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22.06.16
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町づくりそのものが防災になる 『WATARI TRIPLE [C] PROJECT』


今週は宮城県亘理町で昨年からスタートした新たな町づくりの事業、WATARI TRIPLE [C] PROJECTのレポートです。

WATARI TRIPLE [C] PROJECTは「CULTURE(=文化)」「CULTIVATE(=育てる)」「CHALLENGE(=挑戦)」という3つの「C」をキーワードにアスリートやアーティストを全国から集め、地域とともに育て、亘理町から世界へ発信していこうという取り組みです。


このプロジェクトを手掛けるのは震災を機に、“5年保存ができる”「防災ゼリー」を開発するなど防災に関わる様々な事業を生み出しているワンテーブルという会社。今回はワンテーブル代表、島田昌幸さんに「WATARI TRIPLE [C] PROJECT」について伺いました。


―――亘理町、鳥の海公園にきました。見渡す限り芝生が広がっています。

「30万平米ある公園です。亘理町の沿岸部は津波で大きな被害がありましたが10年経って一旦整備が終わり、整備が終わるとそこで終わってしまうプロジェクトが多い中、僕たちはここから未来を作っていこうということで、『WATARI TRIPLE [C] PROJECT』という活動をはじめました。」

―――30万平米のこの公園を拠点に具体的にどんなプロジェクトが進む?

「今は野球場、サッカー場がありますが、今年の7月オープン予定で30以上のコンテナを連結させて新しい商業施設を作っている最中です。カフェ、ギャラリー、横丁、音楽スタジオ、アトリエができます。その裏手にはスケートボードパークを国際基準に合わせて作ろうと。今、WATARI TRIPLE [C] PROJECTには、3人のプロのスケボーチームが所属していて、ここで活動しながら、全国、世界で活躍しています。」

―――WATARI TRIPLE [C] PROJECTでは、ここを拠点に発信していく場所?

「WATARI TRIPLE [C] PROJECTは、3つの「C」があります。カルチャー(文化)、カルチエティブ(耕す)、コミュニティを作っていく。この3つのCをテーマに、ここ被災地から新しい町、新しい文化を作っていこうというプロジェクトで、ミュージシャン、アーティスト、プロのサーファー、プロのスケーター、プロのキャンパーもいます。いろんな特殊な才能を持った人たちをオーディションして、総勢100名の応募の中から世界を目指す若い情熱をもった方たちを30名採用して、この町に移住して活動してもらいます。サーファーたちもアジアチャンピオンの1位2位が今うちに所属していて、彼らがいることで海を見に行くというより彼らに会いに来る。ミュージシャンがいることで彼らの歌を聞きに来る。スケボーはもうすぐアカデミーが開校になる。そうやって地域の子供たちやシニアの方たちと文化活動を通じて繋がっていこうと。その繋がりが最終的には防災だということを僕たちは被災地で学んでいるので、防災訓練だとなかなか人は集まらないけど、こういったスポーツ、アート、音楽で人をつないでいこうというのが彼らの役割なんです。」

―――どういった中でそこに行きついたのですか?

「僕らも震災で仲間を失った時に、人と人が繋がって支え合って乗り越えていく、ということが防災だと思ったんです。防災訓練って人と人が繋がるのかな?訓練で出会った人の顔も名前も連絡先も知らないですよね。そうであれば好きな共通のもので繋がってどんどん仲良くなっていく。付き合いを積み重ねていくことが困った時に助け合うことに繋がる。楽しくないと人と人は繋がれないし興味関心を持たない。芸術、文化活動、スポーツは人をつなげるのは一番良いのではないかと思ったので、そこからこういうプロジェクトになりました。」



人と人との繋がりこそが、防災だ・・という考え方。
地域の方たちと文化活動を通じて繋がっていこう・・という取り組みは全国の市町村からも注目を集め、「学びたい」という声が多く届いていると言います。

「今いろんな施設を作っているところですが、この時点で全国の市町村から視察が来ています。その理由としては、建物ではなく考え方。地域のコミュニティって何だろうとか、地域のコミュニティを維持していく、作っていくための緩やかな関係性、新しい地域の在り方を今地方では模索しているんだと思います。」

―――その30名の人員はどうやって集めているのですか?

「当然、生活費などの事業費がかかるのでワンテーブル1社ではできません。亘理町と共同して事業を進めています。町の地域おこし協力隊という制度を活用して亘理町からワンテーブルに運用を依頼されていて、この仕組みによって継続的に未来への投資を計っていく。その仕組みも各自治体さんは真似ていきたいということが多くあります。」

―――地域おこし協力隊は任期が3年。ということは3年後、この土地から離れるのか、それとも別な形でここに残るのか、どう考えていますか?

「3年後、定住する人もいると思います。ただ僕の思いは、関係人口をどう増やしていくか。つまり、亘理町出身のアーティストたちがどんどん世界へ行くことで亘理という名前を知ってもらえる。ここから羽ばたく、その時にこんな良い街があったんだ、行ってみたい、という関係性がとても重要だと思っている。本当に地域の為になるということは、どんどん活性化することで面白い人たちが入ってきて出て行って、この町面白いって思ってもらう。この出と入りがあることが地域の活性化につながると思っています。」

―――そう聞くと、この広い公園がキラキラして見えてきました。

「そこの海に今日もたくさんのサーファーがいますけど、海は津波があって怖いって思う方たちもいるけど、彼らが海に入って楽しむ、いろんな技を披露する、それを見ることで沿岸部にもう一回来てもらうきっかけにしてほしいなと思うんです。このプロジェクトはただ楽しむだけでなく、津波がひとつの大きな代償を払ったわけですが、それを乗り越えていくような取り組み、人を前向きにするのは建物ではなく人でしかできないと思っているので、そういったエリアにどんどん今年から変わってくるんだろうなと思っています。」

今回のHand in Hand。町づくりそのものが防災になる 『WATARI TRIPLE [C] PROJECT』、プロジェクトリーダーの島田昌幸さんのインタビューをお届けしました

亘理町の観光の拠点である鳥の海エリアでは今後様々な施設がオープン予定で、9月には音楽のフェス、サーフィンの大会、スケボーの大会など多種多様なアーティスト、アスリートを巻き込んだ一体型のフェスを計画中ということです。

WATARI TRIPLE [C] PROJECT


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来週は、いま大ヒット中の映画『トップガン マーヴェリック』の撮影に使われたシネレンズを制作している福島県磐梯町「Sigma」のレポートです お楽しみに。

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