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22.03.24
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福島第一原発の『今』を知る〜オンラインツアーレポート


今回のテーマは、『福島第一原発の『今』を知る〜オンラインツアーレポート』。

2011年3月11日に発生した東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から11年が経過。それに先立つ2月20日、事故直後の状況から「今」に至るまでの廃炉の取組み、そして「今後」福島第一原発はどんな計画をしているのか、福島第一原発の「今」を知るオンラインツアーが、福島県富岡町の「東京電力廃炉資料館」で開催されました。




出演は、経済産業省資源エネルギー庁 廃炉 汚染水 処理水対策官 木野正登さん、関西学院大学教授 村尾信尚さん、アイドル活動を続ける傍ら、大学院で学んだ美術に強い関心を寄せる和田彩花さん。そして司会は高橋万里恵。今回はこのオンラインツアーの模様をお届けしました。

【今回のダイジェスト動画はこちら】
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東京電力福島第一原発“オンラインツアー”レポート

高橋)木野さん、当時の福島第一原発の状況について改めて教えていただけますか?

木野)地震当日、運転中であった1〜3号機、こちらは地震とその後の津波で交流電源が損失しました。生き残っていた直流電源もその後ダウンしまして、全ての冷却システムが停止をし、原子炉が冷却できなくなって炉心溶融にいたりました。またその炉心溶融で、大量の水素ガスが発生しました。そのために1号機、3号機が12日・14日と水素爆発に至ったわけです。また3号機と隣接する4号機。こちらは配管で繋がっていますので、水素が流れ込んで4号機も水素爆発をしてしまったということになります。

高橋)当時の映像は、我々もすごく衝撃的でしたし、知識が無かった分、すごく怖いなという思いが、先行したのを思い出すんですが、あの後から「廃炉」という作業が始まっていきますが、この「廃炉作業」についても、ご説明いただけますか?

木野)画面が出てきましたが、真ん中にダルマみたいな形があります。あれが原子炉の格納容器と呼ばれているものです。右上に「使用済み燃料プール」というのがあります。そこに、使用済みの燃料が保管されています。「廃炉作業」というのは、リスクを下げていく作業、安全に持って行くのが「廃炉作業」というものなんですけれども、このプールの燃料の取り出し、派生する汚染水対策、そして最大の難関と言われているのが溶けてしまった燃料、いわゆる燃料デブリの取り出し、この3つが主な作業として行われています。


2月20日に行われた「廃炉の『今』を知る。東京電力福島第一原発オンラインツアー」。当日はオンラインを通じて約1200名の方が参加。福島第一原発の事故からこれまでの歩みと「今」を学びました。

出演者の挨拶のあと、環境の改善や、廃炉へ向けた取り組みなど、この10年の歩みをまずは確認。そのあと、会場である「廃炉資料館」についての紹介や、「廃炉作業」、「汚染水対策」、「ALPS処理水」、それぞれのテーマでのトークセッション。視聴者との質疑応答も行われました。

その中からまずは、「廃炉作業」をテーマにしたトークセッションの一場面です。

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村尾)問題の核心である「燃料デブリ」なんですが、全部でどれぐらいの割合で位置が確認されているのか、まだまだ確認されている割合は少ないとは思いますが、どうなんでしょうか?

木野)「燃料デブリ」1〜3号機合わせて880トンあると推定されています。これは100あるうち1も見えていないと思います。2号機から、今年中に取り出しを行います。ロボットアームも今、富岡町の南の楢葉町の試験センターにロボットアームが持ち込まれまして、ここで半年ほど試験をしてから第一原発に持っていき、今年中の取り出しを目指しています。ただ取れるのはわずか数グラムという状況です。

村尾)そういう話を聞くと、困難な作業がいっぱいあると思うのですが、こういう「廃炉作業」が国民の皆さんの理解と協力、これは必要になってくると思うのですが、国民の皆さんが廃炉作業を信頼して見守っていけるように、もし仮に小さな事故でも、それを隠すことなく、すぐに公表していく、そういう課程の透明性の確保、これが重要だと思うのですが、その点、木野さんはどう、お考えですか?

木野)まさしく、おっしゃる通りです。「隠す」ということが一番マズイわけです。ですから、良いことも、不都合なこともしっかり、情報公開をしていくことが大事ですし、やはり国もしっかりと安全を守っていく、国もしっかり監視をしていく、それが大事だと思っています。

高橋)和田さんはどうですか?自分の目で廃炉作業をされている方を見たと思いますが、率直にどんなことを感じました?

