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20.08.20
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千葉県富津市、再生をめざす古民家カフェ『えどもんず』


千葉県富津市にある一軒の古民家カフェ「えどもんず」。富津市・金谷の海沿いの街道で2012年にオープンしたお店です。岐阜県の「白川郷」から230年ほど前に金谷に移築された、合掌造りの建物で、こだわりぬいたコーヒーが楽しめるだけでなく、とにかくマスター青山清和さんの人柄で、他県からもお客さんがやってくるほどの人気店でした。


ただ、このカフェえどもんずは現在、営業できる状態ではなくなってしまっています。去年の台風15号で建物の屋根が全てはぎとられるという大変な被害を受け、さらに新型コロナの影響もあり、ようやくこの夏に入って営業再開へ向けて動き出したばかりだと言います。
カフェえどもんずの建物の前でマスターの青山清和さん、そして支配人の美光さんに伺いました。


青山「屋根が全部飛んで全壊扱いになってしまって、店内も竜巻にまかれて美術品が2000点くらいぐちゃぐちゃになって。もう廃業しか選択肢がなかったんだけど、そこから僕の心を動かしたのはやはり一緒にいてくれる支配人の美光さん。彼女はその日から片付けを始めて、もう1年になります。毎日すすで真っ黒になっていますよ。」


美光「(台風直後のお店の様子は) お店に向かう道中、ポツンポツンと屋根らしき破片が転々としていて。ウソでしょ、まさかと。でも、門のところで様子を見たら変わり果てていたので愕然として震えが止まらなくなって。パニックなんだけれども冷静に対応していかなければいけないというもう1人の自分がいて。」

――――合掌造りの骨組みは無事だったんですか。

美光「それが、骨組みは残っていたんですよね。屋根がポンっと飛んだという感じで中も荒らされているんですけど、骨組みはあったんです。マスターも、骨組みがあるがゆえにこの建物を維持するか、被害がまた起こるのを抑えるために無くすかという選択を迫られたんですけど、やっぱりこの建物は重要文化財というか歴史ある建物なので残そうという選択になったんです。」

青山「8割の業者は、壊しちゃって平屋にしたほうがいい、と言うんだけど、飛騨高山に問い合わせたら、実は白川郷の中で一番古い建物よりもこれは古いってことがわかって。それで余計にこれは絶対に残したい、残すぞという決意になって。この建物は200年、300年続くのでね。また生まれ変わったら多分またお会いするかもしれない。そんな気がするんだよね。」


青山「焙煎機があったんですが、全壊の中でその焙煎機のおいてある土間だけが残ったんです。その焙煎気が完全に動きましたので、これはやれってことかなって思って。僕は焙煎が好きでね、手焙煎を入れればもう50年やっていて。豆は店内に常に100種類、200種類置いてあって、いつでもお客さんの注文で焼いてあげるという体制をとっていたんですけど、焙煎機だけは無事だったので、また焙煎に力を入れていこうかなと。飲むコーヒーじゃなくてポリポリ食べても新鮮だから美味しいコーヒーをぜひ味わってもらいたいなって。」


マスターの青山さんはこうして、全壊状態となった古民家の再建を決意。ただ資金のめどはついていなかったそうです。そんな中カフェのファンの方々が再建資金の一部を集めるためのクラウドファンディングを立ち上げ、7月に目標金額の500万円を達成!ファンの方がそこまで再建を応援したくなるカフェえどもんず。もともとはお客さんの一人だったという美光さんはその魅力をこう話します。

美光「いちコーヒー屋さんのマスターなんですけど、また会いたい、またお話ししたいと感じる方が多いんだと思うんです。コーヒーはもちろん、今まで飲んできたコーヒーと全く違う味わいを楽しめるということで、コーヒー大好きな人とかコーヒー関係の仕事をしている人ももっと知りたい知りたいとお店にいらっしゃいます。あとは本当にタイムスリップしたような空間の演出をしているので、ゆったりとした昭和の雰囲気で、振り子の時計がカチカチと静かに流れて、懐かしいなとか、コーヒーの香り、潮の香り、風・・・本当に五感を研ぎすまされる空間という感じでしたね。」

――――年内に復旧見込みということですが、復旧したらまず最初にこれをしたい、これが楽しみだというのはありますか。

青山「僕はお客様との再会。これだけで本当に涙が出ちゃうかもしれない。」

美光「目を閉じてそれをイメージすると、まず出てくるのは私とマスターが入り口のところでお客さんに こんにちは、と言っている映像が見えるというか(笑) 挨拶をすごく大事にしていたので、迎え入れるときも笑顔で。お客さんが「あー、マスター!」と言っているのがすごく浮かびます。なので皆さんを迎え入れたいです。」

青山「3つの味を大事にしているんです。例えば迎え入れるときの、こんにちは、いらっしゃいませ。それも一つの味だと思うんですよ。あともう一つは、食べたり飲んだりする味。最後の味が、ありがとうございました、また来てくださいという味。この3つの味を大切にしています。ぜひ(再建して)やりたいね。」

――――幸せと希望しかないですね(笑)

美光「下を見ればどーんと落ちちゃうけど、前を見ていると体が自然に動いちゃうんですよね。」

青山「リスナーの人へ。20代は大変だと思う、30代も大変、40代も大変だけど、60代になるとわかるんですが人生どんどん面白くなるから。30代より40代、40代より50代。だから60代は楽しいよ。こんなに貧乏どん底になっても楽しい。楽しいというか楽しもう!という感じのほうがいいってこと。」

――――いくつになっても楽しめるってことですね。

青山「そうそう。前向きな気持ちの方がいい。落ち込んだらキリがないよね。その時間がもったいない。自分が悲劇の主人公になっちゃって涙しちゃって、なんだろうな・・と思っちゃうよりは前向きなことを考えた方がいいですよ。」


屋根は新たに貼られたが、建物内の被害も大きく片付け作業が続いています。



青山さんが焙煎したコーヒー豆。なんとそのままポリポリ食べても美味しいんです!


カフェえどもんず 公式サイト http://www.edomons.net/


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