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20.08.27
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野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』レポート

全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。

今日のテーマは「野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』レポート」


番組の冒頭で聴いて頂いたのは、去る7月23日に、「福島県営あづま球場」で行われた、「プロ野球OBフェスタ in 福島」に参加して、元プロ野球の名選手たちに指導をしてもらった子供たちの声。スポーツ施設や合宿施設が多い福島県は、ひじょうにスポーツが盛んな地域。ただ、震災直後は原発事故の影響で、球場のある福島市の放射線の空間線量率も、一時は平常時より高い値を示して、子供たちが外でスポーツをすることを控える状況もありました。しかし今は福島市の空間線量率も震災直後の1/20まで低下。世界の主要都市とほぼ同じ水準まで改善されています。そんな福島で、元プロ野球の名選手たちが野球を通じ、福島の子供たちを元気づけようと、去る7月23日、本来、東京2020オリンピックが開幕する日であったこの日に、「プロ野球OBフェスタ in 福島」が、五輪会場の一つでもあるこの球場で行われました。

今回の「Hand in Hand」では、そんな「プロ野球OBフェスタ in 福島」の様子をレポート。

◆◆

「プロ野球OBフェスタ in 福島」。本来は6月21日に五輪開催1か月前イベントとして行われる予定でしたが、折からのコロナ禍の影響で中止も検討されました。しかしコロナ禍による自粛生活で沈む気持ちと、経済活動の停滞、加えて福島県では今なお原発事故による風評被害が残っていて、今回の停滞が他の地域よりも重荷となっていることから、“1年前イベント”として実施を切り替え、復興五輪の気運の盛り上げ、そして「風評被害払拭」を目的に、開催実施に至りました。

マスクやマウスシールドを装着、消毒やソーシャルディスタンスといった、新型コロナウイルスの対策を徹底、参加人数も大幅に縮小しての開催でしたが、それでも福島県内の小中学生8チーム119名が参加。プロ野球OB選手の指導を受けました。





参加したプロ野球OB選手のメンバーは、福島県出身で、巨人で活躍し、横浜DeNA監督も務めた中畑清さん、元ロッテの里崎智也さん、元阪神の代打の神様・八木裕さん、元ヤクルトの“ギャオス”内藤尚行さんなど、総勢17名。

ひと通り練習を終えたところで、イベントに参加したチームの中から、福島市の「福島リトルシニアチーム」、関川博已さん、いわき市の「いわきボーイズ」の高橋雅之さん、「いわき平ボーイズ」の鈴木健佑さん、に、お話を伺いました。聞き手は福島県在住のレポーター、久保田彩乃さんです。

◆◆

~福島県というのは昔から野球が大変盛んだった地域だと伺っているんですけれども、震災や原発事故の影響でなかなか環境的にやることが難しくなってしまった時期があったと思うんですけれども、その時期というのはどんな事を思われていましたか?

「いわきボーイズはですね、震災後1ヶ月半2ヶ月近く活動ができずにいて、地元の高校のグラウンドを貸していただいて、最初の練習が4月の下旬頃だったですかね。ようやくやるようになりまして、本当に震災の後もう野球なんてできないんじゃないかなというような状況の中で、そういうふうに周りに支えられながら復活していて、その年2年ぶりに全国大会に夏出ることもできたんですね。本当に皆さんに支えられてやれたという記憶があります。」

~なかなかやることが難しくなってしまったけれども、結果的に野球があったから子供達同士とか避難してきた人、避難を受けていた人とか、そこの交流だったりにつながりが生まれたようなことというのは感じられていますか?

「うちのチームから新潟県のチームの方に避難した子がいるんですね。そのおかげで入った子のチームと今うちのチームは現在も交流しておりますし、あと絆甲子園というのがあるんですよ。関東地区からもチームが来てくれまして、宮城県のチームと交流試合をしたり、それが縁でいろんなチームと交流ができているということですね。」

~そして今2020年になりまして、福島県内の放射線量というのも他県とほとんど変わらない状況になってきていますけれども、そういったことは練習などには今現在は何か影響とかというのはありますか?

