産プレゼント>もあります!



さて、学校旅行の行先として、福島県を選ぶ学校の数は、東日本大震災直後はおよそ2000校だったのが2018年度には学校数で7047校!震災前の9割にまで回復しています。これは、福島県の学校や、観光関係者による安全性と魅力の発信によって原発事故の影響への不安が和らいだことが大きな理由。

そしてその取り組みの一つが、今回取材した福島大学「うつくしまふくしま・未来支援センター」が主催する、
「防災リーダー育成プログラム」です。去年7月にスタートして、宮城県石巻市での「被災地見学」や、福島県大玉村での「災害対応キャンプ」、伊達市での「避難所運営実践プログラム」など、今年3月までの間に全6回のプログラムを実施。防災の知識・技術を身に着け、“防災リーダー”として活躍する若い力を育むことを目的としたものです。

その5回目のプログラムの一環で、先日、大阪の府立大手前高校の学生たちが、福島市の「環境再生プラザ」を訪れました。「環境再生プラザ」は、環境省と福島県が運営する、ふくしまの環境回復の歩み、放射線、中間貯蔵など、環境再生に関する情報を伝える拠点施設です。

プログラムに参加した大手前高校の大川香理先生と、江原義哉先生)に、参加された経緯を伺いました。

大川香理先生「やはり震災だけではなくて、津波と原子力発電所の問題という複合的な災害というものに対して、これからの世の中、あちこちに原子力発電所もありますし、大阪にも福井県に大飯原発がありますので、そういったものを身近に感じていろいろ考えて、何が危なくて、何が大丈夫なのかというのを自分の頭で考えられるベースを作りたいなという事は思っています。本校の生徒はやはり進学校と言うことで、座学の勉強を中心に今までずっと過ごしてこられたので、実地でいろんなタイプの他の、例えば年代も違う、出身も違う、場所も違うような同じようなお子さんと一緒に学ぶ機会というのがすごく少なかったので、そういったところで共同作業、共に助け合ってする作業と言うのを体験できたと言うことでものすごく成長したと思いますし、実際に福島まで来ようと募集をかけた時に、誰も手を挙げる生徒がいないかなと言う不安の中で、こういうプログラムがあるんだけれども、参加してみたい人はいませんかといった中で、いち早くすぐに、行きたいです、やりたいですと言ってくれたことで、すごく前向きになっていて、今もちらちらとこれからもこういう勉強したいとか、防災士と言う資格があるとしたら、それをとってみようかなとか言って、すごく前向きに勉強以外のところで前向きにやってくれているな、嬉しいなと思うのと同時に、それをするためにはやはり知識が必要だと言うところに立ち戻って、今までのやってきた机の上の勉強が、生きたものになっていくんじゃないかなと思っています。この子たちが作っていく未来と言うのが本当に楽しみだと思います。」

江原義哉先生「私は国語科の人間なんですけど、やっぱり国語が1番大事だなと思いました(笑)というのは安全と安心について、と言うことで、このプラザで放射線について説明を受けたわけですけども、京都大学の先生が書いた「京大変人講座」と言うふざけた題名の本があって、その中で安心と安全と言うのは全く違うものなんだということがあって、安全と言うのは客観的なデータによって説明されるものだけど安心は各個人が納得するもの、各個人の心の中で受け入れるか受け入れないかと言う所で決まるものですよね。いくら安全であっても安心できないものはあるし、逆に言えば津波が10メートルまでしか来ないと思って安心していたら全然安全じゃなかったと言うこともあったと言うことですよね。結局その、データに対してどのような判断をするか、どういう風に納得するか、それで油断を防ぐことにもつながるし、逆に言えば本当に安全なんだけれどもそれをうまく伝えることができないばっかりに、いろいろな情報災害、風評被害を含めたものが起きてしまっていると言うこと。ただ数学とか理科はデータに関する学問になってると思うんですけど、やっぱり国語と言う人と人との言葉がつながっていくような勉強と言うのは絶対に1番大事だなと。頑張らないといけないなと改めて思わさせられました。


そして、福島県で、学校旅行むけに実施されいている「防災リーダー育成プログラム」の一環で行われたのが、「環境再生プラザ」での講義です。

講義では、「皆さんにここでご説明したいのは福島が今どういう状況にあるのか。事故が起こりましたけどその後の福島はどういう状況まで回復していて、私たちは福島に住んでいますけど、そんなにリスクを犯して住んでいるのかどうかということを理解して頂くために、事実を中心に説明をして、その事実に基づいて皆さん方が判断して頂きたいなと言うことで説明をしたいと思います」と、その目的を専門職員の方が説明。放射線に関する、正しい知識をとても分かりやすく解説していました。
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もちろん福島第一原発事故で何が起きたか、それによって飛び散った放射性物質がどうなったも、しっかりと説明。事実だけを積み重ねたうえで、「だから私たちは、子どもたちも赤ちゃんも、健康を犠牲にして福島に住んでいるわけではなく、こういう事実があるから、安心して暮らしているんだということを理解してもらいたい」とまとめていました。
講義を受けた大阪府立 大手前高校の生徒たちの声です。

