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21.11.25
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福島フロンティアーズ〜富岡町の魅力を全国に発信! 山根麻衣子さん


全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。今回のテーマは、

「福島フロンティアーズ〜富岡町の魅力を全国に発信!山根麻衣子さん」


【今回のダイジェスト動画はこちら】
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ライターの夢を叶えた女性に密着

今週は、震災を経て、Uターン・Iターンで福島県に拠点を移した「移住者」たちの夢の実現へ向けた取り組み、新たなチャレンジにスポットを当ててお送りする、「福島フロンティアーズ」。スポットを当てたのは、福島県双葉郡富岡町の山根麻衣子さん。震災後、ボランティアとして被災地を訪れたのち、2014年に福島県に移住。現在は富岡を拠点に、まちづくり会社「一般社団法人とみおかプラス」の広報を担当しながら、いわき経済新聞 編集長も務め、ご自身もフリーライターとして、取材・執筆活動をしている方です。

神奈川県横浜市に生まれ育った山根さんが、どういう経緯で富岡町との出会い、移住を決意したのか、そのストーリーを伺いました。

山根さんは震災当時、横浜にいて、いまとは全く違うお仕事、サービス業をされていたそうです。そんな山根さんが福島と繋がったきっかけは東日本大震災でした。

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「横浜もそれなりには揺れたんですね、震度5強とかだったので。電車も全部止まって家まで4時間半かけて歩いて帰るという3月11日当日だったんですけど、横浜も関東も計画停電はあったけれどもやはり2週間くらいで通常の生活に戻りましたが、東北はすごく大変な状況が続いていたので、まずボランティアを始めました。実際に現地に行ったり、あとは今とは違ってそんなにSNSが発達していなかったので、情報が錯綜していて支援物資が集まり過ぎたりミスマッチが起きていたので、その情報を整理する“情報ボランティア”を始めたんですね。そういうことをやっているうちにボランティアをサポートしていたNPOに、“ウチで働かないか”と言われたので、6月に仕事を辞めて、7月からNPOに転職して、東北と神奈川を半々くらいで通う日々が2年ぐらい続きました。

―――自分の仕事を辞めてまで、というのはそれだけ心が動かされた部分があったんですか?

現地に行ったのが4月下旬で、初めて行ったところが陸前高田市だったんですけれども。4月の下旬はまだ本当に津波の被災が目に見えるような状態で、広田半島がまだ分断されていたような時期でした。もちろん津波の光景も衝撃的だったんですが、道を一本挟んで後ろ側の建物が全く被災していないという落差がすごく衝撃的で。たった1本の道でこんなに人の運命が変わってしまうものなんだと。これはすごく復旧するのに長い時間がかかるだろうなと感じて、それで横浜からでも何かできることがあれば続けていきたいという初期衝動みたいなものがあったんじゃないかと思います。

―――そこから活動を続けられて、ボランティアではなく移住して活動を続けることになった理由とは?

私としては自然な流れでした。現地で必要とされていることは、緊急期と復旧期と復興期でどんどん変わっていく。緊急期はとにかく人手が必要だから、行けば何かとやることがありますが、仮設住宅に行ったり、借り上げ住宅に行くという時になると、行くだけで役に立てることってあまりなくなってくるんですね。やっぱり専門的なことが必要だったり。1日2日行くだけではなく1週間ぐらい滞在しなければいけないこととか。そういう“やりたい気持ち”と、現地のニーズがだんだん変わってきていることを感じたので、もしこれを続けたいと思うなら、実際に現地で住みながら本当に必要なことをやっていかなければならない、ということと、あとは仕事を辞めてNPOに転職していたのもあり、向こうに行き続けるとどんどんお金がなくなっていくんですよね。それで2014年9月に『復興支援員』というお仕事をやれることになって、福島県に移住しました」


「はじめは原発が立地する双葉町の復興支援員という職を得たので、双葉町役場と共に働くということでこちらに来ました。その時は“PR、広報支援員”という立場だったので、双葉町の広報誌の取材だったり双葉町の公式Facebookページのための記事の取材をしたり。双葉町って唯一帰還が始まっていない町なんですが、その時ももちろん方々に皆さん避難されていたので、双葉町役場があるのはいわき市なんですが、いわきだけでなく郡山や仙台、埼玉県加須市とかそういったところに行って町の人の声を聞いて、SNSだったり広報だったりの記事にする仕事をしていました。

―――もともと書いたり、伝えるお仕事に興味があったことだったんですか?

じつは高校生の頃にライターになりたかったんです。大学新卒の時にとりあえず片っ端から出版社を受けてみたんですが、新卒の時にはそういうところに入れなかったので、サービス業を10年ぐらいやっていたんですけど。本当にたまたま縁があって高校生の時になりたいと思っていたライターの仕事を、震災をきっかけにしているというところがありますね。

―――その後はどういう流れだったんですか?