和田)国民の立場としては、人間の10年と原発の10年は違うとすごく感じていて、原発にとっての10年は、頑張った1歩でしかなくて、まだまだこれから先も、長期的に続いていくということは今まで持っていなかった視点なので、自分の10年でもあるけれど、そうではなくて原発にとってもっともっと長い時間が必要ということを踏まえて色んな理解をしていきたいなと、実際に見学に行って感じたことでした。


つづいて「汚染水対策」についてのトークセッションの一場面です。

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木野)汚染水対策ですが、汚染水を取り除く、汚染源に水を近づけない、また汚染水を漏らさない。この3つの対策からなっています。例えば、建物の地下や地下の通路に汚染水が溜まっていたのですが、これを抜き取る作業。これは進んでいて、今現在は、原子炉がある真下にだけ汚染水があって、その隣に大きなタービン建屋というビルがあるのですが、そこの汚染水は全部抜き取ったんです。ただ日々地下水が入り込んでいる部分は増えてしまいますが、汚染水を取り除く作業はかなり進んではいます。またデブリを冷やした水に地下水をなるべく近づけないということで、凍土遮水壁とか、そういったものを作ったりし、汚染水の派生量を減らしたり、そういう対策をしております。

村尾)凍土遮水壁の取組について本当にうまくいくのかな?と思っていたのですが、これは効果があったと、木野さんお考えでしょうか?

木野)はい。凍土遮水壁ができる前は、一日540トン、汚染水が増えていました。それが140トンまで減らせています。4分の1まで減らせていますので、凍土壁は効果を発揮していると思っています。

村尾)然は然り乍ら、やはり汚染水も出ていますし、それが海に漏れ出していくということもあると思いますが、そういう意味では私たち、市民の側から見ると、周辺海域のモニタリング。海水に今、どれくらいの放射性濃度があるのか、海底土はどうなのか、そしてその数値、結果を私たちに発表することも必要だと思うんですが、この点、今はどうなっているでしょうか?

木野)海水の濃度については、日々測定をしています。今の濃度は検出器で測れる値を下回っています。要は、検出限界値未満ということで、検出されていないという状況まで行けています。

村尾)そうすると、他の海と変わりはないということですか?

木野)そういうことですね。

村尾)あと貯水タンク、これは数多くの貯水タンクの中に収められていますが、古いものも出てきていると思います。強度などは問題ないのでしょうか?

木野)事故当時は、いわゆるボルト締めのタンクで汚染水を保管していて、2013年に大量の汚染水を漏らしてしまうというトラブルがありました。その後は、溶接型のタンクに汚染水を溜めることにしました。その後、処理水も、今は、溶接型タンクに全部溜められています。この溶接型タンクは大体、30〜40年以上は持つというタンクです。なので、しっかり確認をしながら、鉄も少しずつすり減る感じもありますので、それも確認しながら耐久性を見極めています。

高橋)和田さんは、実際に行かれて、感じる部分はありました?

和田)貯水タンクを間近で見た時に、その貯水タンクを一つ一つ作業されている方が見回って点検されている話を聞いたりだとか、事故当時に使っていた貯水タンクはボルトで絞めていたというのも見せていただいて、今は進化しているんだということを、この目で見てきたので、その辺はすごく安心しながら見ていけました。とはいえ自分は専門的な原発に関しての知識がない立場だと、そういった情報を自分で収集しに行くことがすごく難しいことなので、こういった機会を通して、なるべく若い世代にも今の状況を知ってもらえると嬉しいなとすごく感じていますね。




2月14日から18日にかけて、IAEA(国際原子力機関)の関係者が来日。福島第一原発におけるALPS処理水の安全性に関するレビューが行われました。これはIAEAの安全基準に基づいて、放出されるALPS処理水の性状、放出プロセスの安全性、人と環境の保護に関する放射線影響等について、技術的な確認をするもの。レビューの結果については、4月を目途にIAEAから公表される予定です。

続いては、そんな「ALPS処理水」についてのトークセッションの一場面です。

◆◆

木野)まず、建物に溜まっているのは汚染水です。こちらを二段階で、浄化装置に通します。セシウム、ストロンチウムを除去し、その後にALPSを通して62種類浄化をする、それがALPS処理水です。ただし海に流していい基準を満足しているALPS処理水と、海に流していい基準を満足していないALPS処理水があります。まだ7割が海に流していい基準を満足していないです。なので、これは、もう一度浄化します。2回目浄化して、また基準をオーバーした場合は3回目。海に流していい基準を満足するまで、しっかり浄化をします。最終段階のタンクで、東京電力だけでなく、第三者機関が分析をし、クロスチェックをし、海に流していいか確認をします。またその都度ではないですが、IAEAもこのプロセスを確認したりとか、処理水を分析します。こういった課程を経てから処分をするということです。

村尾)第三者がしっかり検証可能な体制、これは処理水を流す以上、しっかり作っておいてほしいのが、最低の条件かと思います。その他にも、トリチウムを含んだ水は、今、フランスを始め世界で原発を稼働していますが、原発を稼働する以上は、通常、海に流している水だと考えていいんですよね?

