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20.10.29
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豊饒の海、福島沖で常磐ものを釣って味わう!


全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。今回のテーマは、

「豊饒の海、福島沖で常磐ものを釣って味わう!」。

ダイジェスト動画はこちら

福島沖は、暖流の黒潮と寒流の親潮がぶつかる“潮目”と呼ばれるプランクトンの豊富な海域で、獲れる魚種も多く質もいいということで、ここで揚がるものは“常磐もの”と呼ばれ、高値で取引きされてきました。ただ、東日本大震災、そして東京電力福島第一原発事故から9年余りたった今でも、福島県では、魚を獲る日数や規模を限定、漁業を試験的に行う、「試験操業」という独自の漁業体制を続けています。この「試験操業」が始まった震災翌年の対象魚種は、わずか3種類。その後、放射性物質の状況など、調査を重ね、安全性が確認されるたびに徐々に水揚げ対象魚種を拡大、出荷制限を解除してきた結果、今年2月にはすべての魚種が制限解除となっています。そして先月9月29日。福島県漁連は、遂に、2021年4月の本操業再開を目指すことを発表しました。

復興へ向けて着実に歩みを進める福島の“豊饒の海”。先週の放送では、福島県の漁師である菊池さんに、福島の漁業の現状と意気込みについてお話を伺いました。そんな“豊饒の海”の現状を、釣って、食べて、楽しんで、多くの人に知ってもらおうという企画が、今回の「『常磐もの』で福島の今を体感2020~釣れたヒラメでリモートクッキング!~」。番組でもこの企画に参加してヒラメ釣りにチャレンジしたんですが、果たして万里恵さんは大物をゲットすることは出来たんでしょうか?


この「『常磐もの』で福島の今を体感2020~釣れたヒラメでリモートクッキング!~」。もともとは一般の方に参加して頂いて、釣り大会を7月に開こうと準備を進めていたんですが、新型コロナの影響で再三の延期。最終的には一般参加の募集を取りやめ、メディア関係者やインフルエンサーが参加しての釣り体験と、一般参加者を対象とした「オンラインでのリモート料理ワークショップ」という、二つのプログラムで行われました。

リモートワークショップでは、地元食材を駆使した料理で知られるイタリアンレストラン、「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフ、奥田政行さんが講師を務めました。早朝5時、相馬漁港から第二豊漁丸と甲子丸、2隻の釣り船が出港。Hand in Handチームは甲子丸に乗船して、さあ!と、大物を釣り上げる気まんまんだったんですが・・・ファーストヒットは惜しくも50センチに届かずリリース。次のアタリを待っていたんですが・・・来ました!編集であっという間に釣り上げたように聞こえたと思いますが、約60センチの大物ヒラメを格闘の末、釣りあげました。


万里恵さんがワキャワキャ言っているその後ろで、黙々とヒラメを釣り上げていたのが、「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフ、奥田政行さん。「アル・ケッチァーノ」は山形県に基幹店を置き、全国展開しているレストランですが、奥田シェフは福島の風評被害払しょくをテーマにした期間限定のお店「福ケッチァーノ」を開くなど、福島の応援をこれまでも続けてきている方です。

釣りを終えて、奥田シェフはここからが本番。陸に上がって料理ワークショップの会場となる相馬市東部公民館へ向かい、いよいよ一般参加者とオンラインでのリモートクッキングです。リモートクッキングは奥田シェフが講師を務め、全国の食と料理の愛好家が集うコミュニティーサイト「キッチハイク」と連携。東京や兵庫、広島などの約20人の参加者には、事前に福島県(相馬)で水揚げされたヒラメやアサリ、福島県産の野菜、調味料などが事前に送られ、それらを材料に使って、奥田シェフの実演、解説を見聞きしながら各ご自宅で調理をするというもの。メニューはヒラメのアクアパッツァやマリネなど3種類で、ヒラメのさばき方など丁寧に参加者とオンラインで対話をしながら、料理を完成させていきました。

「どでかいヒラメにおろおろしながらも、奥田シェフにならって包丁を動かしていたら、いつの間にか5枚卸に!あのヒラメを捌けたのは達成感がありました。」
「大きな肉厚のヒラメやアサリ、地元の野菜の美味しさを存分に堪能できました。現地の方々の想いや貴重なお話も聞けて楽しい時間でした。」
「ヒラメをさばいたのは今回初めてで正直かなり困難を極めましたが、料理は作る端から待ち構えていた家族が食べて行きます。大好評でした。」

こうした声が聴かれたリモートクッキング。講師役を終えられた直後の奥田シェフにお話を伺いました。

◆◆

高橋 奥田シェフお疲れ様でした。今日本当朝早くから船もご一緒して、ヒラメも釣っていらっしゃってどうでしたか。

奥田 もう、あんなに釣れてびっくりしました

高橋 朝船で常磐ものを釣り、料理を皆さんにお伝えする。しかもコロナ禍だからリモートという形でしたが・・・

奥田 まず釣って、味の美味しさにびっくりして。お世辞でもなんでもなく、僕日本全国のヒラメを食べていますから。1番美味しかったです。

高橋 プロの方から見て、常磐もののここが美味しいんだよというのは?

