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22.01.27
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原発事故から11年。放射線の健康影響を正しく理解するために


東日本大震災と福島の原発事故から11年。東京電力福島第一原子力発電所の周辺地域では放射線による健康影響を正しく理解する取り組みが続いています。

福島県立医科大学主任教授の坪倉正治先生は、震災直後から福島県南相馬市に入り地域の放射線教育や住民のケアに心をくだいてきました。そして、福島県立医科大学総合科学教育研究センターの後藤あや先生は、災後の福島における妊娠と育児について調査・研究を行っています。

今回のHand in Handは、坪倉先生と後藤先生へのインタビューを通して、震災後から11年でわかってきた放射線による健康影響をお伝えします。

【今回のダイジェスト動画はこちら】
↓   ↓
福島第一原発事故から11年。健康と暮らしへの影響はどうなったのか


まず坪倉先生に、最新の調査に基づく健康影響について伺いました。

坪倉「最初は、放射線の不安、ここにいていいのだろうか? この食べ物は大丈夫か?といった質問がたくさんあったんです。それに一つ一つ答えるように、内部被ばく=体の中に放射性物質を取り込んでいないだろうかという検査を行っていました。最初の頃は少し検出されていましたが、その後は全く検出しなくなりました。つまり、福島県内の食べ物や水など、様々なことで汚染がほとんど無くなった状態になったのが、実際のデータだと思います。その結果分かってきたのは、国連の報告書にもありましたが、放射線が直接の影響となって、つまり放射線を直接浴びて、それによって癌になってしまうとか、将来遺伝的な影響がでるというのは、とても考えられないことが分かったということは、一つ大きな点だと思います。
じゃあ、原発事故に伴う影響が何も無かったか、というと、そういうわけではなく、やはり原発事故が起きて、生活環境や社会の状況が変わったわけです。僕らの健康は、どういう社会に住んでいるか、どういう地域にすんでいるかといったもので変わるものなので。一般的には、ストレスというもので大きな影響を受けたり、生活習慣が変わったのも大きいかと思います。」

―――女性の方は特に、妊娠や出産に関する健康問題に対して大丈夫かな?と思う方も多いかと思いますが、そのあたりも、問題ないということでしょうか?

「そうですね。そもそも広島や長崎、チェルノブイリの事故後、また医療でたくさん放射線を使うことがあって、そもそも人間が放射線をたくさん浴びたことによって、それが将来的に、遺伝的な影響が出たということが証明されたことはないんです。それに加えて、福島の今回の原発事故に関して言えば、住民の方が浴びた放射線の量は非常に低いレベルに抑えられていたということが分かり、二重の理由から、遺伝的な影響に関しては、将来的に何か危惧するような状況には全くない、と言ってもいいと思います。」


国連機関「UNSCEAR(アンスケア)」からもこのような報告書が2021年3月にあがりました。
1、将来的な健康影響はみられそうにない。
2、妊婦、胎児への健康影響はみられそうにない。
こちらは坪倉先生が分かりやすくYouTubeでも解説されています。

「改めて国連機関UNSCEARとはどういった機関かというと、住民の方々がどれくらい放射線を浴びた可能性があるかを計算する専門的なチームがいて、アメリカ、ロシア、フランス、イギリスといった世界中から参加した専門家が中立的な立場で放射線の人への影響や、環境への影響を評価して、国連からの公式の報告書として発表している機関です。今までも、2013年に一度大きな報告書が発表されたんですが、当然最初なので分からない部分があるんです。分からない部分は、より悪いシナリオの場合、どれくらい放射線を浴びていたかを保守的に計算をして、被ばく量が高く見積もられるように、つまり低く見積もらないように出された報告書なんです。それが、9年、10年の経過の中で、様々に計測した結果が手に入り、より現実的な計算結果になっているように報告書を見直して、最新の報告書がかかれたということになります。」


続いて話を聞いたのは、福島県立医科大学総合科学教育研究センターの後藤あや先生です。後藤先生は、地域の妊娠や育児について調査・研究を行っています。

後藤「妊娠の結果がどうなったか、奇形、先天性異常や死産、早産については坪倉先生が先ほど説明したところですが、それ以外にも福島県立医科大学が行っている県民健康調査の結果から、お母さんの鬱傾向が、震災直後は明らかに高くて、特に原発に近い浜通りでは他の地域に比べて鬱傾向の割合が高かったですし、その次に高かったのが線量が比較的高い、中通りと呼ばれる福島市や郡山市と比較的人口が多いところで、「お子さんの健康について」が心配だったようです。ただ、それも年を追うごとに県民健康調査の結果で、心配なお母さんの割合が低くなっているのは分かりますが、今でも少し、遺伝的な影響は科学的には明らかにおこらないと分かっているのに、お母さん方はいつまでも心配しています。そのところが、なんとかならないか・・と思うところです。
あともっと難しい問題は、偏見の問題だと思います。遺伝と偏見というキーワードは、これからまだしばらくお付き合いしないといけない課題なのかなと思います。」

―――そこにどうアプローチしていくかが、震災から11年ですが、まだまだ課題として残っている・・・。

「そうですね。」

後藤先生は、ご自身も福島で子育てする、働くママさんです。
そこで、坪倉先生からは、後藤先生への率直な質問が飛び出しました。

坪倉「事故直後の時、自分の子どものことをどう思っていましたか?」

後藤「自分自身、福島に残るか・出るか、大きな課題を突き付けられたので、最初に相談したのは、保育園の先生だったんです。意外に気になったのが、子どもがどこまで分かるのかということ。
(当時)子どもが保育園の年長で小学校に入学する前だったんですが、まず、どこまで子どもと相談するのかを保育園の先生に相談してみたら、「お母さん、子どもは2歳、3歳から結構、周りのことは分かっているから、それこそ、1歳の時から、子どもには日常、何が自分の周りで起こっているのかはしっかりお話ししてください」と言われたのがすごい心に残って。子どもと残るか、出るか相談しましたね。」

坪倉「どんな反応だったんですか?」

後藤「まず日本地図を出して、親戚がどこにいるなど説明して。「どこに住みたい?」と聞いたら、「お母さんが、ここで爆発があっても住んでいいと思うなら、僕は福島っ子だし、僕の友達はみんなここにいるんだから、僕はここに残りたい」と言ったんですね。子どもと話して良かったと思ったのは、自分の人間関係と価値観だけでなく、子どもの人間関係もしっかり考えなきゃいけないんだなと感じて。保育園の先生にはすごく感謝しています。」

坪倉「データや数字だけじゃないという、正にそういう話だと思いますね。」

「Hand in Hand」。今週は福島で地域の皆さんの健康を支える二人の医師、坪倉正治先生、後藤あや先生のお話でした。
『原発事故から11年。放射線の健康影響を正しく理解するために』 続きは来週お伝えします。


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