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21.01.07
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若い力とともに未来へ歩む、広野町を訪ねて


全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。今回のテーマは、

「若い力とともに未来へ歩む、広野町を訪ねて」。

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番組冒頭は、福島県広野町にあるサッカーのナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」での一コマから。いよいよこの春、ここから、東京オリンピック、“復興五輪”の聖火リレーがスタートします。福島県の東部の町の復興の歩みと「今」を伝える、シリーズ、「あれから 10年、復興が進む福島を行く」、今回は広野町編です。

◆◆

広野町は人口5,000人規模の小さな自治体ですが、去年、遠藤智町長が、世界の首長の中でも60名ほどしか選出されていない、経済協力開発機構(OECD)の国際的な首長連携組織の一員に選ばれたことが、快挙として報じられました。

東京電力の福島第一原子力発電所の事故により、町全体での避難を行った自治体のひとつである広野町。そこで、町をただ元に戻すのではなく、より進化した町にするために、広野町がこれまで取り組んできたことについて、遠藤町長にお伺いしたほか、「双葉郡教育復興ビジョン」の柱として広野町に誕生した中高一貫の県立校、「ふたば未来学園」も訪ねました。

広野町は双葉郡のいちばん南にあって、気候は県内では比較的温暖。キャッチフレーズは「東北に春を告げる町」。そして楢葉町とまたがる形で、サッカーのナショナルトレーニングセンター、
「Jヴィレッジ」がある町でもあります。



そんな広野町で2013年から町長を務めるのが遠藤智さん。就任後は、住民帰還の環境整備に取り組まれてきた他、海外からも研究者を招いて国際フォーラムを開くなど、復興と新たな町づくりを推進。その取り組みと「発信力」が評価され、一昨年10月、国際機関である経済協力開発機構(OECD)の首長連携組織の一員、「チャンピオン・メイヤーズ」に選ばれました。この連携組織は、格差是正や経済成長に取り組む意欲的な世界の首長、約60人で構成され、不公平の解消や包括的な経済成長に向けた議論を行っています。

そんな遠藤町長に、広野町の震災後の歩みについて、お話を伺いました。

◆◆

〜「東北に春を告げる町」。広野はどんな町なのですか。

「太平洋に面して温暖で、とても水平線のきれいな街を表したキャッチコピーが「東北に春を告げる町」。温州みかんの北限、12月になると子供たちがみかんをもぐ。そして震災へのチャレンジとして、バナナの栽培にトライ。温室で温度管理をしながらグロスミッチェルというバナナをいま栽培しています。名前は「朝陽に輝く水平線がとても綺麗なみかんの丘のある町のバナナ」。たぶんだいたいあってる(笑)。「綺麗」という愛称。糖度が25度をキープして、とても甘いんです。肌触りもとてもまろやかでおいしく召し上がっていただけると思います。」

〜前の広野町の魅力を取り戻すだけじゃなくて、様々な新しいことに取り組んでいる町という感じがしますが、たとえばどんなことがありますか。

「子供たちの教育環境を整備するということ。ふたば未来学園中高一貫校の設置が決定されてから、その受け入れ体制を整えるべく町内の幼稚園と保育所を認定こども園として一括に統合させました。広野駅から山を登って行って、ちょうど里山の境のところに未来学園のキャンパスを設置して頂いて、町立の広野小学校と町立の中学校とともに教育の丘を形成してですね、そこで子供達が幼児の0歳から18歳まで、まもなく1,000人の児童・生徒が生活をする運びとなります。」

〜これから町を担っていく子供たちへの教育というのもすごく拡充されているんだなということがよくわかります。町長はその功績から OECD チャンピオン・メイヤーズにも選ばれたそうですが、選ばれた経緯について教えていただけますか。