奥田 さっき釣ったばかりのものをおろして食べたら、なんか昆布締めしたみたい、たぶん僕の予測ではそこの海藻に根付いているアジを食べているからなんじゃないかという予測なんですけど。僕は身から生きてる所が分かるんです。僕は人の体臭を嗅いでも6時間前に何を食べたか当てる人ですから。なので、生き物というのは食べているものが身の中に味が入るんです。で、食べて美味いと思って真面目にびっくりしました。

高橋 奥田さんは本当に福島に寄り添ったお店も出されていましたし、やっぱり福島の魅力というのを食で伝えたいとかありますか?

奥田 福島って日照時間もすごいし、実は東北の中で一番恵まれている。農産物とかお魚とか、岩手県もそうですけど、そういうところにあるので、今回のこの放射能のこととかもありますが、そこをちゃんと取り返せるくらいの美味しさがあるので、そこをちゃんと科学的にとか予測を立てながら一つ一つ解明していく。でそれをちゃんとわかりやすい形で、拡声器は万里恵さんですから(笑)。拡声して頂いて、ちゃんとそういうところから地道に共感の輪を広げていく。そうすると奇跡は起きます。料理人としては、実は食材というのは全部生き物で、生き物を使って食べれるような形にするのが料理人という仕事なので、そういう豊かな食材を使って人々を皆の気持ちを豊かにしていく。豊かさってお金だけじゃないんだよという、そういうところを教えて、教えてと言うかおこがましいですけど、福島の皆さんと一緒にやっていけたらいいなと思います。

高橋 美味しいものを食べると笑っちゃいますしね。

奥田 そうなんですよ。美味しいものを食べると瞳孔が開くんですよ。瞳孔が開いて甘みをキャッチするんです。だから笑いながら食べるのが一番いい。

高橋 最高ですね。

奥田 そんな日を夢見てずっと2011年からやってきたので、だんだん近づいているんだと今回思いました。






奥田シェフの熱い思いが伝わってくるお話しでしたが、「『常磐もの』で福島の今を体感2020~釣れたヒラメでリモートクッキング!~」、このリモートクッキングの時、奥田シェフの隣で、腕をふるっていらっしゃったのが、横山信一復興副大臣です。横山副大臣はアカガレイの食性の研究で博士号を取得されている研究者であり、農林水産大臣政務官も歴任。水産のエキスパートでもある方です。じつは、この福島での釣り企画は、復興副大臣就任当初から温めていたプロジェクトだったそうで、ようやく念願かなって、今回実現した訳です。

第二豊漁丸に乗船した横山副大臣、釣りの方でもかなりの釣果をあげられたそうですが・・・

◆◆

高橋 今日はお疲れ様でした。朝早くに船が出て出航して、ヒラメを釣られて、ズバリ感想はいかがでしたか。

横山 釣り上げられなかったらどうしようかなと心配していたんですが、たくさん釣ることもできてですね、帰ってきて奥田シェフの素晴らしい講師で、お料理講習会も素晴らしくてですね、福島の菜種油といい、トマトといい、オクラといい、ピーマンといいですね、ヒラメ以外にも、この食材を提供していただいた農家の方、また磐城壽の鈴木社長をはじめ、本当に皆さん方の協力のもとで、素晴らしい福島のアピールができたんじゃないかなという風に思っています。

高橋 私と船が別だったので、風の噂なんですが、副大臣は相当たくさん釣られたと伺いしたんですが。

横山 数えてもらったら10匹だと言っていました。

高橋 すごいですね!まさに福島の豊饒の海を体感されたんじゃないかな、と思うんですが、いかがですか。

横山 まさに豊饒の海ですね。常磐ものが美味しいというのはもう昔から評判で有名で、私は元々水産業界にいたものですから。全国の水産物というのは、その多くが加工に回るんですよね。ところが、ここは常磐ものは鮮魚でもあるのがすごく多くて。それぐらい魚が美味しいので、また鮮魚流通が震災前はかなり盛んだったということで、本当に美味しい豊饒の海ですよね。

高橋 お料理もされてみていかがでしたか?

