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21.03.11
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女川から発信 災害時の「Clubhouse」の可能性

およそ1か月前の2月13日に最大震度6強を観測した、福島県沖地震。地震による停電や断水もあって、改めて10年前の東日本大震災を思い出した方や防災用品の見直しをした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな中、音声SNS「Clubhouse」を使った発信が各地で相次ぎました。その一人が宮城県女川町のかまぼこ店、「高政」の社長高橋正樹さんです。正樹さんは地震発生直後から「地震発生 宮城県女川町から」というルームを立ち上げ深夜1時過ぎまで発信し続けました。

高橋正樹さんは震災後、女川町にできた女川さいがいFMのパーソナリティとして実績を積み上げてきたので、このような時にどんな情報が有益なのか一番に理解していらっしゃいますし、またそこには、女川のローカルな情報だけでなく、「他人事で終わらせるのではなく、あなたの街に当てはめて次の災害に備えて」という示唆に富んだメッセージがつまっていました。

そこで今回は女川の高橋正樹さんにインタビューを行いました。今回の事例をみながら、災害時のClubhouseの可能性、SNSが果たせる役割について考えていきます。


地震がおさまってから2分後にClubhouseのルーム立ち上げました。通常ならTwitterやFacebookなんでしょうけど、直感的にClubhouseやりました。テレビでは女川町の情報は出ない。それがどうなんだろうということで災害FMを立ち上げた経緯があるんですが、ローカルなところでこんなことが起きているという情報の多様性は必要だし、もう1つはTwitterで出した情報というのは出した瞬間から過去になる。情報がアップデートされないままそれが残っていってしまうんです。その点Clubhouseなら、「今津波が来ています」、って言えます。しかも「女川町がこうだから南三陸町ではこうだよね」と、女川町からという超ローカルな視点でしゃべって、それをサンプルとして他のところでも判断する材料になるんじゃないかと思ったんです。

LINEやTwitterが311の時は活躍しましたが、Clubhouseでしゃべったことは外に出してはいけないんですね。メモもしてはいけない。でも災害のときどうなんですか?と思うんです。規約については、今後議論されていくのではないでしょうか。今はベータ版なので、正式にα版がリリースされる時にまた変わると思うんですが、Clubhouseが命を救えるのならば、というところで規約が変わればいいなと思います。


〜もし地震があった時に、どの地域の誰のClubhouseを聞けばいいんでしょう?

いろんな人がルーム立ち上げてしゃべればいいと思うんです。まずはいろんな人の話を聞いて、信憑性に足るかというのは自己判断。それは声のトーンがものすごく重要だということが今回わかりました。


〜正樹さんのClubhouseでは、地震の状況を何回かにも分けて伝えてくれていましたね。途中から聞いてくれる方にもわかる構成になっていました。

最初にしゃべったことと、時間が経過してからしゃべったことでは確かに内容は変えていました。最初は「ガスの元栓は閉めて」「タバコの火をつけるのはやめて」「割れているガラスが落ちている可能性があるので家の中でもスリッパ等で移動してください」ということは話していました。それは女川さいがいFMのパーソナリティをやっていてよかったなと思いました。


〜「ただちに避難する必要がなかったら避難しなくていい。なぜなら空き巣が来るから。」というのはなるほどと思いました。あの経験をしたからこその言葉があるのかなと感じました。

あとあの時ぼくしゃべったのは、「避難袋置いてでも逃げてください」ということ。まずは命さえ助かればいいわけですから。避難袋を探すくらいだったら置いて逃げてくださいと言いました。地震が収まってから取りに来てもいいわけですし、むしろ「厚手のコートとかジャンパーを着て外に逃げて」ということなんです。何を持って逃げればいいのかよく聞かれるんですが、「何も持たずに逃げてください」というのが正解だと思います。
あとClubhouseでお話したのは、「自分の避難場所わかっていますか?明日明るくなったら確認したほうがいいですよ」とか、「災害伝言ダイヤルを家族で共有していますか?やってない方は必ずやった方がいいですよ」といったことでした。そうじゃないと、これを聞いても、「大変だったね」って他人ごとで終わっちゃう。それが僕らの災害が次の命を救うということなのでやってくださいってしゃべったりしましたね。


また、正樹さんは会社や蒲鉾の製造工場を点検するために、奥様に4歳と7歳のお子さんを託し、車に乗り込みました。そうした家族とのやり取りにも、400人のリスナーは耳を傾けていました。


なんでClubhouseやろうと思ったかというと、しゃべりながら同時進行でやろうと思ったからです。だから僕の様子がClubhouseで駄々洩れ。嫁に「ごめんね、会社見てくるから」という時の妻の不安げな声で「わかった」という声も全て駄々洩れです。生の今の声ってたぶん聞けないんじゃないかと思ったんです。だから僕の声が震えている様子も全部伝わってました。「僕は今声が震えています。津波が来るんじゃないかという恐怖ではなくて、津波が来た時に10年命をかけて作ってきたこの街にまた津波がきて、また被災者と呼ばれるのか。もう1回復興に立ち上がる気力が僕にあるのか。それを考えると不安で今ぼくは震えています」って。その後、「津浪の心配はありません」って聞いてすごいほっとした声も駄々洩れでしたね。


〜もし津波が来たら・・・って思いもやっぱりあったわけですね?

でも来たら来たですよ。僕らの代でもう1回来たらもう一回立て直すだけです。命があればどうにかなる。偉人の名言で「元気があれば何でもできる」という言葉がありますけど(笑)、命があれば何だってできる。僕らは一回街の作り方を学んでるわけですからね。もっとかさ上げして、「やっぱり防潮堤必要だったよね」となるのか、「やっぱ“減災”じゃ生ぬるかったね」となるのかはその時考えればいいんじゃないかな。次の命を救うための教訓が防災ですから。
でも都会の災害のほうがもしかしたらClubhouseは活用されるかもしれないですよね。災害って「たられば」なんですよ。最初に状況設定があって、そこに対して何をしていくか防災。今僕らがこの場所で何ができるのかって、その瞬間、その時代、その時で全て想定してやることが大事なんです。どんどん「たられば」を出して、どんどん対策をとっていく。だって女川の「たられば」と東京都港区の「たられば」は違いますよね。自分事ってそういうこと。「もし私だったら」ということが命を救うんです。そこに10年前の記憶もシステムとして組み込んだりしていったり、より多くの助かるはずの命が助かるということの教訓になればいいと思うんです。そのツールとしてClubhouseがなればいいなと思います。その素地がものすごくあるのは僕が使ってみて思ったことでした。とにかく何でも活用して、自分の命を助ける。自分の命を助けなければ他の人の命を助けられない。その前提にたって、いろんな災害をみてもらえれば、僕らの声に耳を傾けてもらえればと思います。


今週の「Hand in Hand」は『女川から発信。災害時のClubhouseの可能性』と題してお届けしました。次の災害に備えて、そして災害時のSNSの活用方についてたくさんヒントをもらったような気がします。

今回インタビューに答えてくださった正樹さんの本業は蒲鉾や「高政」の社長さんです!この時季は、期間限定の「牛タン蒲鉾」と、天皇杯受賞の「牡蠣の蒲鉾」をぜひ食べて、三陸の今、女川の今を感じて頂きたい!とおっしゃっていました。こちら。お取り寄せも可能ですのでぜひチェックしてみてください!
http://www.takamasa.net/

来週は、「あれから 10年、復興が進む福島を行く」 葛尾村編です。「胡蝶蘭」を育てる花農家さんと、帰村し牧場を再開した酪農家さんの今をお伝えします。

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