「OECD の関係機関の方々がこの福島の被災地にご視察に来られた際、私は双葉地方8町村の広域的な、かつ浜通り全体におけるこの状況を世界の方々に受け止めていただきたいという想いから対応しました。そして、私たちが取り組んできた国際フォーラムという68カ国から25名の研究者の方を迎え入れて、東日本大震災から原発事故に遭遇して、どのように私たちは故郷に戻り、人々の矜持誇りと伝統を守りながら取り組んでいくことができるかについて協議をしました。5年間取り組んできたものでございますが、そのお話をさせていただきました。その時にチャンピオン・メイヤーズというご案内をいただきました。福島の現況を正確にしっかりと届けていくことが私の責務であろうと考えております。」

〜国内外に伝えたい町の魅力などは。

「リスペクト。復旧から再生、そして創生へ。浜通りのフロントランナーとしての役割、責務を果たす。その思いを持って、いま住民の方々が9割帰還されて、新しい共生の、町づくり、そして持続可能な町づくりに邁進しているところです。そういったふるさとを取り戻す、明るく元気な思いというものをとても私は誇りに思っています。」



広野町

最近ではバナナの栽培にも力を入れているという広野町。町長、長いバナナの名前、正しくは、『朝陽に輝く水平線がとても綺麗なみかんの丘のある町のバナナ』(通称は『綺麗』)二ツ沼総合公園内の「トロピカルフルーツミュージアム」で栽培され、園内などで販売されるということです。

町長のお話にも出てきました“教育の丘”の中心となるのが「ふたば未来学園」。震災後、「双葉郡教育復興ビジョン」の柱として誕生した県立の中高一貫校で、2015年に高校が、2019年に中学校が開校しています。高校は、1年次に地域の課題を探求して英語で発表、2年次には海外研修、3年次には個人研究及び国内外での成果の発表を行うなど、独自の教育方針を取り入れている学校です。



開校から間もなく6年を迎える「ふたば未来学園」を訪ね、南郷市兵副校長に、お話を伺いました。

◆◆

「東日本大震災、原発事故で地域の高校も避難を強いられて、学校が一時地域からなくなってしまうという中で、我々大人もその直後にどうしたらこの状況から復興して持続可能な地域を取り戻して行けるか分からなかったと思うんです。変革者たれというのが校訓なんですが、ふたば未来学園はそういうことができる変革者、それを育成するために開校した学校です。
やっぱり変革者となるには地域社会を支えていくという、非常に強い力を持っていなければいけないと思うんですけれども、課題の解決力とか発信力とか、そういったいろんな力だけじゃなくて、やっぱり人間としての信念、志というか、自分はその地域社会にどう貢献するかという根をしっかりはらせなければいけないと思ってやってきました。そのために我が校では、全ての生徒が在学中に必ず地域再生のプロジェクトを実践するということにしています。未来創造学、未来創造探求と呼んでいるんですけれども、ここを核としながら各教科が取り巻くという形にしています。プロジェクトは何をやってもいいんです。地域の地場産品を使った特産物を開発する生徒もいますし、あるいは全国や世界にこの地域を発信するためのツアーを企画して、同世代をたくさん招いてツアーを重ねる生徒もいます。それは何をやってもいいんですが、さらに我々が一つ生徒たちに課しているテーマとして、福島のことだけをやるのではなくて福島の課題から持続可能な世界を実現するための課題。まあSDGsとかありますが、そこを重ね合わせて考えるということで、ゼミの代表がニューヨークの国連の本部でプレゼンテーションをして、国連職員などと世界の持続可能性をどう確保するかという意見交換をしたりそういった取り組みもカリキュラムの中に入れております。
入ってくる子達は何かしらやりたくてくることが多いです。双葉郡やこの近隣の通える地域だけではなくて、遠く会津、あるいは県外から入学する子達も一定数います。その子達はこういった地域課題解決の取り組みをしたいとか、やりたいことがあってくる子達が多いようになってきました。」






