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20.03.19
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被災から半年、春を迎える長野(前編)

全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。

今週のテーマは・・・「被災から半年、春を迎える長野(前編)」

暦の上では春到来の時期。長野県は、まだまだ風は冷たいものの、春の香りも感じられる季節になりました。

番組では11月、相次ぐ台風による被害を受けた直後に、堤防が決壊した千曲川沿い、アップルラインというリンゴづくりの中心地の状況をお伝えしましたが、あれからおよそ5か月。再び訪れた千曲川沿いの風景は、見違えるように復旧が進んでいました。


ということで今回は「春を迎える長野」で、まさにいま、再生へ向けて一歩ずつ歩みを進める生産者、地元を支える産業にクローズアップして、お伝えします。

まず最初に向かったのは、地元を支える産業。『ホクト株式会社・赤沼きのこセンター』です。
エリンギやマイタケ、ブナシメジなど、みなさんの食卓でも活躍しているキノコ生産最大手。
実はこの会社、創業は長野県。現在も本社は長野県にあり、きのこの生産拠点も、長野にたくさんあるんです。

その一つが赤沼きのこセンター。去年の台風19号で千曲川が決壊した地点からおよそ1.5キロの場所にあり、浸水で生産していたエリンギと施設そのものが大きな被害を受けました。

あの日の様子はどんなものだったのか。赤沼きのこセンター所長の清水勝典さんに、センター内を案内して頂きました。

「洪水で赤沼きのこセンターのことが気になったので見に来たんです。高架橋の上からセンターを見たら、1階部分が水に浸かっていて。栽培瓶に培地を詰め込む場所ですね。その横が、キノコを生育している場所です。こちらも泥水につかっていました。それを見た時は頭が真っ白で、よく状態が飲み込めない感じでしたね。昨日まではここでキノコを作っていましたので。」

そう語る清水さん。2メートルの浸水で、きのこの生育室にあったおよそ9万本のきのこを育てるための瓶が全て泥まみれになってしまったといいます。



施設の1階部分はすべて浸水。現在は洗浄を重ね、ようやく復旧のめどが。


そして現在、泥に使ったきのこを育てる瓶を、センターのスタッフ70人が手作業で洗浄する作業が続けられています。1本1本をブラシやスポンジで丁寧に手洗いすることで、「泥が1つも残らないようになるまできれいに洗っています(清水さん)」



また清水さんは、「被災して自宅の片づけをしていたスタッフたちがセンターに来てくれて、瓶を1本1本、自分の家を片付けるようにやってくれて、いろんな意見も言ってくれたんです。そのときに、もう一度この人たちときのこを作りたい、そう思いました。それが復旧作業を明るく元気にできている、大きな力かなと思います」。

こうした“大きな力”で、去年11月から続いていた復旧作業もようやく先が見えてきたようです。「6月中旬には収穫を迎えたい(清水さん)」。エリンギの全国シェア5割を占めるホクトのエリンギ生産の中核を担う赤沼きのこセンター。今年の初夏には、ここらたくさんのエリンギが、再び出荷される様子が見られそうです。


ホクト株式会社・赤沼きのこセンターの復旧・再生への活動は、赤沼きのこセンターのFacebookページでも、随時報告されています。こちらもぜひご覧ください。

***

さて、次に高橋万里恵が足を運んだのは、「アップルライン」。国道沿いにリンゴ園の風景が続くことで名付けられたその風景は、まさにリンゴの名産地・長野市の象徴。去年11月に訪れたときは浸水被害の生々しさが残っていましたが、景色はようやく戻りつつあるように見えました。

そんなアップルラインの一角にあるのが、今回 番組が注目した若きリンゴ農家が営むリンゴ畑。こちらもまさに、復興・再生へ向け、一歩一歩、歩みを進めている最中でした。

「フルプロ農園」、フルプロとは、フルーツのプロフェッショナル、プロダクト、プロデュースなどいろんな意味を含ませた名前。その農園のリーダーが徳永虎千代さん(27) 高密植栽培という、効率よくリンゴづくりを進められるシステムを導入するなど、長野市のリンゴづくりにイノベーションをおこそうと奮闘している方です。

そんなフルプロ農園、昨年の台風では、9割のリンゴが廃棄処分という大きな被害を受けてしまったのですが現状を伺いました。

「高密植栽培というのは、木と木の距離が近くデッドスペースがないので同じ面積あたりで3倍収穫量が取れて品質も均一に揃いやすくなり、消毒が減らせて誰でも働きやすい環境を作れるのが良いところですね。若い世代で農園を経営していますので、新しい栽培方法で変革を起こすことができないかと模索しています。(徳永さん)」

そのリンゴ園が浸水被害を受けてしまったことについては、「いろいろ考えてたどり着いたやっていた思い入れがある栽培方法と畑だったので、本当に一旦ちょっと立ち止まってしまうような状況にありましたね(同)」と、ショックを受け止めきれない時期もあったようです。ただ現在は、「土とか藁をかぶせて(倒れた木を)保湿してある状況。なんとか生かしてある。木を1本1本起こしていく作業がここから1ヵ月間ぐらいやっていきます。やってみなきゃわからないんですが、何とか来年にはりんごを取れるようにしていきたいです(同)」

高密植栽培のリンゴの木はすべて水害で倒されてしまった。今後は倒れた木を起こして来年の収穫を目指す。


その一方、徳永さんはクラウドファンディングなどを利用した様々なアイデアで復興を目指しています。

徳永さん「水害1ヵ月後の11月12日から“アップルライン復興プロジェクト”というクラウドファンディングで支援者を募るということをやらせていただいた。復興にはお金が必要なだけじゃなく、〈人〉に注目を集めるのも大事だと思って、ふっこうだけじゃなくこの産地がもともと抱えていた問題も合わせて解決する“創造的復興”をテーマにした。1000人もの方々がご協力してくれて金額も1000万円という大きな達成に。支援していただいた1000人の期待を私たちの希望に変えて、今後もアップルラインから明るいニュースを届けていくことが私たちの使命だと考えています。」

こう話す徳永さん。今後は、クラウドファウンディングの返礼品にもなっている「リンゴのグラノーラ」など、復興をきっかけに商品を作っていくといったソフト事業にも力を入れていきたいと話しています。

徳永さんはこのリンゴ農園の4代目。数年前に父親からリンゴ園を受け継いだばかり。120年ほど前にリンゴ園を開拓した初代は、長野市にリンゴの苗を初めて植えた1人なのだそうです。

「これをしっかり受け継いで、リンゴの価値を提供するには、災害で産地が廃れてしまってはならないんですよね。地域の発展に少しでもかかわれるよう頑張っていきたい(同)」


今週はプレゼントはお休みとなります。番組への感想・応援は引き続き募集しております。

「Hand in Hand」、来週は今週に引き続き「被災から半年、春を迎える長野市」の後編、お届けします。

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