その後、双葉町の復興支援員を1年半やって、福島県の県職員になりました。移住してきた人がダイレクトに復興だったり、支援活動に関われる方法ってやっぱり役場に就職するのが一番手っ取り早いと感じたんですね。たぶん今年ぐらいまで募集していると思うんですが、震災のための任期付職員を被災3県はどこも募集していて、福島県も募集していたので、久しぶりに受験勉強をして、受験をして、県職員として3年間働いて。それは両方ともいわき市だったんですけれども、その後2019年に富岡で働いている方から“富岡で働かないか”と声をかけて頂いて、それでこちらに引っ越しました。ぜんぶ自分としては自然な感じなんですけども、人のご縁がいっぱいあって、導かれるような形で仕事を変え、住む場所を変え、情報発信を続けるというような7年間ですね。」


山根さんは現在、福島県沿岸部、浜通り地域のローカルニュースを発信するローカルライター、そして富岡のまちづくり会社の広報として、SNSでの情報発信や新聞社の取材対応などまさに、ご自身が学生時代にやりたかったお仕事で活躍しています。

お話を伺った場所は、「双葉郡未来会議」という団体が運営している、双葉郡8町村のインフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」。広野町から葛尾村まで、8つの町村が、震災前から震災後、どういう歴史を刻んできたか、町ごとの歩みや、町にまつわる出版物、名産品といったものが網羅されている場所です。

ふたばいんふぉ

取材のあとには富岡町の山根さんおススメの場所も案内して頂きました。昇る朝陽が美しい富岡漁港、町の新しい名物である地酒の原料をはぐくむ田んぼ、町に戻って営業を再開したタイ料理店など。→(ランチもいただきましたが美味しかったです!!)


山根さんが取り組む町の情報発信。しかしそのためには、やはり地元の方々とのネットワークが重要です。地元に溶け込み、地元の人々となじむことが必要なお仕事。移住先での「人づきあい」について、山根さんはどうだったのか、伺いました。

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「それは大変でした。私、ご近所づきあいだったり、そういったものを築けなくても生きていけるような都心で暮らしていたので、そういうアナログな人間関係だったり、田舎独特の暮らし向きみたいなものを初めて体験して、どういう風に接していていいのか、距離を詰めていけばいいのかがなかなか掴めなくて、慣れるまでに1 年以上はかかりましたね。出会った人が良かったというのもあるんですが、私が来た時は、いわきも双葉郡もけっこう週末ごとにあちこちでイベントが開かれていたので、SNSで情報発信するのが仕事でもあったので片っ端から行きまくって。そこで出会った人とその場でFacebookでつながったりして、それで何度も足を運ぶことによって、“この間も会ったよね”、という感じで人との輪がつながっていったり。あとはたまたまかもしれないですが、たまたま周りの方がけっこうな飲み好きだったので、すごく飲み会に誘われて(笑)。そういうのはなるべく断らないで行ったり、あとは地域の文化や歴史を詳しい人に聞いて勉強していって、その地域の情報を蓄えていくことで、地域の人との共通の話題を増やしていく。それで信用して頂くというか、お話ができるようになっていったという感じですね。

―――今、“来て良かったな”と思ったりしますか?

良かったというか、都心に暮らしていたらとてもこういう体験はできないので、この年齢になって生まれて初めて体験することって、まだまだあるんだなと思って。来て7年なんですが、まだまだ刺激を受けることがいっぱいあって、生活の豊かさを感じるというか、そういう気がします。


お酒もいける口の山根さん、おススメの富岡町産米を使ったスパークリング酒「萌(きざし)」を手にラストの1枚を撮りました。

移住については、“学生ならインターンの募集があるので、それを活用する方法もある”、“富岡にも移住を促進するセンターができたので、そちらに相談してみてもいい”という事もお話しして下さいました。

富岡町移住定住ポータルサイト「とみおかくらし」
ふくしま12市町村移住支援センター
とみおかプラス
いわき経済新聞


【プレゼントのお知らせ】

今回は、福島県の美味しい産品が一堂に揃ったECサイト、「ふくしまプライド便」でチョイスした、山根さんおススメ、富岡町産米で作られたスパークリング酒、「萌(きざし)」スペシャルボックスと、スパークリング酒と相性バツグン、みそ漬処「香の蔵」の、「クリームチーズのみそ漬」をセットにして、3名様にプレゼントします。


ご希望の方は、このホームページのメールフォームからご応募ください。応募の際、あるキーワードを書き添えて頂きます。ダイジェスト動画の中で山根さんに、“大切にしている言葉は何ですか?”という質問をしていますが、その答えが、キーワードです。たくさんのご応募、お待ちしています。


【今回のダイジェスト動画はこちら】
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来週の「Hand in Hand」は、いま“モネロス”の観光客で賑わっているという、宮城県気仙沼市からのレポートです。ちょうど牡蠣も美味しい季節、来週はそんな気仙沼の魅力をたっぷりお伝えします。来週もぜひ聴いてください。

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