カリキュラムの真ん中にあるという「未来創造探求」。地域再生のプロジェクトを、生徒自らが考え実践するというものですが、学内には一般の方も入れるオープンスペースや生徒が運営に関わるカフェもあって、そこには、いま生徒たちが取り組んでいる様々なプロジェクトが一覧で掲示されています。

その一例として、たまたま南郷副校長の近くにいた2年生の稲田凛さんに、取り組みの内容を聞いてみました。

◆◆

「東日本大震災を経験していなかったり、記憶のない子供たちに震災を伝えて、その子達100人くらいと一緒に、これからの予想されない自然災害とかに対応してもらいたいという願いで、大切なものの絵を書いてもらいます。書いた後に自分の震災での経験談だったり、こういう風にしたいと思ったとか、その時の感情などをみんなの前で発表して。その後にみんなが今日書いた大切なものを守るためにはどういうことが今後できるかなと問いかけをして、自分たちにできることを考える、未来プロジェクトという授業を3時間もらって行いました。」

〜それをやろうと思った原体験は何かあるんですか?

「自分は絵を描くことが小さい頃から好きだったんですが、震災後にアーティストの方が自分の小学校に来てくれて、これから自分はどういう町に住みたいかという絵を書くアートプロジェクトをしたんです。その楽しかった思い出がずっと今もあって、そのことも今の探求に繋がっているんです。だから今の子供達にも自分と一緒に絵を書いた事が将来少しでも思い出として残って、震災について学ぶきっかけになったり、もっと調べてみようかなという気持ちになってほしいなと思ったんです。」

〜成果は具体的に何かありましたか

「自分の母校の小学校に行った時に、震災でお父さんを亡くしてしまった少年がいたんですが、その子は震災については聞きたくないという子だったんです。でも自分の大切なものという絵に、本当は、自分は海が怖いけど、好きだから今日大切なものに書いたんだと言ってくれて、感想文も次は僕が誰かを守れるようになりたいんだと書いてくれました。心の変化がすごい見られたので、やってよかったなと思いました。」


“震災で生じている、双葉郡や浜通り各地の困難な状況は、逆に言えば学びが溢れている場でもある”と南郷副校長はいいます。 

「未来創造探求」の対象エリアは広野町に限らず双葉郡や浜通り全体。1年の時に各地を見学して、生徒一人一人が課題を見つけ、その解決のために何が出来るかを考え、実践しています。

そして海外研修があるのも「ふたば未来学園」の特徴ですが、一昨年、ベラルーシへの海外研修に参加した、3年生の畠山歩さんにもお話を聞きました。

◆◆

「私は富岡町出身だったので、帰れなくなってしまった地元に新しい学校ができると聞いて、もし行けるなら行きたいなと、まず創立された時に思っていました。震災当時、私は小学校の2年生だったんですけど、一度茨城県の方に避難して、その一年後に福島県のいわき市にまた戻ってきたんですが、遠くに避難された方なんかは結構いじめを受けたり、ということはよく耳にしました。私は環境に恵まれてそういうことはなかったんですが、そういういじめや風評被害の話を聞くようになってからは、やっぱりつらい過去を思い出したくないという気持ちもある反面、そういうことをなくすために色々考えていかなきゃいけないんだなということを子供ながらに思い始めていました。そして高校の進学を考える時期になった時に詳しく調べたら、海外研修だったり、地域の問題を解決するような授業があると聞いて、自分の故郷でもあるし、是非やりたいなと考えてこの学校にきました。すごく視野は広がったなと思います。ベラルーシ研修は、高校1年生の夏に行ったんですけど。福島の事故についてベラルーシだとどのくらい知られているのかとか、知っていても起きたという事しか知らなかったり、まだ復興が全然進まず震災の爪痕が残ったままだという風に思われていることが多かったです。今はもうどんどん復興して、いろんな新しい建物ができたり、どんどん町が片付いていっているというのはあんまり知られていなかったので、今ではこういう風に復興しているんだよ、というのをベラルーシで伝えてきました。私はそのベラルーシ研修が初めての海外で、行く前は緊張していたんですけれども、行ってみると、ベラルーシの同年代の子供達が多かったというのもあると思うんですけど、すごくみんなフレンドリーでした。初めての海外だったけど、もっと海外に行っていろんな人たちとコミュニケーションをとりたいなと思えるようになったきっかけだと思っています。大学にいっても、高校で続けてきたその探究活動だったりというのは継続したいと考えています。大学で学んだことをもとに今の活動の幅とか取り組む内容というのをレベルアップさせていって、他の地域でも自分が考えていることだったり、やりたいことというのをどんどん実践していきたいなとも思っています。」


