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22.12.10
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陸前高田、広田湾が育む幻の貝、イシカゲ貝を全国へ


今回のテーマは、「陸前高田、広田湾が育む幻の貝、イシカゲ貝を全国へ」。岩手県陸前高田市の広田湾で取り組まれている“イシカゲ貝の養殖”についてお伝えしました。


【今回のダイジェスト動画はこちら】
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広田湾が育む幻の「イシカゲ貝」を全国へ

3週に渡って、岩手・宮城の水産事業者にフォーカス。その一つ目が、この岩手県陸前高田市の広田湾で取り組まれている“イシカゲ貝の養殖”です。

番組の冒頭でイシガキ貝を調理している場面をお届けしましたが、元気いっぱいのイシカゲ貝、大きめの赤貝のようなフォルムから、クリーム色の身をビュンビュンはみ出してクルクル暴れ回る、まさにブレイクダンスしているかのような動きに一同圧倒されました!

トリガイの仲間であるイシカゲ貝。市場では「石垣貝」とも呼ばれていて、きれいなクリーム色をした身は、甘みと旨みが強く、タウリン・グリシン・アルギニン等のいわゆる“元気が出る系の栄養分”を豊富に含んだ二枚貝です。国内では生産量が非常に少なく、とくに活貝での流通はごくわずか。“幻の貝”とも呼ばれていますが、広田湾では1995年から、天然採苗・養殖技術の開発に力を入れ、翌年には全国で初めて養殖の事業化に成功。全国で唯一の養殖産地となっていました。

風光明媚なうえに、上質な牡蠣やホタテの産地として知られる広田湾は、気仙川を通って山からの栄養分が流れ込む内湾と、親潮と黒潮の栄養分が混ざり合う外湾を有する、全国有数の恵まれた漁場で、とくに牡蠣は豊洲市場でも最高の評価を受けているブランド産地です。

そんな豊かな海で育まれているのがイシカゲ貝。現在十数名の漁師が養殖に取り組んでいますが、その中のお一人、熊谷浩さんにお話を伺いました。

◆◆

高橋)広田湾というとホタテや牡蠣が養殖で有名ですが、イシカゲ貝の養殖はいつぐらいから始まったんですか?

熊谷)平成8年くらいから始めたそうです。隣の気仙町の人が先に始めたそうで、イシカゲ貝を最初から養殖したわけでなく、トリガイをしようと思って容器を入れたところにイシカゲ貝の稚貝が入って、そこから始まったらしいです。

高橋)熊谷さんご自身は元々、漁としては何をメインにしていたんですか?

熊谷)震災前まではホタテ養殖をメインにしていました。イシカゲ貝は震災後から。震災前、ホタテにへい死がみられ、“このままホタテだけ養殖してもじゃダメなんじゃないか”という事を考えていた矢先に、震災と津波で施設とかみんな無くなりまして。そのあと新たにみんなで始めなきゃという時に、気仙町でやっていたイシカゲ貝の養殖が、ここ広田湾でしか国内でやっていないという事だったので、それを魅力に感じまして始めました。

高橋)養殖の方法としては、難しかったですか?

熊谷)最初はホタテと養殖の方法がまったく違ってて、洗面器みたいな発泡(スチロールの容器)に砂を入れまして海中に沈めて稚貝とかを採りました。ホタテや牡蠣は小さな赤ちゃんを付けてロープに吊るすじゃないですか。吊るすのは同じなんですが、イシカゲ貝は、容器ごと3個くらい吊るして、中間育成という形で海に沈めています。イシカゲ貝は海底の砂場が自分たちの住処なので天然モノは海底の砂の下にいるんですが、広田湾は水深20メーターくらい。だからあんまり人に知られなかったんですね。

高橋)ホタテと全然違う方法なんですね!

熊谷)やり方も育て方も全然違います。始めてから7〜8年になるんですが、やっと軌道にのってきた感じですね。今はイシカゲ貝が7割程度、ホタテが3割程度になっています。

高橋)イシカゲ貝の魅力とは?

熊谷)一番は、ホタテは宮城県から北海道まで(養殖を)やってるんですが、イシカゲ貝はここだけしかやってないということ。競争相手がいない。単価も上がったり下がったりがなくて、一定の価格で安定して出荷できるのも魅力です。

高橋)イシカゲ貝は(他の場所にも)いるけど、養殖をしているのは広田湾だけということなんですか?

熊谷)天然ものは茨城県の鹿島灘から北海道のオホーツクまでいるんですけども、全体量が少なくて市場に出回ることはない。出荷の100パーセントが広田湾産です。今この広田湾でイシカゲ貝の養殖に取り組んでいるのは3か所の漁協。気仙支所、米崎支所、ここは広田支所で、16〜17人でやっています。

高橋)味の特徴とは?

