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20.10.15
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130年の歴史をつなぐ 南阿蘇『垂玉温泉 山口旅館』


熊本県南阿蘇村にある阿蘇五岳の1つ、烏帽子岳の中腹に流れ落ちる「金龍の滝」。かつてここは、この地にあったとされる「金龍山・垂玉寺」の修験者によって発見され、その滝つぼに沸く「垂玉温泉」は200年以上前から湯治場として人々を癒してきました。

明治19年。湯治の宿としてスタートしたのが『垂玉温泉 山口旅館』です。創業から130年間ずっと名湯治場としてこの地にありましたが、2016年の熊本地震で甚大な被害をうけ、現在も休館のままとなっています。そして2021年4月。まもなく垂玉温泉は再出発します。

今週のHand in Handは垂玉温泉 山口旅館の8代目、山口雄也さんにお話を伺いました。


旅館の目の前には落差60mの「金龍の滝」。川を旅して落ちる滝ではなく、上の岩盤から噴き出した岩清水が滝になっています。

「今は山肌があらわになっていますが、もともとこんもりとした森で緑に覆われていて10月終わり頃から色づき始めて紅葉を楽しむスポットになっていました。しかし熊本地震で上の草原と一緒に山がごっそり落ちて、この滝壺は土砂で埋まってしまいました。滝壺には「滝の湯」という山口旅館のシンボルである露天風呂があったんです。滝の真下でしぶきをあびれるような露天風呂だったのですがそれも一緒に埋まってしまって。」

―――今は滝の湯はどうなっていますか?

「金龍の滝の右側、茶色に変色しているところが泉源で、今は敷地内に引き込む前に川に流しています。元々あそこに泉源があるのでお風呂ができて、人が集まりだしてそれが垂玉温泉の原点なので、それがこのような状態になってるのは胸が痛むところです。」

垂玉温泉のシンボルだった「滝の湯」は土砂で埋もれてしまいましたが、直後から土を押しのけ自噴していたといいます。今でも湯量は変わらず、滝つぼの近くでしっかりと湧き続けています。

―――地震当日はお客様もいる中でどう対応されたのですか?

「熊本地震の本震で周囲の山が崩れて道も崩れて、隣の清風荘さんと一緒に孤立してしまいました。本震は夜中の1時半くらいでしたので、もう少し時間が早ければ露天風呂にお客さんもいただろうし、崩落に巻き込まれていた可能性が高いので何よりお客様に怪我がなかったのが全てかなと思っています。翌日夕方、自衛隊のヘリで助けていただきました。とにかくここから下の村まで脱出しなきゃいけないと、安全に皆様をお返しすることしか考えていませんでした。」


―――垂玉温泉はどのように再建する予定ですか?

「この場所は昔から災害の多い場所なので、治水の工事もずっとやって今まできました。これから再建しますが、今の自然の状況に合わせた建物や事業の規模を組み立てています。以前のような客室が何十室もあるような宿泊施設は当面ここでは出来ないと思っています。でも当時は相当揺れましたね。振り子のように、旅館にするのか他の形態にするのか揺れましたが、まずは垂玉温泉、温泉そのものを復活させようと決めて。イコール旅館ではない。ここが続いてきた意味は湯治場として皆さんのお役に立てていたのではないかと、原点回帰の気持ちで再建しようと。」

―――すごく楽しみですが、どのぐらいの時期にスタートさせたい?

「地震から5年目の4月16日を目指して。もちろん温泉は4番バッターですが、玄関前に噴気があがっているのは地熱に雨水がたまってボコボコしているんです。熱い蒸気が上がっています。そこに今後は蒸し窯を作って温泉の蒸気でお客さんに蒸し窯体験をしてもらったり、また飲食として蒸し野菜や鶏を出したり、ヘルシー志向なものを出していきたい。そこは今までになかったところなので、温泉以外にもいろんな資源を楽しんでもらおうと思っています。」


―――垂玉温泉の4番バッター、温泉はどう楽しめますか?

「メタケイ酸という成分が多いのでお肌がツルツルになります。温泉でスプレーも作ってたくらいなので、そこは自慢できますね。滝の湯はあの場所には再建できないと判断しましたが、滝の湯に代わる、真下ではないが滝を眺めながらの新たな露天風呂をつくったり、貸し切り露天風呂・家族風呂をつくってそこから滝を見ていただくよう計画しています。」

―――ここのお風呂すごいですね、今妄想で浸かりましたけど、ここから「金龍の滝」が見えてすごい気持ちよかったです!


高さ5〜6mはある石垣。ここに地下1階、地上2階のメインの客室棟が建っていたそうです。垂玉温泉は山の中腹にあるため、創業当時は地盤を固めるため石垣を組んだ上に建物を建てたそうです。地震で建物自体は解体されてしまいましたが、100年以上前に組まれた石垣はしっかりと残っていて、当時の面影を残していました。これからもこの石垣はずっとここに在り続けて、垂玉温泉を見守ってくれるはずです。


山道を登ってくると突如、見事な金龍の滝が現れ、そこに人々を癒す垂玉温泉があります。日帰りの入浴施設として再スタートする垂玉温泉。地震から5年目の来年4月オープンに向けて今まさに準備を進めています。新たにつくられる露天風呂から眺める金龍の滝、四季折々の風景を楽しみにしています。


◆関連リンク先
垂玉温泉 山口旅館 公式サイト
垂玉温泉 山口旅館 Facebook

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