「もっと放射線で防ぎにくいものなのかと思っていました。土を何メートルか載せたら防げると聞いて、驚きました。恐れすぎていたのかなと思いました」

「今まで放射線量の調査とかニュースとかで見ていたんですけど実際にどういうことを調べていたのかも知らなかったので、そういうことを知ることができて良かったと思います。さっきも除染して戻ってきた土をそこに置いてあったのを見て、ちゃんと対策をすればこういう展示する施設でも、置いても大丈夫なものだということがわかって、少し安心しました」

「ネットとかでも調べたらいろいろな情報が手に入るんですけど、実際に体験してみるとか、話を聞いたりすることでより自分の心に残るような形で知識を得られたかなと思います。やっぱり一言で放射線といってもすごく漠然とした捉え方しかできなくて、実際どうなんだろうなと言うことを聞かれてしまうと答えられなかったんですけど、こうやって学んだことで、放射線が怖くないの?と聞かれても自分の口で自信を持って説明できるようになったというのがすごく良かったなと思います」
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会場となった「環境再生プラザ」の佐藤悟さんにこの施設で、学生たち・子どもたちに伝えたいことを伺いました。

佐藤さん「県外から来られる大人の方もそうですけど特にやはり学生さん生徒さん方には、やはり福島が原発事故の時にどういうことが起きて、どういう風に来て今があって、これから先どうなっていくのかというところをまず知っていただきたいなと。できればそれを各、自分たちのおうちに持って帰ってもらって、それを正しく伝えていってもらえたらありがたいなと思っています。やはり(番組スタッフが行った学生への)先程のインタビュー拝見していても、知らなくて怖がっていたと言う方がまだまだ多いのかなと思います。一方で忘れたいと言う気持ちもあるとは思うんですけれども、やはり正しい情報を持って忘れていくのか、それともきちっと正しい情報を持って自分の中で消化していくのか、って、また違うと思うんですよね。それを伝えていっていただくためにもやはり正しい情報とか知識の上で、考えてもらってそれを発信してもらったらありがたいなと思います。」


この「環境再生プラザ」、ふくしまの環境回復の歩み、放射線、中間貯蔵など、環境再生に関する情報を伝える拠点ということで様々な方が来館しています。近年は福島県在住の方の来館は減少傾向にありますが、一方で、県外、さらに海外の方が来館されるケースは確実に増えいる実感があると、佐藤さんは話していました。

最後に、福島の現状を学びたいという方へ、佐藤さんからメッセージです。

佐藤さん「今福島県内の小中学校では、専門家の派遣ですとか、プラザにある展示物を移動して「移動展示」と言う形でそういった放射線授業のお手伝いをさせていただいております。なかなか県外にそういう専門家派遣をできない代わりに、私どもの環境再生プラザのホームページにいろいろな授業の中で使わせていただいているツールですとか、資料なんかはありますので、そういったところから、こういったことを福島では学んでいるんだなと、自分たちの学校でもこういうことをやりたいなと言うものがあればぜひお気軽にお電話でもメールでもアクセスしていただければ助かります。」


福島の放射線の現状を知りたい、また“教材として使いたい”という方は、「環境再生プラザ」のホームページで資料を無償で提供していますのでぜひアクセスしてみてください。番組ブログにもリンクを張っておきます。

環境再生プラザ
http://josen.env.go.jp/plaza/

「Hand in Hand」、今回も番組からの“お土産プレゼント”があります。
今回は福島県浪江町のえごま生キャラメル を3名様にプレゼント!

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ご希望の方は、番組ホームページのメッセージフォームからご応募ください。今日の感想や番組へのメッセージもお待ちしています。

来週は、福島で地域保健活動や放射線に関する住民とのリスクコミュニケーションを続けている、長崎大学助教、折田真紀子さんのインタビューをお届けします。

「Hand in Hand」、今回の放送は、復興庁とともにお送りしました。

また復興庁のホームページでも、今回の放送に関するレポートが掲載されています。
ぜひこちらもチェックをお願いします。

復興庁「タブレット先生の『福島の今』
http://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2018/fukushimanoima/index.html

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