「いよいよ震災の記憶がない世代が入ってきました。今の高校1年生はすでに震災の時幼稚園の年長だった世代になります。私が思うのは、やっぱりここからが勝負だなと思います。その時の記憶がなかった世代が入ってきて、じゃあもう震災のことを語らなくていいのかと言うとそうではなくて。依然として福島の課題は困難な課題で、彼らが生きていくこれからの時代ずっとのしかかってくる大きな、大きな課題です。だからそこに、あらがっていく力をつけていかなきゃいけないんですよね。となると、震災の記憶がない世代だからこそ、いよいよ教育の出番というか、しっかりとそれを伝承していくのみならず、彼らの若い発想で自分達はどういう社会を作りたいのか、あるいはこんなソリューションがあるんじゃないかという、創造的で伸びやかな自由な、そういう発想を伸ばして社会を揺り動かして欲しいなと。そんな思いでおります。」

インタビューの最後に、「ふたば未来学園」の南郷市平副校長はこう話してくれました。

広野町や双葉郡各地を訪ねれば、こうした「ふたば未来学園」の生徒が関わるプロジェクトに出会ったり、生徒さんたちがプロデュースした商品もたくさんありますので、ぜひ探してみて頂けたらと思います。

今なお原発事故の影響が残る双葉郡のこれからを担う人材が、この学び舎で育っていく、そんな期待を抱かせるお話しでした。

住民の約9割が戻り、自治体や地域に暮らし始めた人たち、そして学生たちが力を合わせて新しい町づくりを進める広野町。聖火がそのともしびを繋げていくように、復興の記憶や新しい光が、
次の世代に引き継がれていくのでしょう。そんな未来明るい広野町、皆さんもぜひ訪ねてみてください。

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【プレゼントのお知らせ】

広野町は町役場近くに「みかんの丘」がある温州みかんの町でもありますが、今回は、町内の「二ツ沼直売所」がその温州みかんを絞ったストレートミカンジュースを、3名の方にプレゼントします。

ご希望の方は、下記のクイズにお答えの上、「Hand in Hand」ホームページのメールフォームからご応募ください。

―――――――――――――――
■広野町で新たな特産品として栽培がはじまったバナナ。バナナの生産量の多い国インド(ケララ)の空間線量率はどれくらいでしょうか。

 0.05μSv/h
◆0.15μSv/h
 1.05μSv/h
―――――――――――――――

ヒントは復興庁のサイト「タブレット先生の『福島の今』」にある「数字で知って!食べて!行こう!福島」の福島と海外の空間線量率の数字をご覧ください。

メールに答えの番号を書き添えたうえ、「広野町二ツ沼直売所のストレートミカンジュース」と書いて、ご応募ください。また番組の感想や!本日ご紹介した、広野町の皆さんへの応援メッセージもお待ちしています。頂いた応援メッセージの一部は、復興庁の〔Hand in Hand レポート〕でも、個人情報を伏せてご紹介させて頂きます。是非たくさんのエールをお待ちしています。

◆◆

来週の「Hand in Hand」は、「10年の時を刻む、新たな復興の象徴とともに」。「復興祈念公園」や「高田松原運動公園」が完成した、岩手県陸前高田市からのレポートです。来週もぜひお聞きください。

プレゼントの応募 感想・応援はコチラから

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