「放射線量のことでは練習には影響していないですね。落ち着いてきているというところで、練習場所もいわき中心だったんですけれども、浪江だったり、そちらの方まで足を延ばすことが今できている状況になっています。」

「うちのグラウンドには線量計があるんですね。それを毎日見ながらやってはいます。おかげさまでかなり低くなっておりますので、普段通りのびのびとできている状況です。」

「やっぱり最初の何年間か、双葉郡国道6号線が通れなかったので、あと通行が認められてもなかなか保護者の方であまり子供がそういうところに、宮城県に行くにしても南相馬の方の試合球場に行くにしても、ちょっと敬遠気味なところがあったんですね。それが今一切ないので、その辺で感じることがありますね。」

~今日のOBフェスティバルについてなんですけれども、子供達が実際プロのOB選手たちから指導を受けている様子どんな風にご覧になりしたか?

「うちの子供たちはびっくりしてしまうような緊張もかなりありました。

十数名、20名近いOBの方々に来ていただきまして、一人対10人くらいの勘定でやっていただいているんですよね。とてもきめ細かい指導を今日は頂いております。だんだん話に引き込まれまして、目の輝きが全然違ってきていますね。とても嬉しいことです。」

~改めて今日のイベントが子供達にとってはどんなイベントになったと思われますか?

「今までなかなか暗いニュースばっかりで、野球を表立って楽しんでやるというのが難しかったんですけれども、このOBフェスティバルを機にもっと野球を楽しくやっていける機会になったんじゃないかなと思いますね。」

「本当にきめ細かい指導を受けまして、彼らの目つきも変わってきました。これからまだまだもっともっと野球にのめりこんでいくんじゃないかなと期待しております。今日教わったことを一つでも多く持ち帰ってですね、継続して練習できるようにアドバイスできたらなと思います。」


「野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』レポート」。県内8つのチーム、119名の小中学生が、1年後に延期となった東京オリンピックの会場の一つである福島県営あづま球場で、17名の元プロ野球の名選手に指導を受けたわけですが、当日は、午前が野球教室、午後には、県内の社会人選抜チームとプロ野球OBチームとの親善試合も行われました。

親善試合に監督兼4番DHで出場したのが、福島県矢吹町出身、巨人で活躍し、横浜DeNA監督も務めた中畑清さん。午前の練習でも誰よりも大きな声で熱血指導をされていましたが、その練習後にロッカールームでお話を伺いました。

◆◆

~まずは矢吹町出身ということで、安積商業高校出身ということですけれども、野球選手としての中畑さんの素養というのは、この福島で培われたと思っていらっしゃいますか?

「当然ですよ。基本を身につけたというかな。人間関係を含めてたけれども。高校までは安積商業で、さとう先生という監督さんがいたんだけどね、とにかく甲子園というのを本当に真剣にこの田舎で取り組んでくれて、家族のように監督の家で合宿したり、そういう絆みたいなものを教えてくれた環境というのは、この福島に原点はありますよ。」

~震災の後のお話をお伺いしたいんですが、原発事故の影響などもありまして、一時は福島県内で子供たちが外でスポーツができないという環境も続いていたんですけれども、その当時中畑さんはそういったことをどう思われていましたか?

「とにかく戻ってもらいたい、子どもたちと一緒に大会も含めてね。矢吹町だけで県内の大会をやっているんで、子供達のいわき地区とか浜通りの子どもたちが参加できないという状況に追いやられて、とにかく子供たちに戻ってもらいたいというのがあったので、宇都宮とか移転した子供たちの、ソフトボールを続けていた家族が避難した場所まで行って、野球道具を届けてあげて、とにかくそこにいてもいいからソフトボールを続けてくれとか、そういうことをしてずっとやり続けてきたんで、自分の大会も今年は中止になったけれども、もう36年かな。それで OBにプロ野球に入っている選手も出てきたので、すごくやりがいというのかな、続けていかなきゃいけない使命感というのはあるよね。
子供達が元気でなかったら駄目なんだよ。福島県全体の元気というのは、その原点になるのは子供達の元気だから。それに少しでも野球という競技スポーツが携わって、輪を広げて行ってくれるような形になってくれたら嬉しいなと思うしね。だからオリンピックがこのあづま球場で開かれるといった時に、もう本当に感動したし、福島は安全安心ですよということを世界にアピールできるチャンスじゃない。それはもう本当に嬉しかったよね。」

