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22.07.02
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宮城県丸森町 地元生産者とつくる熟成肉レストラン『Es』



「ジュ〜ジュ〜〜〜〜
うわ〜〜 中はすごくレアだけど外はこんがり焼けてる!
中がレアなお肉、いただきます!
ん〜 こんなお肉の味ギュッとしているんですか!?
外のカリカリと中のレアとのマッチが最高〜!
噛むたびにお肉の旨味がすごい出てくる
赤身の美味しさをこんな濃度高く味わったの初めてかも!」

Hand in Hand、今週は宮城県丸森町に2022年2月にオープンした熟成肉レストラン『Es』のレポートです。
築およそ300年の古民家を改装し、この場所にお店をかまえたのは東京のフレンチ店などで経験を積んだシェフ 新村彰人さん 32歳です。新村さんは肉や野菜の調達など、生産現場に近い場所を求めてこの丸森町へとたどり着きました。

そこにはどんなこだわりがあるのでしょうか?

まずはキッチンの裏にある熟成庫を案内していただきました。



熟成庫には、長いもので3か月、短いものでまだ2週間の牛肉がつるされています。
肉がうまく熟成されてくると香ばしく、甘みのある香りが出てきます。

―――すごいダイレクトですね。ここで熟成させてすぐそこのキッチンでお料理して。

「イメージ的にはお肉屋さんにレストランがついている感じ。どれだけ1から出来るかを挑戦している最中ですね」

新村さんの熟成肉へのこだわり、そして、なぜこの丸森の山奥でお店をオープンさせたのか?伺いました。

「北海道、苫小牧市出身です。今年で32歳になるが、22歳で3万円だけ握りしめて千葉へ行って初日でアルバイト決めて、それがたまたまビュッフェレストランで。そのうち、やるんだったら真剣にやろうと都内のイタリアンからはじまって最終的にはフレンチにたどり着いて。その中でも、お肉って楽しいなと思って、熟成肉に出会って衝撃的だったんです、今まで食べたどの肉より美味しいなと。熟成を学んでいった時に、牛が育っている環境にものすごく関係してくることを知って、今日入れている3頭も個性があるんです。どれだけ塩コショウと素材だけで勝負できるかってものをやりたくて、どんどん生産者側に繋がっていったときに、場所はここだったという。」


―――利用者側はこのEsに来ると生産者と近い距離で食べられるイメージですか?

「そうですね、例えば経産牛といって、役割を終えた牛しか引き取ってない。種つけしても種がつかなくなったり、乳を搾っても乳が出なくなった、そういう牛たちを買い付けている。普通そういう牛たちは二束三文で買い付けられてミンチになってスーパーに並ぶか、堆肥になるだけ。正直熟成する前は美味しくないが、適した期間熟成させるといろんな作用で美味しくなってその牛ならではの個性が出るので。熟成は若い牛は向かなくて、そういう牛の方が適しているんです。熟成させるとギュッとなった繊維がどんどん緩んでくるんですけど、硬い肉というのは繊維がしっかりしているのでそれに耐えるポテンシャルがあって、さらに油が旨味に変わってくるんです。けど若い牛は繊維が切れちゃうんです。旨味もある程度熟成させて美味しくなりますが、その後2〜3日で旨味がなくなっちゃうんですね。」

―――お店を出されたのは、なぜこの丸森だったのか?

「いろいろ探したんですね。山梨とか長野とか。行くたびに役場に挨拶させてもらって、こういう場所を探していると伝えると、軽い反応だったのが、丸森に関しては「いや、よく来てくれました!」と。補助金の紹介から、牛の仕入れならこの人に繋がるといいなど全部紹介してくれて。こういう野菜が欲しいといえば、育てますと言って家庭菜園で作ってくれたり。どこまで行っても人との関りが一番重要なのかな。その中で今少しずつ夢を実現できているのはありがたいですね」


丸森町は、2019年10月の台風19号で甚大な被害を受けました。丸森を襲った浸水、土砂崩れ、土石流は多くの命も奪い、3年が経った今も復興工事が行われています。

「最初に来た時、その被害の状況を案内してもらって、道もないし削られてるしって状況で。その復興途中だと。でもそれを立て直そうという皆さんの本気の姿の方が印象的でした。もっと前より丸森を盛り上げたいという気持ちがすごく感じました。せっかくここでやらせてもらえるので、その力になれるように仕事をしていくって強く思いました。」

―――Esに食べにくることで人の流れも作ることができますよね

「ここに来るお客さんの8割が宮城に住んでいたけど丸森はじめて来たという人が多い。その中で帰りに街中寄っていこうかなとか台風どうだったの?とか話されるので、もっと丸森の魅力を飲食店を通して知ってもらたらいいと思います。」

―――今3年が経って、復興の状況はどう見えていますか?

「道が通れるようになったりきれいになっている一方で、まだまだ進むのが難航しているところもある。今お付き合いしている農家さんの田畑がまだ使えないとか、まだまだ困っている方がいるので。僕自身も何か元気になってくれるような取り組みがないかなと思って。ここを1つ観光地化できる取り組みを考えていて、まず第一歩としてお店の前の舗装工事をはじめて、近隣の方々が正面の土地にひまわりを植えてひまわり畑にするとか、山羊を買ったり、そこら辺に牛が通っているとか、ここじゃなきゃできないことを今後作っていって、丸森町大張地区ってなってくれればうれしいですね。」






夢の実現のためにこの場所へ移住した新村さん。
今では、「地元の農家さんに元気になってほしい。Esが観光の拠点になれば」と次の目標へ向かっています。

Esは、ランチとディナーで営業中。
夜は予約制で、ランチは土日、大変込み合うようです。
仙台駅から車で1時間。白石蔵王駅からは15分ほど。
ぜひ丸森町の観光も兼ねて、熟成肉目指して出かけてみてはいかがでしょうか。

熟成肉レストラン『Es』 HP
熟成肉レストラン『Es』 Instagram


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Hand in Hand 公式Instagram

来週は、新たにはじまった、ホヤの鮮度管理、流通の仕組みについてお伝えします。
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