横山 アクアパッツアは作ったことがなかったので、どんなものになるのかなと正直心配していたんですが。味は分かりませんけど(笑)

高橋 そうですね、我々がインタビューしているから、まだ食べられないんだよっていうことですよね(笑)。でも本当に今日1日、福島の海を体感されて、お料理も作られて、福島の復興の手応えみたいなものは感じられましたか?

横山 福島の復興はね、本当にこれからなんですよ。復興庁も10年これから延長することになり、もちろん宮城、岩手の復興の総仕上げもありますし、また被災された方々の心の復興というのものももちろん大事ですけれども、福島の場合はハード面がこれからなので、新たに帰還されてくる人たちの復興公営住宅の建設もやっていますし、産業団地の中でも新たな工場とか進出してくる企業の皆さん方の社屋の建設も始まりつつありますから、本当にこれからなんですね。そういう意味で、これからという時に、こうして福島を応援してくれる皆さんがいてくれるというのは本当に嬉しいことですし、その手応えを感じます。

高橋 今日はリモートで皆さん料理をされていましたが、こうすれば今の時代は集まらなくても、福島の気持ちだったり、色々共有できるな、みたいなことも感じ取れましたか。

横山 本当に皆さんに工夫をしていただいて、本当は一般参加でたくさんの人たちが集まってもらってと思っていたんですけど、これがコロナで、逆に皆さんに知恵を絞ってもらって。このリモートでやったこともとても上手くいきましたし、これからの展開が楽しみですね。

高橋 今日の放送を聴いて、福島に行ってみたいですとか、福島の魚食べてみたいなと思う方が増えるといいなと本当に思うんですが、復興副大臣として今聴いているリスナーの皆さんに伝えたいメッセージがあればお願いします。

横山 何度も言いますが、常磐ものは美味しいんです。魚が好きだという人はいっぱいいると思うんです。また、自分の住んでいる地域の魚が一番だと思っている人たちもたくさんいらっしゃると思うんですが、ぜひ常磐ものを食べて比べていただきたい。本当に美味しいですから。


「豊饒の海、福島沖で常磐ものを釣って味わう!」。万里恵さん以下、スタッフも釣り上げたヒラメを持ち帰って頂いたのですが、これがもう本当に美味しい!




しかしそんな絶品の常磐もののヒラメ。じつは旬はこれから11月から2月にかけての冬場で、さらに脂がのって身が引き締まって美味しくなるのだとか。ぜひ多くの方に味わって頂きたいと思います。流通大手イオンの「福島鮮魚便」など、現在39都道府県に流通している常磐ものを探して買うもよし、福島県の浜通り各地から釣り船も出ていますから、自ら釣りに行くもよし・・・もちろん断然、釣りに行かれることをおススメしますが。



では、ここでプレゼントのお知らせです。

今回は、相馬の海の味のお裾分け・・・相馬市「海鮮フーズ」の、「しらすの山椒油漬け」を、3名様にプレゼントします。酒の肴にもご飯のお供にも合う一品です。


ご希望の方は、下記のクイズの答えを書いて、メールフォームからご応募ください。

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Q. 福島県産農林水産物は、出荷前の段階で放射性物質の検査が行われており、基準値を超えるものは出荷されません。さて、最近の「海産魚介類」の検査結果はどうなっているでしょうか。

①基準値を超えるものがある
②基準値を超えるものはない
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下記にヒントがあります。

タブレット先生と宝探し|タブレット先生の「福島の今」
数字で「知って!」「食べて!」「行こう!」福島

※今回のダイジェスト動画も「タブレット先生の『福島の今』」でご覧頂けます。

メールに答えの番号とともに「しらすの山椒油漬け希望」と書いて、今回の感想や福島県の皆さんへの応援メッセージなどもお書き添えのうえ、プレゼントにご応募ください。頂いた応援メッセージの一部は、復興庁の(Hand in Handレポート)でも、個人情報を伏せてご紹介させて頂きます。是非たくさんのエールをお待ちしています。

今回の取材の様子は、動画でもご覧頂けます。
下記「タブレット先生の『福島の今』」にアクセスいただき是非ご覧ください。
https://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2018/fukushimanoima/

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「Hand in Hand」、次回のテーマは、「土砂に埋まったリンゴの里に訪れる実りの秋・信州長野をたずねて」。去年の台風で大きな被害を受けたリンゴの郷、長野県長野市のリンゴやキノコの生産者の元を再訪します。次回もぜひ聴いてください。

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