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20.12.03
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岩手県陸前高田市〜ドキュメンタリー映画『空に聞く』〜

(C)KOMORI HARUKA(C)KOMORI HARUKA

Hand in Hand、今日の舞台は岩手県陸前高田市です。
岩手県南東部。宮城県と接する太平洋に面したこの街を、2011年3月11日、大きな津波が襲いました。「陸前高田災害FM」は、震災後、地域の人々に寄り添い、6年4カ月に渡って放送を続けました。パーソナリティを務めた阿部裕美さんも陸前高田の住民です。そんな阿部さんを主人公にしたドキュメンタリー映画「空に聞く」が公開されました。手掛けたのは、映像作家、小森はるかさんです。


小森さんはもともと静岡県の出身。東北とは縁がありませんでしたが、震災後ボランティアを機に陸前高田市に移り住み、いまも仙台を拠点に活動。刻一刻と変化する陸前高田の風景と、人々の営みを記録し続けてきました。

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「空に聞く」の主人公、阿部裕美さんは震災前、ご夫婦で和食屋「味彩」を切り盛りしていましたが、津波でお店が流され営業ができなくなりました。自分にできることはなにかと考え、「陸前高田災害FM」のラジオパーソナリティに。未経験ながら、街の人に寄り添い声を届け続けました。

「阿部さんはラジオで“わたしたち”という一人称で語りかけていた。それは街の人たちに、そして亡くなった人たちに向けた“わたしたち”なんだと思う(小森さん)」

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東日本大震災から来年3月で10年になります。陸前高田は沿岸部の大規模なかさ上げ工事で、街の風景が一変しました。かさ上げされた台地には新しい街が造成されています。

失われたたくさんの命。失われた街の風景、そして街の記憶。

小森さんは阿部さんの声と活動を通して、陸前高田の人々の喪失感と希望を丁寧に紡いでいきました。「それまで後ろを見ながら歩いていたのが、7回忌を経て、街の人たちが少しだけ前を、空を見るようになった(小森さん)」

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陸前高田災害FMは2018年に閉局しました。パーソナリティを務めた阿部裕美さんは夫とともに和食屋「味彩」を再開し、いまはそのおかみさんとして忙しい毎日を送っています。震災前からの定番メニューはだし巻き玉子ととりから南蛮。今日も阿部さんの明るい声が店内に響きます。きっと陸前高田の海、そして空にもその声が響いているはずです。

ドキュメンタリー映画「空に聞く」
https://www.soranikiku.com/



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