~1年間延期になってしまいましたけれども、この東京オリンピック復興五輪と呼ばれていますけれども、来年に向けてその復興五輪についてどんな思いを持っていらっしゃいますか。

「これをきっかけに、とにかく風評被害とか福島県で忘れ去られていく部分が多分にあるよね。原発の問題というのは消えないので、それを振り払うだけのものを、パワーを、何とかこの復興五輪というチャンスをいただいたことによって、復活の本当に足がかりになってくれれば嬉しいなと思うので。
今回コロナのも同じなんだけれども、風評被害ってそこだと思うんだよね。そこの環境をどう捉えるか。線量とかそういうのって目に見えないじゃない。そういうものに向かっていくタイミングって、人生の中で必ず出てくるんだよね。今まさしくその第二波が来ているにも関わらず、第二波を言えないという。なんでかと言うと生活ができないから。福島もずっと生活できなかったんだよ。その環境を乗り越えるためには、やっぱり立ち向かっていかなきゃいけないんだよね。だからそこの線引きって誰がするんだよと。俺達なんだよね。福島県民なんだよ。県民が立ち向かっていくという強い気持ちを持たないと、風評被害とか何とかとか全部跳ね除けることはできないので、俺達が元気でそこで食ってるんだもん、野菜作ってるんだもん、魚とってるんだもんと言う。そういうアピールの強さというものをしっかりもちながら、それで理解していただくと。それを忘れないでいきましょうよ。だって周りはもう忘れかかっているから。それをもう1回呼び起こしながら、大事な一歩を、大きな一歩を踏み出していくという、そういうきっかけにしたいなと思うのでね。だからぜひ常に福島県で絶好調でみんな元気だよという姿勢をもちながら、頑張っていって欲しいなと思います。下を向かない。それでは参ります。

♪上を向いて、歩こう~~

~あ、歌っちゃうんですね(笑)あれを言ってくれると思ったのに(笑)

じゃあ一緒に行くかせーの・・・「絶好調」!!


「こういうイベント自分は初めてだったんですけど、教えてもらっている時はすごく楽しかったですし、やっぱり初めてとなることもたくさん学べたので良かったと思います。」
「普段だったら基礎は基礎でも深く意識していないんですけれども、今日教わってからもっと意識しなきゃいけないなということを思いました。」
「今日教わったことをしっかり復習して、自分たちのこれからの練習につなげられるように頑張っていこうと思います。」

参加した野球少年たちのこんな感想も聞かれた「プロ野球OBフェスタ in 福島」。忘れられない夏の思い出になったのではないでしょうか。

ちなみに午前の野球教室を終えて、午後に行われた福島県内の社会人選抜チームとの親善試合では、社会人選抜が奮闘し、プロ野球OBチームに7-1で勝利しました。

復興庁サイト、「タブレット先生の『福島の今』」の「現地レポート」では、当日の様子をまとめた動画も見られますので、是非ご覧ください。


「野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』レポート」。プレゼントのお知らせ。
福島の夏の名産品といえば桃!そこで今日は、「JAふくしま未来」の、果汁100%オリジナルジュース、「桃の恵み」10缶入りを、3名様にプレゼントします。


ご希望の方は、下記のクイズの答えを書いて、メールフォームからご応募ください。

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Q:県営あづま球場のある福島市の空間線量率はどの程度でしょうか?
正しいものを選んでください。

① 原発事故からあまり下がっておらず国内外の主要都市より高い
② 原発事故から大きく下がってきており国内外の主要都市と変わらない
③ 高い
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下記サイトにヒントがあります。
タブレット先生と宝探し | タブレット先生の「福島の今」

ぜひ答えの番号とともにメッセージも添えてプレゼントに御応募ください。
また、今日の感想や本日ご紹介した福島市への応援メッセージもお待ちしています。
頂いた応援メッセージの一部は、復興庁の〔Hand in Handレポート〕でも、個人情報を伏せてご紹介させて頂きます。
是非たくさんのエールをお待ちしています。

今回の取材の様子は、動画でもご覧頂けます。是非ご覧ください!

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次週の「Hand in Hand」、東北の美味しいお酒と食、文化、人の営みに触れる新たな観光プログラム「テロワージュ東北」についてお伝えします。ぜひ聴いてください。

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