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21.08.05
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いわき市の8代目農家、「ファーム白石」の復興10年


全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。今回のテーマは、

「いわき市の8代目農家、「ファーム白石」の復興10年」


【ファーム白石レポートのダイジェスト動画はこちら】


福島県いわき市。阿武隈高地を流れ海にそそぐ夏井川がはぐくんだ土地で、8代にわたって農業を営む「ファーム白石」の白石長利さん。40歳の若きファーマーです。白石さんは東日本大震災や原発事故による風評被害も、アイデアと地域の連携で乗り越え、その後の災害やコロナ禍でも常に新しいことにチャレンジ。代々受け継いできた土地での農業を若い世代につなげ、持続可能なものにしようと取り組んでいます。

トレードマークの“赤いつなぎ”で我々を迎えてくれた白石さん。“わかっているだけでも8代目”ということで江戸時代からつづく農家であり、今は夏冬の野菜にお米も作っているといいます。このあたりの土地は雪がなく降水量も安定。1年じゅう野菜が収穫でき、山から吹く冷たい風が野菜を強く育てる、しかも長い日照時間と寒い風が野菜の甘みを増してくれるという、農業に適した土地なのだそうです。

ただ2019年の豪雨災害に象徴されるように、近年は気候変動の影響を受けて農業のスタイルも変わりつつあるといいます。豪雨で被災し今年6月に完成したばかりのハウスの中でお話を伺いました。


広さは約600坪。見えているのはピーマン。あとトマトとセロリ、レモンも育てています。

〜一つ一つ、ポットみたいなのに入っていますが?

いま皆さんが着けている不織布マスクと同じ素材で作られたポットなんですが、この中にヤシガラというヤシの木の皮、繊維が入ってまして、それを土に見立てて、あとは上から出ているチューブ、人間に例えると点滴みたいな感じで、ここから水と栄養が随時送りこまれています。“水耕栽培”と言ったりもしますが、こういった方法で栽培しています。

〜その栽培方法のメリットはどういうところですか?

その土地の“土の良し悪し”が関係無いこと。ここのハウスは一度水没してしまって、土が水分豊富なぐちゃぐちゃな土地になってしまったということもあり、あとここ最近は気候の変化が非常に著しいということもあって、基本自分は外の畑で栽培はしているんですが、せっかく新しいハウスなので今までとは違う形の農業のあり方を自分もやってみたく、思い切ってこういう栽培にしました。

〜あとファーム白石さんの特性として“自然農法”もあるそうですが、これは?

簡単に言うと農薬と化学肥料を一切使わない栽培です。ただこのハウスに関しては自然農法ではありません。通常の農薬も使いますし化学肥料を使うには使うんですが、その中で長年自然農法をやってきたノウハウもあるので、農薬や化学肥料も最低限の量での栽培の仕方でチャレンジしているところです。特にこのピーマン。普通は苦いですよね。子どもはピーマンが嫌いですが、でもその子どもたちが好きになるような、苦くないピーマンの栽培を、いまやっているところなんです。



そういってポッドからピーマンをひとつ千切って渡してくれた白石さん。自他ともに認める肉好き野菜嫌いの万里恵さんは一瞬目が泳いでいましたが、意を決して齧ってみました。いい音をさせてかぶりついていましたが、これが本当に苦くないんです。ジュワっとみずみずしく青くさみや苦みが少ない果物のようなピーマンでした。

お土産でそのピーマンを頂いたのでスタッフも家で調理して頂きましたが、本当に美味しかったです。まさに無限ピーマン!


↑ちなみにこれは浪江町請戸の北寄貝と炒めたもの。バツグンに美味しかったです。

じつは番組では以前にも「ファーム白石」を一度ご紹介しています。去年春、小泉進次郎環境大臣をインタビューしたときのこと。小泉大臣に“福島のイチオシってなんでしょう?”と伺ったところ、「白石さんのドレッシング」を挙げてくださったんです。


このドレッシングが出来た経緯は、東日本大震災に伴った原発事故の影響で、当時、畑にネギが植えてあったんです。でもそこにあった野菜は出荷停止になって収穫できず、ブロッコリー、キャベツは花が咲いて。解除されたのが5月の後半くらいだったんですが、その時にはネギは花芽を持って種が出来てしまって、そうなるとネギってどうなるかというと、あの白根がめちゃめちゃ硬くなるんですよ。ただそのネギをどうしても食べたかったんです自分は。そこで地元のシェフに、「このネギで何か作れないですか?」とお願いしたところ“焼きネギドレッシング”という商品が生まれたんです。その硬くなった白根の部分だけを真っ黒く焼いて、芯近くの柔らかい部分だけを取って、それでドレッシングを作ったんですよ。ネギとリンゴ酢と卵黄のドレッシング。添加物は一切入れないで作ったんですが、ご飯にかけて食べれちゃうくらいですよ!その時に、ドレッシングボトルで約200本くらい作れたんですね。それを震災の時にお世話になった人たちに配って。みんな口を揃えて言ったのが「美味しい!」「これ商品化しなよ」と言われて。自分たちそういうことを言われたらすぐに調子に乗ってやっちゃうタイプなので(笑)。早速次の年にそれを商品化して4千本くらい手売りで売りさばいて。ただここ最近は正直作れてないんですよ。ネギが全部売れちゃうんです。もしネギが売れ残って花芽が出来た時の保険としての商品なんです。決してドレッシングを作るのが目的ではないので。

〜10年前、原発事故があって、風評被害っていうのもあったと思うんですけど、その状況というのは、白石さんはどうでしたか?

