
輪島市町野町より「今求められる支援の形」
元日の能登半島地震、そして9月の豪雨でたいへんな被害を受けた、石川県輪島市町野町。9月の豪雨で、町の中心部を流れる川が氾濫、大規模な浸水と、数カ所にわたる土砂崩れが発生しました。町はいまも、崩落した川沿いの道路、流木が流れ込んだ家屋などなまなましい爪痕が至る所に残っています。
そんな町野町では9月末にボランティアセンターが立ち上がり、泥出しや清掃など、懸命な復旧作業が続いています。ボラセンを立ち上げたのは、地元有志の方による復興団体「町野復興プロジェクト実行委員会」通称「町プロ」です。メンバーの宮本晴樹さんに伺いました。
「地震のあと、みんな少しずつ元気になってきたんですよ。イベントをしてもみんな普通に集まって、ワイワイできるような感じになってきたんですけど、今回の豪雨は致命的で、今まで頑張ってきたことも全部水の泡みたいになって。「もういいわ」「立ち直れん」「折れました」と、すごく雰囲気が下がってひどかったんです。なので、早く自分たちで動いた方がいいんじゃないかと思って、始めています。自らを奮い立たせるというか。」
「支援物資はおかげさまで集まっているんですが、大事なのはやっぱり「人」かなと思います。県外や遠方から来た人と話をすると、しょげてた人も急に元気になって、出された柿を「おいしいね~」と言って食べたり。ボランティアさん終わりです、というと「寂しい~」って言ったり。なので、やっぱり人かなって思いますね。
ちょっと特殊な2重災害で、地震による全壊とか半壊になったところに大水が入って泥だらけのところが未だにあるんです。地域的に遠慮がちな「私よりひどい人がいっぱいいる」とおっしゃる方も多くて、少しずつ、ほかの家が綺麗になっているのを見て「うちもやってもらおうかな」という感じでお願いする人はいますし、見えないところでは側溝に土砂がいっぱい詰まっていて。そのためちょっとした雨でも水が噴き上がっちゃって、道路水浸しになって池のようになってしまうので、側溝も対応していけばいいのかなと思います。見通しは、今のところ、年内には豪雨災害の前、地震被害後の段階に戻せればいいと思っています。
(ボランティアで遠方から来る方も多いが、宿泊場所が問題なのかなと。)
宿泊場所は町内にはないんです。それが課題のひとつ。現状は隣の能登町や輪島ボランティアベースキャンプに泊ってきている。でも結構距離があり、1時間ぐらいかかる。能登町は普通のテントなので冬は寒いと思います
でも不思議な感覚で、町野地区に来る方はリピーターさんが意外と多く、「また来ます」と言って本当にまた来る。「1回来たら気になったんで、また来ました」とか。我々もすごく頑張ろうと、気持ちを奮い立たせられ、あったかい気持ちになれる。忘れられてなかったんだな、みたいな。すごく嬉しいですね。うん。」
「もう心がもたない・折れてしまう」「なぜ自分たちばかりが」元日の地震から復旧に取り組んできた人たちから、こうした声が数多く出ているとのことで、だからこそやはり、途切れない、継続的なつながり、支えが必要です。
この地域で唯一のお医者さんで、町プロメンバーでもある大石賢斉さんのお話です。
「地震の後、気持ちを立て直してきた人たちが声を揃えて『心が折れた』と発言されているのがちょっと気になりますね。合言葉みたいになってしまって。なにかスピード感を持って変化していく感じが、建て直すのには必要だと思うので、いまはそれをやるべきだなと。
あとはお笑いの人に来てほしいです。やっぱり笑いが必要。
“毎週何曜日に集会所でお笑いの寄せがあります”みたいなのが必要だと思う。動けるエネルギーのある人はなんとかなるけど、動くほどのエネルギーのない人は閉じこもってしまう。そういう人たちを週1回でも2回でも外に出して笑わせる。そんな時間があると、エネルギーぐっと上がってきて、動けなかった人たちが動くようになると、この状況を、早く変えることもできる。マンパワーをくすぶらせることなく、みんな完全燃焼して投入すれば、どんどん迅速にいきますしね。そうするために、まずくすぶってる人たちを煽り出す。お笑い芸人の人たち、どんどん来てほしいです。ほしいのは、笑いです。」
石川県輪島市 町野町より、今求められる支援の形をお送りしました。
「会話するだけでしょげてた人が元気になる」「笑いが必要」こうしたこともボランティアになります。そしてまだまだ、泥出しや清掃などのニーズはたくさんあり、まだまだたくさんの人が必要です。
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