熊谷)ホタテの甘み、アサリの旨味が合わさったような味。ホタテより甘味が強くて、寿司がいちばん合うんじゃないですかね。

高橋)熊谷さんが一番好きな食べ方は?

熊谷)やっぱり、生か炙りですかね。炙りはお酒のつまみにも合うんです。ワサビ醤油とか。




高橋)東日本大震災による津波で、熊谷さんご自身はどのような被害を受けたのでしょうか?

熊谷)被害どころじゃないですね。全滅です。養殖施設、作業場、海関係の物はほとんど無くなりました。船は流されて陸に上がっちゃったんですが、船自体はあった。ただ転覆してエンジン関係は全部ダメで、その時、船の造船所も被災していて、これから作ると何か月、何年後です、となったんで、船(本体)が使えるならという事で、エンジンや電気関係を入れ替えて、今もその船を使っています。

あの当時、津波が来て2〜3日は、“これはもうできないだろう”と思ったんですが、そこから瓦礫とかをみんなで片づけて、“俺たちはここの海でしか生きられんじゃないか”という話をみんなでして、それでまた始めようということになりまして。始めてからは支援の人たち、ボランティアをはじめ国の支援とかありまして、本当にその人たちの協力がなかったらできませんでしたね。うちらの支所はホタテをやっていたのが6人だったんですが、誰も家族にも犠牲者がいなくて、それも大きかったと思います。3月に津波がきて、11月ごろまでにある程度施設を作って。ホタテは種から採ると2年かかるんですが、種が採れないから、北海道から半生貝といって中間まで育った貝を買ってきて、11月に貝を入れて、次の年の夏にはもう出荷していました。

高橋)まずホタテ養殖を再開させて、そして新たな取り組みとして始めたのがイシカゲ貝養殖。イシカゲ貝の旬はいつ頃なのですか?

熊谷)7月から10月、夏から秋が旬です。あとは痩せちゃうのでその時季限定です。

高橋)いま放送を聞いている方は7月まで待つしかない・・・

熊谷)そうですね。ただやはりこれが食べ物の魅力だと思うんですよ。1年中あると、ありがたみが無いというか。日本人というのは“限定”に弱いですよね。イシカゲ貝は7月から10月の限定品となると、みんな“食べなきゃ!”となるでしょ。そう思ってみんなに食べてもらいたいですね。

高橋)やっぱりこの場所に来てこの場所のお酒とかと合わせて食べて欲しい。この貝をきっかけに陸前高田を知ってもらうことになるかもしれないですし、まだ食べたことがない人にはどんなことを感じながら、味わってもらいたいですか?

熊谷)“陸前高田の広田湾でしかない貝だ”ということをぜひ分かってもらいたいですね。他では食べられない貝なんだということを強調したいです。今年、国の方から、地理的表示保護制度=GIマークをもらったんです。ここでしか獲れないものですよ!というお墨付きのGIマーク。いま出荷の時ラベルに貼っています。反面、悪いものは出せない。ここでしかないから責任は全部、広田に来るので。だから毎日、厳しく品質管理をしています。

高橋)ぜひ味わって陸前高田を知ってもらって、今度はこっちに来て食べてみませんか?と言いたいですね。

熊谷)陸前高田に行ってイシカゲ貝を食べよう!みたいなツアーができたらいいですね。







取材の日の夜、市内のお寿司屋さん「旬味旬彩 鮨まつ田」で、シーズン最終盤の生のイシカゲ貝を頂きましたが、つぶ貝のようなコリっとした食感で、貝独特の旨味と甘みがとにかく濃くて美味しい。炙りはさらに香ばしさも加わって、なんとも贅沢な味わいでした。すでに時季になるとこれを求めて陸前高田へやってくるファンもいるとか。ぜひ7月から10月の旬の時季を狙って、イシカゲ貝を味わいに陸前高田へ足を運んで頂きたいと思います。

なお広田湾漁協のオンラインショップでは、ボイルした冷凍のイシカゲ貝や、アヒージョの缶詰なども購入可能です。


【今回のダイジェスト動画はこちら】
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広田湾が育む幻の「イシカゲ貝」を全国へ

【プレゼントのお知らせ】
今回はイシカゲ貝を使った缶詰、「広田湾『石陰貝のアヒージョ』」を3缶セットにして3名様にプレゼントします。

ご希望の方は、まず動画をご覧になってキーワードをチェックしてください。動画の中で、熊谷浩さんに、“広田湾の魅力を一言で言うと?”という質問をしていますが、その答えがキーワードです。

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