そうですね、当然出荷停止は致し方無い状況で。ただその後JAが主体となって検査機器がこのいわきでも置けるようになって、自分たちも無料で放射能検査を受けさせてもらって。結果、高い線量は検出されなかった。でも原発事故、あれだけのことが起きたら、当然、福島の野菜、果物、米っていうのを、わざわざ手にする人は正直いないよなと。自分もたまたま生産者と呼ばれていますけど、自分のところで作っている物以外は“買う消費者”でもあるので。その消費者の気持ちに立ってですね、じゃあどうすれば少しでも安心・信頼を取り戻せるかと考えた時に、やっぱり作ってる人を知ればわかってもらえるんじゃないかな?と思って、震災を機に自分もSNSを開設してやったというのが経緯ですね。

〜風評被害を克服できてきたな、という手ごたえはありますか?

そうですね。“お陰様で”という言葉が適しているかどうかは分からないんですけど、やはり日本でいちばん注目された地域だと思うんですね、この福島、農業においては。だからこそそれを利用して、良いこと、楽しいこと、美味しいことをじゃんじゃん発信しちゃえば良いんじゃないかなと。今はほとんどが個人注文で、それこそFacebook、Instagram、Messenger、DMで販売をしています。自分はこういう性格なので、ネガティブな時こそ自分の良いポジティブさが出せればよいかなというところでやってきた10年で。この10年の中には2019年の台風の水害もこのいわきは直面して。で、今はコロナじゃないですか。なので震災だけじゃないと思うんですよね。やはり何か事が起きた時に一番ありがたいのは、“人がいてくれること”かなと。それに尽きると思います。




自分の子どももいますけれどまだ小っちゃいんで。将来農業をやるとかやらないとか分からないですけれど、いま農家人口がどんどん毎年少なくなってきています。これは全国的な問題で。その中でも福島、いわきもですね、当然若手で農業をやりたい人はなかなかいないと思ってたんですけど、震災後どんどん増えてきているんですよ。今もウチにも研修生が2人来てまして、自分が受け入れ先としてちゃんと福島県に登録していまして、県から助成金をもらってMAX2年間研修して、2年経ったあとには独立という方式なんですけれど、独立する時には自分のこの庭というか、フィールドの一角の畑を譲ったり貸したりして。自分の仲間でもあり、ライバルでもあり、複雑なんですけど、やはりそうした「人」を作っていかないと、野菜ばっかり作っていてもたぶんこういう田舎の地域は成り立っていかないんじゃないかなと。なので自分は“田舎の仲人役”として、親父たちの代から若手の人たちに土地の仲人をするじゃないですけど、そういった管理人になっていければなと。そういったポジションをいま築いている最中です。



ファーム白石は、このコロナ禍でレストランや飲食店への出荷が減ってしまいましたが、地元企業の支援で販売用の車を作り、市内の企業への出張販売を展開。さらに出張販売先では、「●●というレストランでも使っている野菜です。落ち着いたらぜひそのレストランにも食べに行ってください」とPRにもつなげています。

個人注文も取り扱っていて、FacebookやInstagramのメッセンジャー、DMで注文を受けています。注文を受けてから収穫し、出来る限り24時間以内には届けるようにしているということ。


ファーム白石Facebookページ


今日はそんな「ファーム白石」の『季節の野菜の詰め合わせ』を3名様にプレゼントします。ご紹介したシャキシャキジューシーで苦みのないピーマンはもちろん、トマトやじゃがいも、夏野菜などが入っているとか。

さらにこの白石さんの野菜をより美味しく食べて頂くために、福島の美味しい農産物や産品が購入できるECサイト、「ふくしまプライド便」でチョイスした、いわき市の“トマトのテーマパーク”、「ワンダーファーム」特製のドレッシング「WONDER RED トマトドレッシング」をセットにした、特別なパッケージでお届けします。

ご希望の方は、このホームページのメールフォームからご応募ください。応募の際、あるキーワードを書き添えて頂きます。動画の中で、“白石さんの一番大切にしていることは?”という質問をしていますが、その答えが、キーワードです。


【ファーム白石レポートのダイジェスト動画はこちら】


なお、「ふくしまプライド便」では、現在、福島の旬の野菜や果物などがお得に購入できるキャンペーンを実施中です。美味しいものの宝庫である福島の産品、「ふくしまプライド。」からぜひチェックしてみて下さい。


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来週は、宮城県石巻市にオープンする、ペットと泊まれる宿、「追波湾(おっぱわん)テラス」についてお伝えします。ぜひお聴きください。

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