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23.03.18
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千葉県館山市 小さな島のいのちの再生


今回訪れたのは千葉県館山市にある、周囲1キロの無人島「沖ノ島」です。南房総国定公園のなかにあり、およそ8000年前の縄文遺跡が残り、周辺の海には珊瑚があるなど地域の貴重な財産となっています。

一方、この島はいま大きな課題にも直面しています。そのきっかけは4年前の台風です。台風被害を受けて島の自然環境が悪化していることが浮き彫りに。今まさに地元のNPO団体が再生に力を注いでいます。


沖ノ島は陸地とつながる地続きの島。このように砂浜を歩いて島へ渡ることができます。NPO法人 たてやま・海辺の鑑定団 竹内聖一さんにご案内いただきました。

「今は砂浜で繋がっていますが明治時代ここは海でした。沖ノ島という名前自体が沖にある島。砂浜で繋がった理由は1923年関東大震災で地面が隆起してから、砂浜が発達して陸とつながったようです。

島の入口に来ましたが、この島は2019年令和元年房総半島台風で、ここは入れないくらいの倒木がありました。すごい勢いで風が吹いて木が倒れて、まだ倒木がそのままになっているところもあります。

一番高い木、20mほどの高さがありますが、台風前はあの木の高さまで全部森だったんです。でも今は10mあるかないかの木ばかり。森全体が小さくなっちゃった感じです。」

―――生態系も変化したのでは?

「実はその前から、台風だけではなく2016年くらいから海の海藻、アマモ場が少なくなって、さらにさかのぼると2013年ごろから森の元気がなくなっていて、それは何故かわからなかったんですが、台風が来て木が倒れた原因として、島全体の土の中の環境が悪くなっていることが分かって。台風がそれに気づかせたんです。それで島の中の土の環境を良くすることが必要だとわかりました。例えば大きなサイクルで言うと山に木を植えて海を育てるのと全く同じで、この島の森をしっかり守ることが海を守ることにつながるんじゃないかなと思ってます。」


「ここは元々コンクリートの階段だったのを、地面の中の環境を考えてコンクリを砕いて石にして、石畳の階段と木の階段にして水が土に染み込むようにしました。また照葉樹の森なので、タブノキとシロダモとヤブニッケイが大きくなりますが、タブは自生していてその種が落ちているのでそれを拾って一年ポッドで育てて、それを島に植えたりしています。

この島自体は森がしっかりあって海を守ることに繋がっていたので、その循環を元に戻すように、倒木を片付けるだけじゃなく、島が健全な状態に戻るように土の中の環境をよくするような取り組みをしています。50年後の未来を見据えてイメージしています。」

―――50年後。どんな景色をイメージしていますか?

「しっかり森が再生されて、豊かな森になっているということは同時に、森が海を育んでいるはず。海の中ってただ透明ならよいわけではなく、いろんな生き物が育まれていることが重要。アマモ場があると小さな魚が隠れたり産卵、餌場になったり、それを狙って大きな魚が来るなどのいろんな繋がりがあって、海の自然は保たれている。その自然環境は僕らも生活で恩恵を必ず受けている。森から海はすべて繋がっているので全体として広がるようなことになるとよいかなと思います。」



島には平安時代に鎮座した宇賀明神があり、樹齢三百年のご神木がありましたが、こちらも台風で倒れてしまいました。しかし倒れた根元から、新たな芽がでてニョキニョキ伸びてすごく成長しています! 倒れて役割を終えるのではなく、次の命を繋いでいることがよくわかります。

50年後の未来が楽しみな沖ノ島。再生に向かう姿を見たい、活動に参加したいという方は、たてやま・海辺の鑑定団で様々なガイドツアーを実施しています。

「自然の楽しさを伝える活動をしているので、暖かくなれば磯の生き物観察。島を巡っていろんな話をするガイドツアー、夏の間はシュノーケリング体験などの活動をしています。それをすることで島の自然環境や良さ、楽しさを知ることができると思います。あと島の環境改善の活動もなるべく多くの人とやっていきたいと思っているので、6月くらいにはタブノキの植樹会も行う予定です。」


島の反対側からは洋上に富士山が見え、様々な貝殻が拾えます。


島に漂着した海からの贈り物。ウミガメの骨も。

夏のシュノーケリングは、サンゴはもちろん、潮に流れてやってきた、温かい海にすむ色とりどりの熱帯魚なども見られるそうです。イソギンチャクに隠れるクマノミもいるとか。

気になる方は【たてやま・海辺の鑑定団】ホームページをご覧ください。


◆【放送日時変更】のお知らせ◆
Hand in Handは4月より、毎月最後の金曜日、朝8:10〜8:17放送となります。
ご案内役はユージさんと吉田明世さんがお送りします。

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