木野)はい。ALPS処理水と普通の原子力発電所から流しているトリチウム水は、トリチウムが含まれているという点では共通なんです。一方で、それ以外の各種、やはり、第一原発で出てくる処理水は64種類の処理水が入っている可能性があるわけです。ALPSで浄化が出来ているんですが、その浄化ができているかをしっかり確認するという点で、違いがあるということです。

村尾)そのような、しっかりとした説明を引き続きやっていって欲しいと思います。海洋放出については、風評被害が怖いと思うのです。メディアの皆さんもこの問題について、ちゃんと風評被害を防ぐような報道の仕方、非常に重要だと思います。10年余り経った今においても、福島県の農産物の値段が他の地域に比べて安いんですよね。この風評被害をどう防ぐか、これをみんなで考えていきたいですね。

高橋)私も、福島の一次産業の方、たくさん取材させていただきますが、皆さん安心・安全ということには本当に命をかけていらっしゃって、風評被害によってというのは、本当に悔しい部分があるので。でもそれは、木野さんご自身も、痛感しているところですよね?

木野)はい。私も11年前に福島に来た人間なんですが、福島県の食べ物はとっても美味しくて、お陰様で体重も増えているんですが、この魅力も皆さんに分かってもらえると嬉しいですね。

高橋)和田はいかがですか?どんなことを感じました?

和田)やっぱり海洋放出のニュースを見て、すぐに何か、危ないことは起きると、私は感じてしまいました。それは自分がただ知らないだけで、勝手に感情が出ているだけだったので、こうやって知るだけで安心に繋がるんだということが、今回見学で周っていて、自分の身をもって知ったことだったので、受け身な私たち国民とか、待つということだけでなく、福島を見続ける姿勢を持つ必要があるなと感じました。



和田)私は震災当時は高校生だったんですが、震災があったことで、原発がすごく身近になったなと思っていて、でもそこには危険という感覚を一緒に伴っている気がしたので、現状、知らなかったなというのが今回の見学を通してよく、実感したことだったし、私たちが生きている間に終わるのかというくらいの年月がかかることだったりするので、長い目で福島を見ながら、受け身の姿勢だけじゃなくて、色んな情報を探っていけるといいなとすごく思いました。

村尾)電気をおこす電源。今日学んできた原子力、これは福島第一原発事故でも分かるように、安全性というのが問題になっているんですよね。一方で火力、これは燃やすと二酸化炭素、CO2が多くでてくる。それから再生可能なエネルギー、太陽光や風力があります。しかし電気の供給の安定性が不安なんです。こういうようないくつかの選択肢があるわけですが、2016年から電力の小売全面自由化という制度がスタートしました。これは私たちが良いと思う電力会社から電力を購入できるようになったんですよね。実は買い物というのは、私に言わせれば、お金による投票になるんです。私たちもお財布の中にあるお金で持って電源をこれから選んでいけば、日本のエネルギー構造も大きく変わる。つまり私たちでもできる事なんですね。そのことを皆さんも覚えておいて欲しいと思いました。



「廃炉の『今』を知る。東京電力福島第一原発オンラインツアー」。11年が経ち。福島第一原発周辺はもちろん、浜通りの環境や、廃炉に向けての作業、処理水の状況などは、着実に進んでいることが伝わったのではないかと思います。

ぜひ今回の放送を通じ、皆さんがいま知り得ている情報をアップデートして頂けたらと思います。

【今回のダイジェスト動画はこちら】
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東京電力福島第一原発“オンラインツアー”レポート

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来週の「Hand in Hand」は、岩手県釜石市からのレポート。震災前に釜石シーウェイブスの選手として関西から移住。震災後も釜石に残り、ケガで引退したあとは釜石市の職員としてこの地でのラグビーW杯をけん引。釜石の復興に全力を注ぎ、この春、再びフィールドへ戻る決意を胸に釜石を離れることを決めたラガーマン、長田剛さんのインタビューをお届けします。ぜひ聴いてください。

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